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雑記 司法書士としての就職・転職活動を振り返る ーその1 司法書士業界の現状

  先日、今年度の司法書士試験について最終合格者の発表があった。合格者を対象とした新人研修も着々と始まっている。それに伴い、今後さらに司法書士業界の就職・転職活動も活発になってくることだろう。

 思えば自分が司法書士資格をとってから最初の事務所に就職したのも、合格した年の大体このぐらいの時期だった。ちなみに司法書士試験合格前は一般企業で正社員として働いていた。また試験を合格し、司法書士として働くようになってからは、他の司法書士事務所への転職も経験している。

 そこで今回は、自分の経験も踏まえながら、司法書士としての就職・転職活動をする上で、個人的に気をつけていた点等を書いていきたい。

 特に根拠となるデータや条文等を持ち出しておらず、ほとんどが自分の経験と私見、周囲から聞いた話に基づいた内容なので雑記とした。また、司法書士としての勤務形態はさまざまあるが、ここでは勤め先として個人の司法書士事務所または司法書士法人で働く場合を想定している。(内容として特に区別する必要がないことから、文中の「事務所」や「司法書士事務所」と記載してあるものについては、個人の司法書士事務所と司法書士法人の両方を意味している)


司法書士として就職・転職する上で心がけていたことと司法書士業界の現状

 先に結論を言ってしまえば、働きやすい環境を自分で用意することが大切だと個人的には考えている。

 これは、その事務所に在籍する期間が、短期を予定している場合であっても同様だ。給与等の就労条件や人間関係上のストレスなど、余計なことに気を遣わず仕事に集中できる場所で働く方が、実務上のスキルの身につけやすさや精神衛生面からも良好なのは間違いないことだ。

 そうは言っても、このように一見すると雇われる側が事務所を選ぶかのような、贅沢な考えがまかり通るのかと疑問に思われるかもしれない。ただ、あくまで自分の転職活動経験と周囲の意見による個人的な感覚だが、就職・転職を取り巻く司法書士業界の現状としては以下のような特徴がみられる。


1.売り手市場

 地域差や、その事務所がどういった内容の業務をメインに取り扱っているか等の違いはあるが、司法書士は基本的に人手不足である。例えば、名古屋市内にある事務所だけでも、司法書士を募集する多くの求人を一年中見かける。

 さらに言えば、地域にこだわらなければ就職先はより広くなる。就職・転職に伴う引っ越しや移動にかける費用が心配であれば、住居手当や交通費を負担してくれるところを選ぶ等も、事務所選びをするための条件の一つとして考えられる。


2.就職・転職のハードルの低さ

 上で書いたように、司法書士は基本的に不足している現状があるので、これまで実務経験がなくても就職はしやすい傾向にあるといえる。

ただし、例えば事務所によっては、採用する際の前提条件として、年齢制限や業務経験年数等を掲げる所もあるので、事前に確認しておく必要はある。個人的な感覚としては、基本的なPCスキルも入社後に覚えればよしとする事務所も少なくないので、履歴書や面接時に当たり障りのないことが言えればよっぽど採用はもらえるイメージである。

 また、この業界の特徴として、人員の入れ替わりが激しいという点が挙げられる。例えば、現在は同じ事務所の隣の席で働く同僚も、数年後または数カ月後には転職や独立等でいなくなる、ということも全く珍しいことではない。実際、自分が司法書士として勤務した1社目の事務所では、働いて2年経った時点で半分以上の同僚が退職していた。
このように一度入社したとしても、そこからの転職や独立がしやすい業種でもある。


 以上に挙げたポイントは、あくまで自分の経験と、周りの司法書士や転職エージェント等から聞いた情報を基にしている。ただ、このように司法書士の人手不足や一度入社したとしてもその定着率の低さ等から、就職者優位の現状がみられるのも事実だ。

 さらに、そもそも司法書士の場合、合格者レベルであれば試験勉強の過程で、実務で必要となる法律上の基礎知識を網羅的に習得している。また実際に問題を解決する上で不可欠となる、その知識を応用させるための法律的な物の考え方も既に身につけられている。したがって、手続きの流れさえ覚えてしまえば事務所の即戦力となり重宝される。(もちろん、日々知識の習得が不可欠である)

そして何より最難関ともいわれる国家試験に合格した数少ない貴重な人材である。奢る必要は微塵もないが、そこは自信をもっていいし、不必要に自分の価値を下げることはない。

 よって、相手の事務所側との事前交渉により、どの条件を優先させるかという話にはなるかもしれないが、就職・転職先を選ぶ条件面で、端から遠慮したり妥協したりする必要はない。


 以上は就職・転職活動を振り返り、個人的に感じた大まかなポイントである。ここからは少し掘り下げた点や条件面、入社後に心がけていた点などを挙げていきたい。

 長くなりそうなので、次以降の記事に記載する。

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