【脚本】下着泥棒の秘密
not Aflac 作
部屋には見知らぬ男性が正座している。
香織:え?君、誰?カナの彼氏?
男:あ・・・いえ・・・僕は・・・
香織:なんか歯切れわるいなー、なんで正座してんの?
男:それは・・・その・・・僕・・・
香織:あーもうっシャキッとしなさい!!
風呂から上がったカナが缶ビールを両手に持ちリビングに入ってくる
カナ:香織さん、子供は寝たの?なら、飲もうよ
香織:ありがとう!ところで、この子誰?
カナ:あ・・・忘れてた・・・こいつ、下着
被せるように男が話し始める
男:えっ冤罪なんです!僕はただそこで・・・
カナ:何が冤罪よ!私の下着持ってマンションの前いたじゃないっ!
男:だからっ、僕は拾っただけなんですって
香織が制するように声のトーンを下げて話す
香織:うるさい、もう少し静かに話してくれる?子供が起きちゃうでしょ
カナ:ぁ・・・ごめん
香織:ねぇ君、本当に拾っただけなの?
男:そうです、僕がこのマンションの前を通りかかった時、落ちていたんです。
男:その・・・赤いパン・・・ツが・・・
男:そしたら、この女の人が、僕の腕を掴んで下着泥棒だと勘違いして・・・
香織:それで、ここに正座させられてたと
男:はい
カナ:冤罪?何言ってるの?盗んだに決まってるじゃん
香織:それで、その盗まれた赤い下着を今つけてるのね
香織:透けてるから上になにか羽織りなさい
カナ:あっ
香織:もう、いつもは女だけの家だからってその格好はないっていつも言ってるでしょ
香織:あと、ついでに何かおつまみ持ってきて。それと、ビールお代わり、2本よろしくね
男:あの。。。目のやり場に・・・
香織:私はいいの。見せてるから。いいんだよ、見ても
男:・・・
香織:君、案外・・・かわいい顔してるね
ビールとつまみを持ったカナが戻ってくる
カナ:なーに、誘惑してんの?下着泥棒なんかに・・・
香織:えーこの子冤罪だって言ってるしさ
カナ:そりゃ、冤罪って言うでしょ、誰だって
男:本当なんですって
香織:ほーら、冤罪って言ってるじゃない。それより、君も飲む?
男:あっありがとうございます
カナ:下着泥棒のくせに飲むなよ
男:いや・・・
香織:いいじゃない、下着泥棒でも・・・そうでなくても・・・
カナ:あっ本音出てるじゃん!若い男なら誰だっていいって言うの?
男:いや・・・僕は・・・
香織:誰だっていいなんて、人聞きが悪い。私だって選ぶ権利はあるわ
香織:顔も・・・そこそこだし・・・?
カナ:はー?こんな根暗そうな男のどこが?
男:だから、その・・・
香織:根暗とか言わないの
カナ:喋るのも歯切れわるいし!鈍臭そうだし!何より、下着盗むような男よ!
男がつまみに手を伸ばす
カナ:あんた図々しすぎ!
香織:いいじゃない。ほら、チーズも食べていいよ
男:あ・・・ありがとうございます
香織:カナもほら飲みなさいよ
カナが残りのビールを一気に飲み干し缶をテーブルに置く
カナ:はいはい、飲みました。次持ってくるけど、香織さんもいる?
香織:もちろん飲むよ、新しいのお願いね。この子の分もね
カナ:わ・か・り・ま・し・た
カナは気怠そうにキッチンへビールを取りに行く。
香織:ところでさ、ここ五階なんだけど、君どうやって盗んだの?どこ住んでるの?赤いパンツが好きなの?
香織:黒は・・・きらい?
男:だから、拾っただけなんですって!
男:く、黒も・・・
香織:黒もってことは赤いパンツ好きなんだ
香織:えっち
男:いや・・・それは言葉のあやと言いますか。
香織:何?社交辞令なの?
ビールを持って戻ってくるカナ
カナ:何言ってんの、この変態!
香織:え?この子が?それとも・・・私が?
カナ:両方よ!
男:だからっ、勘違いですから!
男:だってここ、五階ですよ!オートロック付いてますよ!
カナ:・・・普通に入ってくればいいじゃない!オートロックだって入る方法なんていくらでもあるでしょ!
香織:ねぇカナ・・・私、今日は半ドンだったから、昼からはずっと家にいたよ?
カナ:え!?
カナ:じゃ、じゃあ、本当に・・・とって・・・ない・・・の?
男:だから、最初からそう言ってるじゃないですか
ため息まじりに香織が話し始める
香織:カナ・・・貴女のその、早とちりしやすいとこ、直さなきゃだめよ
カナ:うっ・・・
男:それに、貴女みたいな女性よりも僕は・・・
どこに目をやればいいか分からず、男は香織の方へ視線を向ける
カナ:は?あんた、香織さんは子持ちよ!!歳だってあんたより一回りも上なんじゃないの!?
男:いや、ちがっ・・・
香織:カナ・・・若さだけが、魅力じゃないのよ?
男:・・・
カナ:別に私だってそれなりに・・・
香織:え?なに?それなりに?
カナ:ないわけじゃないもの・・・
男:その・・・どこに・・・
カナが男の頭を叩く
酒が弱いのか、酔いの回った男がぽろりと本音をこぼす
カナ:うるさい!
香織:ほら、ムキにならない。まずは、謝りなさい
カナ:・・・
香織:貴女の勘違いだったんでしょ?
カナ:・・・ごめんなさい
カナ:でも、アナタもあんなところにいたんだから・・・
カナ:紛らわしいのよ・・・
香織:何?言い訳?そんな、言い訳するような子、うちには置けないっていつも言ってるでしょ?
カナ:ごっ、ごめんなさい!
香織:私にじゃなくて、この子に
男:いえ、もういいです
男:別に、怒ってなんていませんから・・・
香織:ほーら、カナにはそっけないのは、第一印象が悪かったからじゃない?
カナ:は?別にいいよ!こんな男・・・別にいらないし!
カナ:私にはもっといい人ができるんだからっ!
男:・・・
香織:なんで、そんなムキになってるの?
香織:実は、カナもいいなって思ってるんじゃなくて?
カナ:そんなことないっ。だって下着・・・
カナ:泥棒・・・じゃないんだ・・・
顔を赤くしたカナがチラリと男の方を見る
男:あの・・・僕、パートナーがおりまして
カナ:は?あんたに!?嘘つきなさい
男:嘘ではなくて
香織:君、彼女いるのに・・・私のことジロジロ見てたの?
男:そんなジロジロ見てなんて
男:それに僕のパートナーは・・・
男:というか僕・・・女です・・・
香織:・・・
カナ:・・・
香織 カナ:『は!?』