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【随想】王道の始め ―コロナ施策に思うこと―

新型コロナウイルス感染拡大に対する、世界各国の施策の違いを見るにつけ、思い起こす言葉があります。

養生喪死無憾、王道之始也。

生を養い 死を喪(おく)りて 憾(うらみ)なからしむるは 王道の始めなり。

『孟子』梁惠王・上

生ある者を十分に養い、死んだ者を手厚く弔うという意味で、孟子はこれを政治の基本とすべきであると説いています。

ただでさえ感染の恐怖から逃れられないのに、その上、経済的な圧迫に押し潰されそうな国民。その国民の生活を保証することが、政治のあるべき姿、つまり王道です。

ここに紹介する安彦良和『王道の狗』は、明治政府の非道と、それに抗おうとする個々人の戦いを描いています。上記の言葉を初めて知ったのも、この作品がきっかけでした。

明治以来、この国の体質は何ひとつ変わっていない。愚かな歴史が、今も繰り返されようとしています。われわれはまさに王道の「狗」にならなければーー声を上げなければ、後世に恥と不幸を遺すことになるのでしょう。

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