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お守りと置き石

最高にトゥースな東京ドームライブ

2024年2月18日 オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム
「オードリーが好きだ」ということを誇りに思える1日だった。
(全編通して敬称略であることをご了承ください)

ライブ当日、朝から東京ドーム周辺はリトルトゥースで溢れかえっていた。
実生活ではラジオを聴いているという人すら全く見かけないのに、一体どこに潜んでいるのだろうか。
地元の方なのか「えっ!?オードリーのライブ?アイドルのライブかと思った!そんなに人気なの?」と言う声も聞こえた。
本人たちだけではなく、裏方の番組スタッフ(チーム付け焼き刃)までおそろいのユニフォームで"のぼり"になっていて、ファンがそれと一緒に写真を撮っているようなイベントなんて他に聞いたことがない。

オードリーとスタッフの“のぼり”

ラジオの番組イベントというだけで内容を全く聞かされずに東京ドームには5万3千人が来場し、ライブビューイングと配信合計で16万人が集結したらしい。
はっきり言って異常だろう。
まさに宗教だ。

17:30開演

ライブは星野源作曲のテーマソング「おともだち」のオープニングムービーから始まり、フィールド・オブ・ドリームスやメジャーリーグといった予告通りのパロディが続く。

「お前がそれを作れば、みんながきっとやってくる」

「If you build it, he will come. 」フィールド・オブ・ドリームス

エンドステージにいつものラジオブースがスモークを浴びながら奈落からせり上がってくる。
ビタースウィート・サンバにのせてLEDビジョンのトウモロコシ畑の中から背番号1を背負った若林が登場。
エミネムのごとく跪き、眼前にロードバイクが現れる。
この日のための体力づくりの基礎となった相棒とアリーナ中を凄まじい速度で駆け巡りエンドステージに上がった。

©オリコンニュース

同時に3塁側ベンチからは春日扮する「チャーリー・シーン」がチーム付け焼き刃の間を割って入場。
背番号2番のユニフォームからいつものラジオスタイルのラフなTシャツと便所サンダル姿に着替えてドーム内を悠々と闊歩する。

©オリコンニュース



2人とも誇張ではなく本当に輝いて見えた。

ステージに上がり、こう言い放つ

若林「今日はラジオをやります。」
春日「東京ドーム、カスミン」

ことごとくいつもと変わらない2人だ。
そして本当にその宣言通り、いつも通りのトークがステージ上のラジオブースで行われた。

トークゾーン

©オリコンニュース


若林は「今」、春日は「昔」がテーマで、その対比が印象的だった。

同じことの繰り返しに「飽きた」若林は新しい試みとしてUberEatsで目的を持って自転車に乗る。これまでモノクロだった世界がカラフルに見えたという。
このレベルになっても316円の配送料や、196円のチップのためにあの手この手を尽くす様はとても一流芸能人とは思えない「こっち側」を感じさせた。

春日は幾度もラジオで話題に上がる、部活帰りに足繁く通っていた町中華「長楽」のポークライスを再現し、若林のために持参。
それを食べると同級生に戻る2人は最高の「おともだち」だった。

チェ・ひろしのコーナーでは春日のゲレンデ(推定価格1700万円)にバレーボールマシンで剛速球をぶち込み、生クリームバズーカを2連射、一斗缶の壁に衝突、さらにはロードバイクで追突、やりたい放題のワルガキ若林。

東京ドームを満員にさせるスーパースターになってもずっと変わらないことをしている、男子学生の部室ノリのままの2人が好きなんだと再認識させられた。

春日VSフワちゃんの味玉トッピング永久権争奪マッチ

ドケチの春日が奥様のクミさんにラーメンの味玉トッピングをさせないことを発端に発生したプロレスマッチ。
クミさんの代わりに親友のフワちゃんが戦うという構図。
この場合、春日はヒール。つまり悪役なのだが、リトルトゥースはブーイングに慣れていないばかりか、髪を下ろした春日の潜在的なビジュアルの良さと、そのスター然とした振る舞いから拍手が起こってしまっていた。
例に漏れず自分もその一人なのだが。

フワちゃんの𝕏


しかし、そんな我々でも解説のサトミツが「気持ち悪いですね!ブーイングの一つでもあっても良さそうですけどね!」などと見方を教えてくれるのでブーイングをしながら楽しむことができた。
いつもは騒がしいだけのように見えるフワちゃんもこの時は可愛く見えた。
これは本当なのだが、誰も信じてくれない。

フワちゃんの𝕏

MC.waka と おともだち

エンドステージにはターンテーブルが現れ、過去のラジオでお馴染みのフレーズがビタースウィート・サンバをベースにDJプレイで展開されていく。
とんでもない下ネタで終わったかと思えば、モニターにはオレンジ色のJordan1。
「Orange」のイントロが流れる。

「久しぶりだな,東京ドーム」

星野源だ。
瞬く間に東京ドームの空気が変わる。

二人 背中 光 浴びて
歌い歩く この道

星野源(feat.MC.waka)「Orange」

阿佐ヶ谷から出てきた2人によってそこはアメーバ状に混ざり合う空間へと化した。

©オリコンニュース

身の丈知って蹴った ゴールデン覇王
射陽 助走して開放
ドームの花道 余裕で散歩

Pop Virus feat.MC.waka(東京ドームバージョン)

ゴールデン番組の覇王ではなくとも自分のやりたいことを貫いて東京ドームを超満員にさせる姿は観客にどう映っただろうか。
天を仰いだ先に居る前健さんも見てくれているに違いない。
「お前ら調子こくなよ」と説教するのか、この日くらいは「大したもんだな」と褒めてくれるのか。

死んでもやめんじゃねぇぞ

これでもかというほどにいつも通りの展開が続く。
くだらないなと思いながらも2人と一緒に笑ってしまう。
このコーナーのMVPは満場一致で「ラジオネーム 泡立てネット」だろう。
ここで解説するのは無粋なので円盤化された際に実際に見て欲しい。

漫才


©オリコンニュース

この漫才のテーマは感謝だった。
宿便のように溜まった感謝を肛門から排泄し、「感謝のバット」にして客席にホームランを叩き込む。
2人のダブルバッティングで「感謝のボール」を打ち返したとき。存在しないと分かりきっているはずの打球をスタンド席の方まで目で追っていた。
確実に届いた。
同時にリトルトゥースからも感謝の気持ちが溢れていたのは言うまでもない。

「みんなのお守りになるようなライブやりたいなと思ってたけど、お守り貰っちゃったのは俺の方だったな」

事前抽選で4次まですべて落選したときの落胆、リセールでアリーナのチケットを手に入れたときの興奮は忘れられない。
ライブまで毎日オードリーのコンテンツを見続けた。
しかしその反面で、東京ドームライブが終わってしまうと喪失感に苛まれてしまうのではないかと心配していたが、それは杞憂だった。
ライブが終わったあとも同じ熱量を持ち続けているどころか、より強いものとなった。
自分にとってお守りをもらったというのは、そういうことだと思う.

何年後になるかわからないけど
お互いトゥースだったら、またやろうよ

このライブにかけるオードリー、特に若林さんの熱量とプレッシャーは計り知れない。
YouTubeを見ていても本気で満員にならないことを心配して宣伝活動をしていた。
それ故にこのライブが終わると燃え尽きて居なくなってしまいそうな気もしていた。
「またやろうよ」と言ってくれたのは最高に嬉しかった。
自分は特大の感謝で作ったお守りを渡したつもりだし、あの時間を共にしたリトルトゥースは全員そうだと思う。
そしてこの日は自分の人生の置き石となった。

トゥースとはもともとアメフトの掛け声で「集合」という意味らしい。
この日にトゥース出来たのは最高にトゥースだった。
それ以上の言葉が浮かばないし、必要ないと思う。

今日は奇しくもあの椅子を破壊してからちょうど8年らしい。
今夜はどんな話をするのだろうか。
東京ドームのことは触れない方がカッコいいと思って話さないかもしれない。

我々はいつも土曜深夜一時に喋り続けていくんで
気が向いたらまた聴いてください

これだけ大勢いたリトルトゥースはまた素知らぬ顔をして喧騒の中へと紛れ込んでゆく。
しかしまた相変わらず毎週土曜の深夜一時になると集まるのだろう。
同じ周波数のムジナなのだから。




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