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すみっコぐらしの映画見た話(後編)

⚠️映画のネタバレを含みます

映画が始まると、思ったよりデカかったドリンクを吸いながら粗探しを始めた。

結論から言うと、粗探しなんかするもんじゃなかった。
子供向け作品について別に詳しくないのに、粗を探して見つかるものか。
子供向けはどの程度の書き方が良いのかわかってないのに、文句なんかあるのか……ないです。
「もし私が自分らしくこの作品を描くなら」で考えたら、まだまだ書き込める隙はあるな、とは思った。
しかし私の考える書き込みは必ずしも「すみっコぐらし」の世界に必要かどうかは怪しい。何なら解釈違いを起こす。
誰だお前ら、すみっコじゃないだろ。

絵本テイストな作品であるために、描かれない部分は沢山ある。
とかげがなぜ親元から離れたのかなど、正直みんなの過去が見たい。書けば絵本ぽさがなくなるし、世界観がぶっ飛んでいくのでダメだろうけど。
描かれていないから嫌、わからない、面白くないなんてことは全くない。
むしろ、彼らの出自はさわり程度しか出てきていないのに、しっかり組まれているように感じた。
「彼らがどうしてここでこの行動を取ったのか」がわかりやすい。一貫している。
取った行動から垣間見える、彼らの性格さえも矛盾がない。
たまに、高く評価されているような作品でも、雰囲気だけで行動の理由があまり明白じゃないことにモヤモヤすることがあった。
性格を作り上げるって簡単なようで結構難しいと今までの経験上、私は感じている。
故にそこがすごいな、と感じられた。
特にここら辺が……と言おうとするとちょっと時間がかかるし覚えきれてないので説明はできないが、これはきっと絵コンテからちゃんと組まれてたんだろう。

そして私は今回、泣きはしなかったがウルウルくるところはたくさんあった。
キャラクターたちは全員、優しい心しか持たない。
優しいからこそ、悲しみが深く現れる。
特にまほうつかいのふぁいぶが仲間に置いて行かれたシーン。
ティーセットを出そうとしてバケツを出したり、ドーナツ(かバームクーヘン)を出そうとしてタイヤを出したりと真面目だけどなかなかうまくいかないふぁいぶ。仲間の魔法を見てちゃんとメモしているけれどなかなかうまくいかない。
そんな健気な子が、取り違えで置いてかれてしまう。
優しい世界で起きたからこそ、悲しさがいっそう募る。
同じように、自分の居場所に帰りたくても帰れないとかげが家に連れていってあげるという展開も優しいし悲しい。
ふぁいぶはみんなと暮らしながら、彼らに恩返しをしたいと夜にこっそり魔法を練習していたのもかわいい。
それよってすみっコたちがちょっとおかしくなってしまった時に、ちゃんとすぐ謝るふぁいぶ。それを咎めないとかげとエビフライのしっぽ、たぴおかたち。失敗しても頭ごなしに怒られない世界、いいなぁ〜〜〜〜。私もその世界行きたい。
そして、みんなでどうにか魔法を解く。ちょっと解けるの早くないか? とは思ったけど、まあそこら辺は子供向けだから。
しかしまあ理想の世界すぎてそっちに泣けてきそう。何でこの世界はクソなんだ……

こんな優しい世界でも、悪っぽいやつらもいる。メインキャラではないが、スミッシーを収めようと湖に向かってカメラを設置しているやつ。
某小学生名探偵アニメの犯人のような姿の彼らは、湖に住んでいるとされる恐竜「スミッシー」で一発稼ごうなんて思っているのだろう。
とかげが可哀想なのでやめてくれ。
別にはっきりと描かれていないけれど、優しい世界なだけじゃないという描写があるのはすごい。
すみっコたちの世界は優しくない部分も存在するなんて、ありえそうでも残酷。
書かなくていいかもしれないのに、ある。
とかげに感情移入してほしいからかもしれない。
いやそれでも残酷。

とかげ自体もそれをわかっていて、親と離れて暮らしている。
どんなに会いたくても、なかなか叶わない。
叶ったとしても、ちゃんと自分の家に戻る。湖に帰ろうとはしない。
ここも、分別がついているからこそ辛い。
今回は特にふぁいぶが帰れるのに、とかげが帰れないという対比構造が見える。
ふぁいぶは、仲間たちがどうにかこうにか知恵を絞って迎えにきてくれた。
しかし、とかげはどうしようもない。
あの真っ黒モブすみっコたちがいなくならない限り、とかげの夢は叶わない。
しろくまたちの他のすみっコたちの夢も叶ってはいない。
それでも幸せに暮らしている。
荒んだ創作者から見ると、悲しいところがたくさんある。
すみっコたちが幸せになりますように。

こりゃあ、子供向け作品と侮ってはいけない。わかる。
しかしまだ、前作を見ていないので、これ以上は語れない。
今すぐ見てきます。

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