人生で一番の謎
とある冬のこと。
忘れん坊の私は、家に帰ろうと学校を出たのだが傘がない。
扉の外を見てみると外は吹雪だった。
やっちまったよ…いつものことだけどしんどいな……
学校…やっぱり楽しくないな。見晴らし悪いし、誰か轢き殺してくれないかな……
とネガティブな声を頭の中で鳴り響かせながらあるき続け、信号待ちで止まった。
あーあ、生まれ変わったら橋本環奈になりてぇよ…チヤホヤされたい…モテたい…金がっ…ん??
「ふみちゃん!!!ふみちゃーん!!!!!」
知らないおじさんが叫んでいる。
私は振り返り立ち止まると、おじさんが駆け寄ってきた。
「傘、貸してあげるよ。おじさんの会社そこだから。今度返しに来てくれればいいから!じゃあ、気をつけてね」
「…はい。」
誰だっけ?やっぱり思い出せないや。
外は寒いのに、心は暖かくなり、軽い足取りで家に帰った。
そして夜は明け、私は傘を返しにおじさんが指差していた会社に向かった。
「どうされたんですか?」
可愛い事務員さんが優しく尋ねる。
「昨日はありがとうございました。」
「あら?これ社長の傘…?なんであなたが持ってるの?」
「昨日、社長さんに傘借りたので…」
「人違いだと思いますよ、社長は一週間前に亡くなった…えっ……」
「どうしたんですか?」
手元をのぞくとその傘には社長さんの名前が書かれていた。
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