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240円の[MONTECRISTO]は


めっちゃうまかった。

1.外観

小さくてもハバナ

箱ではなくバラで買ったため、細かい区分などはわからないが、全長は80mmちょっと、直径は10mmそこらだ。
その小さな体にどれだけのポテンシャルを秘めているのか、ハバナ産の真価を確かめさせてもらおう。

情報量が少ない
多くは語らないのは自信の表れか



2.開封

獣臭さが強い。正直この大きさの葉巻で、ここまでしっかりと発酵臭(?)がするのかと驚いた。
吸い口はだいぶ広く切られている。細い葉巻の煙の濃さが得意ではない私としてはありがたいものである。



3.着火

火がついた時点で出た煙がもう甘い。
これすごい。すごい!
着火前の匂いとは打って変わって、刺激とは正反対の心地よい香りがする。
これはとんでもないものかもしれないぞ。



4.喫煙

僅かずつ煙を吸い込む。強く吸い込んで燃焼が早まるのがもったいない。
口内に入ってくる煙は柔らかく、舌先に触れる感触も甘いとさえ感じさせる。
しかし私は煙の味というものが、いまいちよく分かっていない。辛いか辛くないか、という痛点の情報しか認識できないのだ。
それでもこの煙はまろやかだった。この程度でしか形容できないが。
私にとっての喫煙の本分は立ち上る煙の香りである。

ああ、良い。すごく良い。
保管方法を大きく間違ったバスコダガマの時とは対照的な、煙特有の、生命を害する感覚を見逃せるほどの香り。
初めて葉巻を吸ったときに、稀にふと感じた甘さがほぼ常に続く。

くどいとさえ思えるが、半分ほど吸った頃でも案外飽きが来ない。
だが少しばかり、酔ったような感覚は出てきた。おそらくこれまで吸ったことのある葉巻より、圧倒的にニコチンが多いのだろう。
これがヤニクラという現象なのか。

残りの長さ三分の一程度になると、流石に辛さ、というよりも熱さ? が出てくる。
いくら匂いが良いとはいえ、これはあまり好きではない。
そこで思いついた。
吸うのではなく吹くことに努めれば、火も消えず、口内も不快にならないのではないか。

結果から言うとこれは失敗で、いくら強く吹こうとも火は消えた。やはり熱を内側へ引き込むという動作が必要らしい。
吹くだけでは現状の火を栄えさせることはできるが、次の燃焼箇所へ火の手が伸びない。

ダメだったか。観念して恐る恐る吸い込む。熱い。辛い。
そして唇の葉巻と接触していた箇所、舌の先がスーッとする。強めのミントタブレットが付着した程度に。
なんだこれ。初めてだ。こわ。

ちょっと吸うの止めよう。
これはもう私の手に負えるものではなくなってしまった。
私は流しの引き出しから爪楊枝を持ってきた。

これで刺し、吸わずに炙り、燃やす。



5.焼失

残った長さは四分の一に届くか届かないか、といったところ。
爪楊枝を探しているうちに火は消え、僅かな温みのみを残した吸いさしを手に取る。
これからやることとしては、何かを致命的に間違ってしまった焼きマシュマロが近い。
直径方向に爪楊枝を突き刺す。貫通するかしないか、という程度で止める。

あとはライターで火炙りの刑だ。
こうなってからでしかできない体験だからせっかくだと、葉巻をくるくると回しながら火を通す。
熱燗だってコップまでも温めるのだから、きっとこれでいい。全体が熱を帯びてくる。
火は、あえて吸い口側から点けることにした。

おお。
副流煙は辛くないし、熱くもない。
うむ。
短くなったら、こうやってただ燃焼させよう。
辛い味が好きではないのなら、吸わなければいい。
衒った奇行に成り下がるかという心配は払拭され、これは思いのほかコペルニクス的転回といえるかもしれない。

焼けていく葉巻をくるくると回す。酸素の供給にもなるし、高速回転する葉巻という前例を見ない何かを目の当たりにもできる。
全体が灰になってきた。
ここまですれば、味わい尽くしたと胸を張ってもいいだろうか。

おや。
なんか煙の量が多くなってきた。
匂いにも雑味が入ってきた気がする。
今まで吸引して葉巻内に沈着した炭素のせいか?
それとも吸い口付近ではこうなる?

あ、違うわこれ。
木の焦げる匂い。
爪楊枝が燃えてんだ。

慌てて灰皿の上に葉巻を持ってくると、爪楊枝の先端と一緒に葉巻は落ちた。
爪楊枝の残った部分で灰を崩すと、中ではまだ火が燻っていた。



6.結論

初のキューバ産、ハバナ産の葉巻。多分区分としてはシガリロ。
喫煙時間は30分から40分、BBQもどきは20分程度。
めちゃくちゃうまかった。私は着香的な甘さではなく、きっとタバコの葉本来の甘さを求めているのかもしれない。
ただ現時点でロースト感とかナッツ臭とか、そういう葉巻の論評に使われている言葉たちの正体さえ分かっていないので、吸ってもいいものかという遠慮もなくはない。
いま買いにくいしね、キューバの葉巻。

まぁ、毎日こんなの吸ってたら色んな意味で絶対頭おかしくなるし、たまに吸うくらいがちょうどいいのだろう。

そんな感じ。葉巻を吸うならキューバ、と言われていた意味が分かった。少なくとも葉巻に触れたての時期に一度でも吸っておけば、今後の自分の方針というか、指標になり得る。
ゲバラの愛した(らしい)葉巻、モンテクリスト。最後まで楽しむなら、金属製の串なんかを用意して臨もう!

ここはどこだ