年金の未来を変える?GPIFの外国株式貸し付け再開
1. はじめに
こんにちは、Nosyです。
今日は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の外国株式の貸し付け運用の再開について、わかりやすく解説していきます。(でもちょっと長いかも)
2. 貸株制度とは
貸株制度は、株式を保有している投資家が、他の投資家に株券を一時的に貸し出すことができる制度です。
借り手は、その株券を売買する権利を得ますが、所有権自体は移転しません。
この取引から生じる貸株料が、貸し手の収入になります。
主にヘッジファンドなどの投資家が、短期的な取引戦略のために利用します。
3. GPIFと貸株
GPIFは、公的年金の資金を運用する世界最大級の機関投資家です。
外国株式の貸し付けを通じて年間約120億円の収益を上げていましたが、議決権行使ができなくなるという問題で2019年に停止していました。
これは、貸し出された株式は、借り手に名義が移るため、その期間中は原本の所有者である貸し手(この場合はGPIF)はその株式に関する議決権を行使できなくなるからです。
※議決権とは、株主総会などでの投票権を意味し、企業の重要な決定に対して声を上げる権利です。
しかし、今回株券を一時的に手元に戻すことで、議決権行使と収益の両立を図る新たな仕組みを導入し、運用を再開することになりました。
4. 貸株再開の背景
GPIFの貸株停止は、スチュワードシップ活動との整合性や貸株の乱用への懸念が主な理由でした。
スチュワードシップ活動とは、お金を預かる側(投資家)が、そのお金をどう使うか、特に会社に投資する場合にその会社の運営を良くするために積極的に関わることです。
しかし、2022年に実施された株式市場への影響分析や関係者ヒアリングでは、貸株停止による市場への悪影響は見られませんでした。これと並行して、外国株式保有額が増加しており、貸株による収益の機会も大きくなっています。
5. 貸株再開による影響
貸株制度の再開は、GPIFにとっては収益源の確保、市場にとっては流動性の向上を意味します。
ただし、議決権の行使という投資家の大切な権利が、貸株期間中は制限されることには変わりありません。
GPIFは、重要な議決権行使が必要な時には、株券を返却してもらうオプションを設けることで、この問題を解決しようとしています。
6. 貸株制度の問題点と批判
貸株制度には、空売りを通じて株価下落を促すという批判もあります。
一方で、投資の流動性を高め、市場の効率性を向上させるという利点もあります。GPIFのような大規模な投資家が貸株市場に参加することで、これらの議論はさらに活発になることが予想されます。
7. まとめ
GPIFの外国株式の貸し付け運用再開は、機関投資家としての収益追求と投資家としての社会的責任を両立させる試みです。
この動きは、私たちの年金運用の効率化だけでなく、市場全体の流動性や効率性にも影響を与えるでしょう。
今後もGPIFの取り組みは、多くの投資家や市民にとって注目のポイントになります。
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