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『旅先から・1』
主に海外の旅先で絵葉書を書くようになったのはいつからだったか・・・。絵葉書を書くようになったきっかけは、一緒に出かけた旅先で母がよく書いていたのを見ていたからだった。
母は友人たちと手頃なツアーを見つけてはいまでも海外旅行を続けている。枚数はいくらか減ったようだが、旅先から親戚や友人にお土産代わりに絵葉書を出すのも続けている様子。
自分の帰国のほうが絵葉書の到着より早いのはもちろん分かっているが、母は息子たち(僕と弟)にも同時に絵葉書を出す。親戚や友人にちゃんと届いているかと、どのくらいの日数で日本まで届いているかを見るためだ。母からの僕と弟への絵葉書は結構な枚数だ。
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高校一年生の冬休みに家族でハワイに行った。中学時代の仲良しグループのみんなに年賀状代わりにハワイから絵葉書を出した。冬休みにハワイに行くことをそっと告げた何人かの高校のクラスメイトにも出したかもしれない。このときが初めての「旅先から絵葉書」だったと思う。
「あけましておめでとう」と書いたハワイの絵葉書は年内に着いてしまった。ワイキキの郵便局から自分で切手を買って投函したまではよかったのだが・・・。
旅先からのお土産で何が一番嬉しいかといえば、それは絵葉書。ずっと変わらない。
その絵葉書が自分にとって未踏の地からのものだとしたら、「どんなところなんだろう?」と想像が膨らむ。訪れたことがあるところからだったら、「○○さん、何を見て、何を食べたのだろう?」と、これまた想像が膨らむ。
食べれば消えてしまうお菓子や、寝間着代わりになってしまう地名入りのTシャツもありがたいが、やはり絵葉書が一番嬉しい。
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旅先で絵葉書を書く。海外出張の際は仕事も会食も終わった後のバーや自室。休暇の際は、次の予定までの空き時間に自室にいるときや、一日の全ての予定を終えて後は寝るだけというひとときだ。
休暇の旅先では絵葉書を探すために時間を割くことは少ない。街歩きの際に数多の絵葉書が自らこちらに向かってくる感覚である。これはと思うものを手に取っていく。
仕事での旅先で絵葉書を選ぶのは滞在するホテルのロケーション次第だ。ダウンタウンの場合はまだしも、郊外の空港に隣接しているホテルの場合はせいぜいホテル内のショップで探すことになる。あっても種類も乏しく選択肢も限られる。
ショップに目ぼしいものがない場合は、部屋に備え付けのファイルにあるそのホテルの写真やロゴが入った絵葉書を使う・・・あれば。最近は封筒や便箋さえも部屋に備え付けてないホテルが多くなった。
部屋にある分では足りない場合はハウスキーバーにチップを渡して必要なだけ持ってきてもらう。何枚かは自分の思い出とコレクションになる。
ホテル名はもちろん、地名も入っているので使い勝手は悪くない。ホテル名が「仕事で来ています感」も出してくれる。
街で絵葉書を買う際は多めに買うので必ず余る。その都市を再訪する際は必ず前回余った絵葉書を持参することにしている。改めて同じものを買わないようにするためもあるが、その土地に行かない限り、手元に残っていても永遠に使い勝手がないからだ。
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仕事での旅先では郵便局へ切手を買いに行く時間はない。ホテルのフロント頼みとなる。書いてきた絵葉書の枚数を告げ、言われるがままの金額を払い、託して完了。
切手のデザインを最初に目にするのはその絵葉書を受け取った友人たち。帰国後彼らが「届いたよ」と見せてくれない限り切手のデザインを見ることは永遠にない。
休暇の旅先では絵葉書を書いて現地の郵便局へ行く。これまで訪れた海外の郵便局はいくつあるだろうか。
2014年に台北に行った際の旅の記録にそのときの様子が残っている。ホテルのフロントで郵便局の場所を尋ねると、ジョギング用の地図を差し出して詳しく説明してくれた。
現在は誰にも尋ねることなく、真っ先にスマホのアプリでチェックだろう。しかし、ホテルの場合はこういう地図を用意していて丁寧に説明してくれる。
スマホで検索して地図アプリで場所を確認している時間より、フロントやコンセルジュに尋ねてしまったほうが早いし確実な気がする。
教えてもらった道筋を理解するまで何度でも聞けるのもいい。ここで時間をかければ道に迷ってせっかくの時間を失うリスクは軽減されると思う。
それにホテルのスタッフとのやり取りに旅中を感じられるし、地図は手元に残る。何年も経ったいまでもこうして旅の思い出として存在している。どちらがいいかはそのトラベラーの旅の流儀によるところか。
この時間の使い方は一人旅なら十分可能だ。グループ旅行だったら難しいだろう。道に迷った場合の時間のロスのダメージを負うのは自分ひとりだけではないし。
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郵便局には迷うことなく到着。教えてもらって辿り着いた郵便局は、日本でいう本局クラスの大きさの郵便局だった。
「ここは郵便局です」という外に向けてのアピールでそこが一目で郵便局だと分かった。「ただのお役所的な郵便局ではないかもしれない」と、郵便好きには期待が持てる佇まいだった。
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職員の対応もこちらのような外国人が相手であっても申し分なし。嫌な思いはひとつもしなかった。ここでも流石台湾と唸った。
エアメールのラベルはシール式でも、切手と同じく裏面を濡らすと糊が溶けて郵便物に貼れるタイプでもなかった。
いまではほとんど見ることがなくなった、かつて日本では蓋の付いたチューブ式だったあの糊が、プラスチックのやや大きな容器に入っていた。
容器に刺さっているヘラでラベルに塗って貼るスタイルだった。海外の旅先で昭和の日本を見た気がした。
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投函するポストも趣があっていい。ここはやはり外国という感じである。ひとつにまとめずあえて用途別にして、色も変えているところが利用者にとても親切だと思った。台湾らしいところなのかもしれない。
表示が少ないということは、情報が多すぎず分かりやすいということ。台湾の人たちの優しさが郵便ポストにも見えた気がした。
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投函を終えると、ホッとした気持ちも少々湧いてくる。同時にそれぞれ一日も早く無事に友人たちに届いて欲しいと思う。特に僕からの絵葉書をいつも楽しみに待っていてくれる国内外の友人たちには。
そのホッとした気持ちはひと仕事終えた気持ちに似ている。絵葉書を買う、書く、郵便局へ行く、切手を買う、貼る、投函する。仕事に見えなくもない。せっかくのんびりしに来ているのに・・・。
過日少々「台湾ロス」に陥っていたので、仕事帰りに日本橋の誠品生活へ行った。その2014年の台北再訪時に郵便局を訪れたことを思い出させてくる絵葉書に出逢った。出逢ったときは何だか嬉しくてしばらく立ち尽くした。
何も考えずに適当な枚数を鷲掴みのように手に取り、気が付くと支払いを済ませていた。いまでも絵葉書でやり取りをしている海外の友人たちにこの絵葉書を送る。台湾の絵葉書に日本の切手でとなるが・・・。
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日本橋の誠品生活で衝動買いした絵葉書。そのときの気持ちを分かっていただけるかと・・・。
旅先でその国・その街の郵便局を訪れるのは楽しい。ほんの一瞬だけ現地の人たちの生活に溶け込めた気になる。
絵葉書を探すところから楽しみは始まる。旅先で絵葉書に向き合っているその時間だけ友人それぞれの顔が浮かぶ。
書き終えて郵便局へ。どんなデザインの切手が出てくるか待っている時間もまた好きなひとときだ。どこに旅をしてもこの楽しみをこれからも続けたい。
次回またどこかの街の郵便局の話を・・・。