【備忘録メモ】【EN】ZINE_Engineering―― 「霊長類フリーマガジン」のつくりかた ③企画募集編
■ 猿トリー(Entry)
当初個人誌として構想していた「【EN】ZINE」でしたが、目次を組む段階で多様な方々に参加して頂きたいという思いが募り、参加募集をかけることに決めました。
いま振り返ると、要件をほとんど定めなかった最初の「募集」はかなり大雑把で、ある意味リスキーな賭けだったと感じます。
しかし、それでも様々なジャンルの方から参加希望の声を頂きました。新型感染症の拡大に伴う自粛の波に列島が揺れるなか、「ひらかれた表現の場、発表の機会」を求めるひとが増えていた、という事情は寄稿希望が集まった背景にあったかもしれません。
多様な参加者が集った段階で、「この企画は走り出した」、そんな直感が降ってきました。それと同時に、もう自分だけのZINEではない、という実感も強くなりました。
よりハードルの低い表現の機会として、詩歌の募集企画も打ち出しました。ここでも新たな参加者が集まり、当初構想していた目次の素案を組み直しました。彩りゆたかなZINEの骨組みが姿を現しました。
■ 猿パシー(Empathy)
完全フリースタイルでの寄稿者募集を行うのと平行して、表紙のデザインはこだわり抜こうと思いました。しかしながら私の技量は限られており、どうしてもこの人に、という描き手にお願いしました。
ねんねんさんが丁寧に、魂を込めて仕上げてくださった表紙絵は、「【EN】ZINE」という1冊に真に迫る気魄を与えて下さいました。
1冊目の好評を受け、2冊目のフリーマガジン「【EN】ZINE Re:Boost!!」でも表紙絵をねんねんさんにお願いしています。
1冊目の制作や告知ではねんねんさんのご厚意に甘える形で表紙画像の使用や改変についてかなりなぁなぁな運用をしてしまっていました。
2冊目の制作の際、画像の使用についてきちんとした意識共有をねんねんさんと行おう、と決めました。(ちょうど同時期、笠井康平さん・小澤みゆきさんによる書誌制作過程そのものを題材とした同人誌「作家の手帖」を購読しており、書誌制作の管理体制に強く関心があったこともこうした対応の背景にはあります。)
画像へのコピーライトの追加や、記事掲載など再利用時にあらかじめ許可を得ることなどを盛り込んだ合意形成を事前に行うことで、納得感のある制作ができたと思っています(この記事への画像掲載も事前に許可を貰っています。ちなみにねんねんさんはとてもマメな方で、1冊目の段階からこまめに作品の進捗を見せてくださったので非常に信頼感を持っておまかせできました。気持ちよく連携してZINEを作ることができたことに感謝しています!)。
■ 猿チャント(Enchant)
2冊目のフリーマガジンとなった「【EN】ZINE Re:Boost!!」では、前作よりも細かく要項を定めて応募をかけました。
同人誌制作経験の豊富な方からのアドバイスも受け、文字数や文字色、フォントサイズといった形式的な仕様や、開始ページの左右の希望、プロフィール掲載などについても盛り込んだ上で応募を刈り取っていきました。
ただここでは誤算もあり、募集開始から非常に早い段階で参加希望者が集まったために、予定していたページ数を大幅に超過する恐れが生じました(※2冊目は1冊目の制作時のようには潤沢に予算を使えなかったため、経費節減も課題としていました)。
当初5月までかけてのんびり寄稿作品を調整しようとしたものの、寄稿の集まり方を鑑み募集開始から1週間で参加者登録を締め切ることになりました。この大幅な締切変更について私は十分にアナウンスをし切れたとは言えず、結果として手を挙げたのが早い順、といった不公平な選考になってしまったことはいなめません。大きな反省点のひとつです。
合同誌の制作においてはコンセンサスを得ること、予算なども含めた前提条件や基本的な仕様を十分明らかにしてフェアな募集を行うことが大切だという苦い教訓を得ました。
次回の記事では動物園や水族館という、「公共的な施設」を題材にして制作することに関する特殊事情について少し書き進めていこうと思います。今後動物園や水族館をテーマに創作を行いたい人に幅広く共有したいノウハウ部分になるかも知れません……。