CROSS†CHANNEL 七香とは何なのか
ネタバレ満載の妄想です。ご注意ください。
その正体は残りの16%
まず、本題の七香の正体の話に入る前に適応係数の話をしておきたい。
黒須太一の適応係数は84%とされており、重篤であるとされている。
そして群青学園に隔離されている少年少女の係数は平均で45%である。
宮澄見里に関して言えば30%を超えているとされるが、30%程度でもトラウマを抱え、過剰なマイルールを備え、重度の自傷癖を持っている。
また、太一の奇行は隔離されている他の生徒からしても異常とされている。
本題に入る。
太一は幼少期の経験により人格が完全に崩壊している。
現在はどうにか生活していくことは可能だが、その人格崩壊時に測定するのであれば適応係数は100%、すなわち廃人と判定されるのではないだろうか?
ではなぜ太一の適応係数は100%ではなく84%なのか。
物語の上では太一の今の人格は支倉曜子らによって新たに作られたものとされているが、曜子は太一を裏切った存在である。太一にとっては四面楚歌であり、その状況からいかにして仮の人格を作れたというのだろうか?
ここで重要な要素として関わってくるのが七香ではないだろうか。即ち、太一にとって赤子の頃の出来事ではあるが、七香という存在が居て、七香が一瞬だけでも母として太一に母親の愛情を注いだという事実があったからこそ、太一は適応係数が100%とならず、完璧に狂いきらず、廃人とまでならなかったのではないだろうか?
人は遺伝子と経験によって人格が形成され、経験によって成長する。トラウマとなるほどの経験であれば深く脳に刻み込まれ、なにがしかの要因によってフラッシュバックを起こすこともある。太一の場合は人間関係のトラブルを見たり、血を見ることで暴走し、殺戮の限りを尽くす。しかし、必ずしもフラッシュバックとは悪いものだとは限らないのではないだろうか?
日本語ではフラッシュバックとは過去の嫌な記憶が一瞬にして蘇るものとされるが、英語のflash back は「光が照り返す」「突然過去に戻る」などと訳され必ずしも悪いイメージだけとは限らない。
七香はいつも唐突に現れ、太一にしか知覚できず、太一のことを深く理解し、交流したことのないはずの曜子を憎み、太一を支える言動を取っている。そして「すでに亡き者であり、この世に存在していない」のである。
ではなぜその七香がループする、壊れた世界にもアクセスしているのか。
それは、七香は太一の中にある封印された記憶の象徴であり、太一がどうにか人と関われるまでに至ることが出来た土台、太一の人としての出発点としての愛情の象徴だからではないだろうか。血を見ることで起きるフラッシュバックを悪とするのであれば、七香は太一の窮地に出現する、太一を人に戻そうとする善のフラッシュバックとも呼べる事象なのだろう。即ちストーリー上で唐突に現れる七香は太一が所有する、太一を助けるための別人格というのが答えではないか。これならばそもそも赤子の頃にしか太一が接していなかったはずの七香が現在の太一を深く理解していたり、ストーリーの中での太一の活動を見ていないはずなのに知っていたり、曜子との関係性を理解していたり、太一だけにしか認識出来なかったり、現在の太一と会話をしたり、太一が到底理解しえない事象を七香も理解できなかったり、一見神出鬼没であるにも関わらず太一を導く言動を取れるのかにも理由も説明がつく。文字通り、太一と一心同体であり、共に生き続けてきたのだから。