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ローゼルを煮詰めながら。

 最近、ツイッターは専ら発信専用になっていた私。皆さんの渾身のツイートを読むたびに自分の「できなさ」とか「不器用さ」とか「思慮の甘さ」とかを思い知らされたり、事件や事故が起こるたびに埋め尽くされるそれぞれの立場からの言葉に混乱したりしていたからだ。

 そんな中だったが、偶然、本当に偶然、このツイートは目に飛び込んできた。

 就労継続支援B型事業所「三休」の世古口さんのツイート。私が世古口さんをフォローしているのは、以前、オンラインのイベントでご一緒して、「楽しそうにお話をする方だなぁ」と思って、気になったから(世古口さんは覚えていらっしゃらないかもしれないが)。そのイベントでは私はほとんど喋れなくて、福祉に携わる皆さんのお話をただただ聞いて「皆さんすごいな、熱いな」なんて、思っていたのを覚えている。

 余談はさておき。世古口さんのこのツイートを見て、ローゼルが何かも知らない私だったが、なぜか「これは欲しい!」と思った。障害がある方が作っているから、ではない。

 私は、「売れないと給料が払えないんだ・・・、気の毒に」と同情でものを買うような性格ではないのだ(だから学校の作業学習でも、綺麗な和紙を作りたいと思う。「障害のある子どもが作ったから買ってあげてください」ではなく「美しいから、いかがですか?あ、実は特別支援学校の生徒が作っているんですよ、綺麗でしょう?」と営業したくなる)。

 それならなぜ、ローゼルが何かも知らない私が、これを買いたくなったのか?それは、このnoteの最後に伝えようと思う(勿体ぶるなぁ、我ながら)。

 

 さて、ツイートを見てすぐに世古口さんと連絡をとり、ローゼルを送っていただいた。「急いでないので、いつでも大丈夫ですよ」とお伝えしていたのだが、代金の振込をすぐに行ったため、世古口さんが気を遣ってくださり、京都から千葉まで、たった一日で、ローゼルは到着した。


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 驚いた。一粒がこんなに大きいものだとは思わなかった。そして、綺麗だった。ローゼルはハイビスカスティーやジャム、塩漬けにできると知り、早速、週末にジャムを作ってみることにした。

 まず、がくの下で切り落とし、種と種じゃない部分に分ける。

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 この「種じゃない部分」をジャムにしていくのだが、調べると、ローゼルはフヨウ科、オクラの仲間だ。ならば、種を切ったらネバネバドロドロに違いない。それもジャムにしたら、よりジャムらしくなるのではないか。実際にやっている人もレシピサイトにいるし、よし、種を先に煮詰めてみよう(生来の実験好きが顔を出した瞬間(笑)。

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 弱火で煮詰めないと、吹きこぼれるので注意。色が出てきたところで火を止め、種を取り出す。

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 ちょっと味見。やや酸味がある。ここに、先ほどの「種じゃない部分」と砂糖を入れて煮詰める。味を見ながら、酸味が残る程度で砂糖をストップ。

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 完成! すっきりとした甘酸っぱさで、ヨーグルトによく合う味に仕上がった。

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 ローゼルを煮詰めながら、私は考えていた。

 これを丁寧に摘み取っていたであろう、障害のある方やスタッフの皆さん(世古口さん以外、誰も存じ上げないのですが)。三休では、農作業でハーブや万願寺とうがらしを作っているという。農業は、「食」に繋がり、ダイレクトに「命」に繋がる。農作業をするというのは、私はとても素敵なことだと思っている。全ての農作業に従事する方々に、「命を支えていただいて、ありがとう」と改めて感謝したくなった。

 私は母の実家が農家で、子どもの頃から忙しい時には手伝いもしていた。だから、夏の暑さ、収穫の時の重さなど、農業の大変さは少しはわかる。子どもながらに一番印象に残っているのは、叔父が「野菜は、喋ってくれないからな、暑いよ、寒いよ、虫が体の中に入って痛いよ、周りの仲間も病気になりそうだよ、って知らせてくれないから、それが一番大変なんだよ」と言っていたこと。

 そんな大変な農業に従事している方々が、今回たまたま障害のある方であった。働く上で、農業の大変さ以外に、ご苦労されることもあるだろう。そんな皆さんに、働く誇りをもっていただけたらいいな・・・。そして、以前オンラインのイベントでお会いした時に、いきいきと楽しそうに喋っていた世古口さんがツイートしたのだから、三休が作っているローゼルだってきっと良いものに違いない。うまく調理できないかもしれないけど、見てみたいな。私はそんな思いで、即断して世古口さんに連絡したのだと思う。

 結局、「人」の心を動かすのは、「人」なんだな。三休の皆様、どうぞお体にお気をつけて、これからもお仕事を楽しんでくださいね。

 そして、京都に行ける日が来たら、必ずお邪魔します!

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    こちらこそ、ありがとうございました、世古口さん!

☆おまけ。

 ジャムを食べ終わっても、この菜箸を見るたびに、ローゼルのことや、今回いろいろ考えたことを思い出すんだろうな(笑)。竹の菜箸は、色がつきますから注意ですよ!(笑)

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