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#5 好きな教会の光と影の話

日本に寺社が多くあるように
ヨーロッパには教会が各地にあり、
それはメッセージ性の強い構成であることが多い。

そこで最も重要なのは、
祈り、という最もシンプルで、
空間の機能というよりは
自己を省みる内側での行為に他ならない。

私は教会という空間がすきだ。
いくらそこに居てもいい、
エンターテイメントは必要なく、
ただ身を置き、思う。
そんな空間は、日本での今までの日常にはあまりなかった。

留学中に行った中で、
フィンランドのトゥルクという街にある復活礼拝堂が好きだった。
設計はトゥルク出身のErik Bryggman。

電車とバスを乗り継いで向かうような、
行きやすい場所ではないが、建築とはそういうもの。

教会は解放されていたが、
私の他には数人の観光客しかおらず
静かな時間だった。

採光の限られたエントランスから礼拝堂へ歩く。
そこは正午付近の明るい光が入り込む大きい空間。
左側は光を柔らかく受け取る壁。
右側は高さが背丈くらいに抑えられた回廊のような空間、
そこに並んだ連窓から外に出られるようになっている。
目を戻すと真っすぐ先に、一際高い光の降る祭壇がある。

その時思った。
光は神そのものなのでは、と。
自然は、光は、まさに天から与えられる恵み。
光があるから影があり、生命は続き、私がいる。
静かに、饒舌に、その教会は教えてくれた。
と、思うような空間構成と光の強弱。

そういう訳で、
私はキリスト教徒ではないけれど、
教会という空間の豊かさがすき。
気付きが多く、’居ること’を許される。

教会でわざわざイヤホンをして音楽は聴かない。
静けさの中に自然の音が溢れて響いていた。
でも敢えて好きな曲を紹介するとしたら、
その頃聴いていたのは、
Bill Evans "Peace Piece"


ただ、そこに光と影が、自然によってつくられること。
建築がそれを切り取ること。
平和なひととき。

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