【官能的な深煎り珈琲に魅せられて、沖縄から群馬へ旅した話①】
炎天下の沖縄の空の下、
原付で島一周するという色んな意味で危ないひとり旅の途中で
深煎りコーヒーの官能的な魅力を知ってしまった。
那覇市は壺屋という狭くて暗い商店街の中に、その店はあった。
いかにも沖縄人といった風貌の店主と、
所狭しと積み上げられた本、本、本。
店内に似つかわしく無い汗だくの服とバックパックを下ろして、
メニューを見る。
「D-blend」
美しく繊細な香味を
幾重にも薄く重ねるようなイメージで
丁寧な抽出をこころがけています
記憶に映り込むような確かな一杯をお楽しみください。
コーヒーの宣伝文句は往々にして大袈裟だ
「最高級アラビカ豆100%使用!」
「こだわりの職人による炭焼き焙煎」
とか消費者の無知をいい事によく知らないけど
"美味しそうな気がするマーケット"がはっきり言って好きでは無い、
心がこもっていないからだ。
この店のメニューに書かれている文字には、嘘が無い。
何故分かるのかと言われても、
何となくとしか説明出来ないけど、分かるのだ。
水出しコーヒーを頼んだ
使い込まれた上で手入れがキチンとされている古びたシルバーのカップに、
限りなく透明な大きめの氷、
カウンターのスペースを大きく占める
大型のダッチコーヒーから注がれた珈琲には
コーヒーの表面に浮かぶ極深煎りコーヒーにしか出ない
コーヒーオイルがたっぷりと浮かんでいる。
飲む前から完璧に整っていたのである。
そのお店の名前を【MAHOU COFFEE】という。
続く
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