飲茶楼ともーニグ娘。
プロ野球チップス、ビックリマンチョコ、チョコエッグ、Jリーグアイス、スター・ウォーズキャップ付きペプシ、そして鬼滅缶コーヒー。
日本の菓子、清涼飲料水メーカーが趣向を凝らして子ども達に健全な消費活動を促そうとしてきた試みに「おまけ」という存在がある。
それは時として販売する食品、飲料の品質に関わらず大ヒットを生み出してきた。
昭和60年生まれ世代の私はバブルを経験せずに成長し、阪神淡路大震災、9.11、オウム真理教、リーマンショック等の現代に向けて世界が大きく変容していく時代に幼少期を過ごして来た。
そんな世間が暗いムードに包まれていく中で、一筋の光を見た。
それがモーニング娘。だ
当時、それは空前の大ヒットアイドルグループとなり。誰推しかという事で骨肉の争いをしていた小学生時代、地方のアイドルショップには様々なグッズが立ち並んだ。
そんな時代を上手く操りJTは飲茶楼という中国茶ブレンドのお茶を売り出した事は記憶に新しい。
そのお茶自体の味は特に特徴は無かったが(油っぽいものと食べたら合うのだろうと今は思う)、モーニング娘のキーホルダーが付いている、という純粋な理由だけで飲茶楼を買い漁った。
当時4,5人のグループで行動していた私はコンビニ荒らしとして、各コンビニを巡りお目当てのモー娘。のキーホルダーを勲章のように集めまくっていた。ゴマキのキーホルダーをこれでもかというくらい集めた手元には、ゴビ砂漠を横断できそうなくらいのお茶がストックされ、小学生だった僕らにそれは苦行とも言うべき毎日お茶でお腹をパンパンにさせていた。
いつの時代も「飲み物」には付加価値が重要であると、自然にインストールされた我々だったが昨今はそういったおまけの要素が肥大化した商品は大分少なくなって来たように思える。
その要因のひとつに、国民的アイドル、や国民的スターといった存在がより個々人の趣味嗜好に合わせたドメスティックな存在になり、情報の多様化やYouTubeなどのポストテレビ・メディアの台頭によって後退していったのだろう、今やテレビはインターネットポピュリズムの後を追う形でしか力を持たず、企業のTV広告費も縮小の一路を辿っている。
もはや「おまけ」で消費者が動く時代は終わり、これからの消費は「関係」において機能する。インスタ映え、バズる、いいねなど、個人のインターネットアカウントとの関係を最重要項目としてNiZuの縄跳びダンスを踊り、炭治郎と同一化する為に鬼滅のマスクを装着する。
目に見えるモノ消費から、インターネット上の情報としてのコト消費へシフトしている今だからこそ、我ら飲食を提供する者としてはより消費者との関係を深めていく商品を生み出さなければならない。
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