大阪・関西万博日本館 企画検討クリエーターの拝命にあたって
2025大阪・関西万博日本館の企画検討クリエーターを拝命しました。
(大阪・関西万博日本館の検討開始・コンセプト策定に参画する有識者公表に関するページ:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200730004/20200730004.html)
全国民がなんか物申したいだろう世紀の大イベントに、言いたいことをバンバン言える、ありがたいお役目です。
メンバーは日頃から信頼している仲間や友人の顔も多く、頼りになる方々ばかり。日々の会合もエキサイティングです。みんな言いたいことを言っているはずなのに、おのずと重要な方向性が一致して浮き上がってくるような時間。これから提案がどうなるか、とても楽しみです。
バックミンスター・フラーに憧れて領域越境型のデザイナーになったので、わたくし万博のデザインには並々ならぬ思いがあります。1967年モントリオール博覧会では、その少し前に宇宙船地球号という概念を提唱したフラーが世界最大のジオデシックドームをつくり、世界最小の構造体で最大の容積を実現しました。1972年のミュンヘンオリンピックではフライ・オットーがテンション構造によって非常に軽く合理的な建築を実現しています。実はそれ以来、50年も経つのに地球環境に役立つ発明的な建築やデザインは国家的祭典からは出てきていないように思います。
この2つ、それは偉大な歴史的デザインですが、逆に言えばこの50年間デザイナーは何やっとるんだと。現代を生きるデザイナーの端くれとしては、それではいかんわけです。
かつての1970年大阪万博で作られた太陽の塔の中には、生命の系統樹がありました。そして今回2025大阪・関西万博のテーマは「いのち」。僕の近年の探求は、命と創造についてでした。進化と創造はとても似ていて、私たちは自然から創造性を学ぶことができる。誰もがもっと創造的になれるはず。なので日頃から進化図のことばかり考えていて、ここにも並々ならぬご縁感じています。
2025年はSDGsの目標まで残り5年というタイミング。 万博は創造によって未来に希望を見せる場所です。人を取り巻く地球の生態系までを含めて「わたしたち」の事として考えられるのか。コロナも含めて生態系と共生できるのか。そんな実感が得られる方法を練りたい。未来がちょっとは明るく思えるようなテクノロジーを日本中から発掘したい。未来がマシになるものが見たい。面倒くさがられてクビになっても、言いたいことははっきり言い続けて、ただの大イベントには絶対に終わらさせないぞ!という所存です。
あと何よりも子供たち。万博はサイエンスやテクノロジーへの好奇心を、楽しく子供に宿す絶好の教育の機会だと捉えています。国が借金だらけとか、高齢者が増えて社会保障が重くのしかかるとか、コロナで学校行けないとか、お先真っ暗な未来ばかり突き付けられている子供たちに、みんなが生きる未来は結構楽しいもんだよと、君たちが創造的ならさらに面白くできるよと、希望ある未来をテクノロジーとデザインで示してあげたい。
5年後、未来に希望を示せる万博パビリオンに、微力ながら導いていきたいと思います。
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