ほおばる幸せ、ふわふわサンドイッチと喫茶店。〈ブーフーウー_学園東町〉
小平団地の北側にある商店街。アーケードがある商店街は、ここらであまり見かけない。
今にも吹き飛びそうなトタン屋根。内側の半分は、シャッターが閉まっているけれど、食事時には出入りする人も多い不思議な空間。
道路沿いの並びに「coffee」「お食事」の文字が気になって、チラリと覗くとショーケースにサンドイッチが並んでいた。
その横の扉の奥には、テーブルが並ぶ、なつかしい雰囲気が漂う喫茶店。 店名は『ブーフーウー』。三匹のこぶたの人形劇が由来なのか、窓辺にもかわいいこぶたがチラリと見えた。
ある休日に思い立って、朝ごはんを買いに行こうと次女を誘って自転車を走らせた。朝ごはんといってもゆっくり起きて、ブランチといえる時間帯。 ショーケースを見るなり次女がツンツンとわたしの腕をつつく。お目当てのいちごサンドがあった!さらに大好物の揚げパンも!!
昼ごはんにはまだ早い時間帯だったので、ショーケースは充実していた。 夫や長女にはとんかつ、タラモサラダ、ツナ…わたしは小倉も。
家族が好きそうなものを選びお会計。ピンクのポイントカードにブタのスタンプを押してもらった。
接客してくれたのはおかみさん。奥ではご主人が仕込みをしているようだった。
帰宅してコーヒーを淹れ、家族そろっていただきます。ふわふわの食パンにはさまれて、具材も心地よさそう。
子どもの口にもおさまるちょうどよいサイズ。パクっとほおばり、やさしい時間が流れる。たまにはこうやって朝ごはんを買ってくるのもいいものだ。子どもたちは揚げパンの砂糖を口の周りに付け、幸せそうな顔をしていた。 それから少しずつブタのスタンプが増えていった。公園に遊びに行くとき、リモートワークで昼食作りが面倒なとき、ちょっと自転車を走らせてサンドイッチを買いに行った。
店内でも食べてみたいと、平日の仕事の合間に一人ランチにも行った。
昔ながらの喫茶店に行くと、どうしても注文してしまうナポリタン。子どもの頃、口の周りを真っ赤にしながら食べたっけ。メニューを熟読する前に、反射的に注文してしまった。
スープとサラダとナポリタン。どれもほっとする安定感。半分ほど食べ進めて、ちょっとタバスコをかけて味変。
店内では他のお客さんがおかみさんと談笑し、ポークジンジャーがおいしかったと絶賛していた。ほほう、次はそれを食べようか…とメニューを見返すと、スパゲッティにハンバーグ、ピラフ、ドリア、カレー、オムライス、トースト、ピザまで!なんでもあった。
これは迷う!どれも大好きなものばかり。にんまりと妄想をしながら、ナポリタンをくるくるフォークに巻きつける。おいしいものを食べながらおいしいことを考えるのは、私にとってこの上ない至福のとき。
食後に頼んだコーヒーは、すっきりとして好みの味だった。好みのコーヒーが近所の店で飲めると思うとうれしくて、無意識にまたにんまりとしていた。
幸せな気持ちで店を後にし、来た時より軽やかに自転車をこぐ。午後の仕事もがんばろう!と、鼻歌混じりでご機嫌さん。まったく私は単純な人間だ。
(お)