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ポツンと焼肉屋。〈平和亭_花小金井〉

グルメな人から聞いた"おいしい店"は、どんな検索情報よりも信頼できる。

小平に越してきてから数年が経った頃、市外に住むグルメな親戚から「おいしい焼肉屋がある」と食事に誘ってもらった。その店は駅や大通りから離れ、静かな住宅地にある焼肉店だった。
街灯のぼんやりした光だけが浮かび上がる、人通りもないこんなところに名店が⁉︎と半信半疑だったのだが、この店の"売り"だという豚足にかぶりついた瞬間、疑念はきれいさっぱり拭われた。
この日からわたしの食通信仰心は揺るぎないものとなったとか、ならないとか。

その店というのが昭和病院の北側、六中通りにある『平和亭』。
駐車場があり、テーブル席と掘り炬燵もあるゆったりとした店内で、ファミリーで入りやすいのがありがたい。我が家も何度もお世話になっている。

久しぶりに焼肉に行こうと、親戚誘って二家族。
「こんばんわ〜」と店に入ると元気に迎えてくれるお母さん。「おいしいものいっぱい食べてね」と今日のおすすめを紹介してくれた。

まずはお決まりの豚足とドリンクを注文。ほかはゆっくり考えます。
乾杯してメニューを開こうとしている間に、「うちの豚足は毛1本はえてないよ!丁寧に処理しているからね!」そう言ってさっと出てきた豚足に酢味噌をつけてぱくり。
くさみもなく、ぷりっとした歯応え。珍味は苦手な我が夫でも、ここの豚足は好んで食べる。

さて次は何を頼もうか。食べ盛りの長女はタンとハラミ!男性陣はカルビとロースも食べたい。キムチとナムルもお願いします。スープも欲しいよね。
各々好きなものを欲望のままに注文し、あっという間にテーブルいっぱいに皿が並んだ。圧巻の景色を眺めることもなく、率先して子どもたちも手を動かし、どんどん網に肉をのせていく。

肉が焼けたら茶碗片手に肉、ライス、肉。そして網に肉を並べる。わたしが手を動かさずとも、次々に手が伸びてきて、網と小皿に肉がのっている状態をキープしてくれる。
焼肉を目の前にするとみんな積極的になる。そして家族みんな幸せそうな顔。よかったよかった。その満足げな顔を見れたなら、今日の出費はプライスレス。
いつもは少食な次女も大人と同じ量のライスをペロリとたいらげおかわり!「ほかにおかわりの人?」と聞くと、もちろん長女も手をあげた。

タンといったら塩一択の人生だったけれど、みそタンなるものをはじめていただいた。特製の味噌だれに漬け込まれたタンもやみつきになる。
ビールのお供はタン塩、ライスのお供はみそタンだろうか。いや、どちらでもいける。

ホルモン盛り合わせも楽しんで、酸味が効いたキムチとピリ辛のカルビスープをすすり、そろそろお腹が悲鳴をあげそうだと気づく。
今日は大好きなチヂミは我慢して、冷麺を食べようと思ったのに…
焼肉屋に来ると、冷麺に辿り着く前に満腹になってしまうジレンマ。肉とライスは切っても切れない関係なのに、チヂミと冷麺、ビビンパも捨てがたい。
久しぶりの焼肉に飛ばしすぎてしまい、わたし以外も冷麺やビビンパの余力を残していなかったのは大反省。
次回は“締め”なんて言わずに、ライスと同時進行で冷麺を頼もうとかたく心に誓った。

気さくなお母さんは「もう88なのよ。ひ孫もいるの!」と話す。88歳とは思えないしっかりした立ち振る舞いには頭が下がる。
お母さんとのおしゃべりも楽しめるアットホームな焼肉屋で、お腹いっぱい本場韓国の味をご賞味あれ。

(お)

【平和亭】
東京都小平市花小金井8丁目8−5


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