テレホンボックスとUFO公園。〈小平団地_喜平町〉
吉祥寺PARCOの屋上で行われていたZINEフェスティバルに遊びに行き目に留まる沿線の風景をプラレールで紹介した写真集。その沿線の公園や街角で撮影された生き生きと走るプラレールと風景が良い感じで交じり合う写真に惹かれる。
撮影されたのはフォトグラファーの木藤富士夫さん。沿線はどちらですかと聞かれ、西武新宿線の小平ですと答えると、明日小平に撮影に行くんですよと思いがけないことば。西武新宿線バージョンのプラレール写真を撮影しに訪れるとのこと。
もう一つ目的があって小平の公園の遊具の撮影を行うらしい。話を聞くと全国の公園の遊具を「公園遊具」という写真集として発表していてその撮影も兼ねてとのこと。で、日本で10本の指に入る遊具が小平にあるんですよと聞かされる。
その場所は小平団地の中にあるUFO公園。
気になって自転車を走らせる銀杏が黄色く色づく秋晴れの日。小平駅前から国分寺に延びるアカシア通りの喜平橋の方から初めて中に入る小平団地は緑の合間にゆとりを持ち箱が並び空が広がる空間に良い団地だなが第一印象。
その進む先にポツンと佇むテレホンボックスを見つける。なんだか映画のワンシーンに出て来そうなその景色に息をのむ。
引き込まれるようにテレホンボックスに入ると何かに包まれたような安心感。家で電話を掛けづらい時に10円玉を大量に抱えてこの箱に籠っていたあの頃を思い出す。受話器を握り中から団地を眺めるノスタルジー。
そしてUFOを探す。
とても広い団地の中、ここでもない、あそこでもないと、いくつかある公園を渡り歩き一番最後にたどり着く公園に鎮座するUFOを見つける。未知との遭遇かのような出会い。
アンテナを突き出した丸みを帯びる頭と胴体に丸い小窓が並ぶ宇宙船のような遊具。どこかと交信できそうな存在感にしばし見入る。
日曜の昼下がりなのに一組の親子が遊ぶだけの静かな時間が流れる公園。童心に返りあそこに登るとほぼ不審者のレッテルと想いながらも赤いタラップのような階段をカンカンカンと音を響かせて登ってみる。
胴体からの景色は少し高いところから見る公園と団地。正直感嘆するほどのものでもなくただ眺める。でも子供の頃の視点で見るこの高さは世界を手にした気持ちになっていたとなんとなく思い出す。
その上にのる上部が吹き抜ける丸い頭に無理くり体を入れて見上げると、どこかに飛んで行けるんじゃないかの気持ちになる突き抜ける青空。
UFOがそびえ立つ砂場を縁取る縁石がイッタラの花器のような曲線で団地の入居が始まる昭和40年の頃に夢描いた近未来を想像する。
団地の狭間の静かで小さな公園に広がる宇宙を感じました。
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