その人だから訪れたくなる器とギャラリーの「アドバルーン商会」。〈アドバルーン商会_小平市たかの台〉
毎日でも訪れたいと思うホスピタリティー溢れる日々を楽しむ店主が営む「アドバルーン商会」。青空に上がるアドバルーンの懐かしさを思い出す器とギャラリーのお店の話。
6日ぶりの猛暑日と報道される夏休みを取る平日。
家でゴロゴロとしていようかなとぐうたらが顔を出す。
でも、確認するスケジュールには「アドバルーン」に行く。
そうだ、長い夏休みを終えて今日から店を開けると言っていた。
こんな時、ぐうたらを引きずってでもエイっと外に出た方がたぶん良いことがあると思ってる。
エイっと自転車を漕ぎだすも、数分で後悔。
暑いとかそんなレベルでない。一気に汗で湿るシャツ。襲い掛かる日差し。できるだけ日陰を探して目指す鷹の台。
鷹の台駅から西に延びる「たかの台本通り」の八百屋さんがある角の路地に入る電柱の横に赤と白のアドバルーンの看板。Openしてるを確認して、その先のコンビニでアイスを買いその路地を入る。
路地の突き当りの一軒家の一階。
扉を開けてこんにちは。
お互い少し間があり「久しぶり!」。
髪を切っていたので一瞬、店主でないと躊躇した(は)でした。
差し入れとアイスを手渡して小さなベンチに座る。
この場所にはじめて来たのは去年の文化の日。
いろいろな方からいいとこと話を聞き訪れた器とギャラリーの「アドバルーン商会」。
その日に店主との雑談がたのしすぎてこころを奪われました。
西日が差し込む店内で、京都から始めたアグレッシブな夏の旅行の話を聞く。
美味しかったと話す富山の回転ずしをいま食べたくなる。
その旅先で作家さんの奥様に言われた、「モノじゃなくその店員さん、その人が選んだモノだから買うのよ」という言葉に、喜びとしあわせと少し不安を感じたと、たのしそうに話す姿がかわいい。
だから、数ではなくてこれぞと自信をもって絞れるようにすると決めたと決意したと凛々しい顔で話す。旅行に行く前に片づけたという器がこれからどう並ぶかが楽しみになる。
でも充分、このお店のいちばんの魅力は店主だなとはじめてのあの日から思っている。その店主が想いを持ち並べる器の世界観がこの小さな空間に込められているとたぶんみんな感じてる。
時間をかけて巡ったあっちやこっちの楽しい話。そんな話を聞いていたら、旅したくなってきた。ずっとこのまま話してられそうな心地の良い昼下がり。
オリジナルで作ったというお店の名が入るトートバックを持って目黒のカフェにいた常連さんが、あ、アドバルーンさんと話しかけられた話からも嬉しさがだだ洩れている。
和蝋燭の灯る具合が好きだといつも話している店主。この旅で立ち寄った実家の仏壇に灯る様子がほんとにいいんだと。
口内炎ができた時、どうしてたと聞かれ、ケナログ軟膏を塗ると(は)。
うちは蜂蜜。それもコーヒーの小さなミルクポットに入れてくれていて、小さな頃からそう育てられてたの話を聞き、日々過ごしてきた日常に、いまのくらしが滲むんだと実感。
ガチャンと戸が開いて、常連のおじいちゃんがやって来る。
元気だったかと井戸端会議のようなものが繰り広げられる。
コーヒーを入れて、「お砂糖は」に「ちょろりんこ」とおじいちゃん。
「はーい」と受ける店主。
この自然なやり取りがここのすべてだと思う。
「アドバルーン商会」の由来は、人気漫才師みたいにアの母音に始まり濁点や「ン」が入る名前ってなーんだに答えた友人がつけたアドバルーンに商会をくっつけたのだと。
器とアートと雑貨と同人誌とささやかに緑。
自らが気にいるものをどうだと並べる小さくも大きな世界を持つ店内の魅力。
日々通いたくなる大切な場所。
やっぱりエイっと外に出て良かったと思う一日。
(は)、写真(い)