たった一言
何度も洗濯をした
バスタオルのような朝
確かに綺麗でも
どこか何かを
思い出させるような
気配を含んでいる
.
何を拭って
何を包んできたのか
知らない方が美しいですか
.
長く暮らすこの街で
数えることも忘れた日々
移ろうものばかりに
目が留まりがちだけれども
変わらないものの中に
果てしない重みを
ふと感じられてからは
「おはよう」の
たった一言が愛しい
.
.
何度も想像をした
カムチャッカに昇る月
確かに綺麗でも
すぐに誰かを
思い出させるような
光を放っている
.
何を守って
何を信じてきたのか
言わない方が懐かしいですか
.
今も暮らすこの街で
忘れることも忘れた日々
流れるものばかりに
身を任せがちだけれども
蹲るものの傍で
揺るぎない叫びが
また聞こえてきてからは
「おやすみ」の
たった一言が優しい
.
いつか帰るその街で
見つけることも忘れた日々
離れるものばかりに
手を伸ばしがちだけれども
判らないものの為の
望まない別れを
まだ飲み込めない癖に
「さよなら」の
たった一言が聞きたい
.
たった一言を持ちたい
.
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世界が物凄い速度で、物凄い規模で、その姿を変化させようとしている。それに伴う物凄い音に気がついたって、もうそれはいい意味でも、よくない意味でも、止められないのだろう。
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