長い嘘

横になって
微笑んで
言葉を捨てて
近づいて
長い嘘をはじめる
.
音が鳴って
躊躇って
明かりを消して
見せ合って
浅い夜をはじめる
.
届きそうで届かない
指先が道に迷って
また帰ってゆく
惜しい名残りもないのに
二つだけの声たちが
確かめるように
何度も何度も何度も
.
.
明日を待った
振りをして
時間を止めて
追いかけて
遠い旅をはじめる
.
眠れそうで眠れない
言い訳がやけに多くて
また潜ってゆく
欲しい答えもないのに
二つだけの声たちが
諦められずに
何度も何度も
.
戻れそうで戻れない
淋しさが不意に過って
また笑っている
若い頃でもないのに
二つだけの声たちが
すれ違いながら
何度も
.
.
朝になって
囁いて
寝言を借りて
改めて
長い嘘をつづける
.
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虫って意外と律儀で、正面から入ってくるんだな。出入りの時の玄関だったり、ちょっと開けた窓だったり、聞こえないけれど、きっと「お邪魔します」って言っているような気さえしてしまう。そう思うと、ほんの少し、ほんの少しの少し、愛着が生まれる。

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