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星野源「Eureka」が思い出させてくれたあの日
Eureka ユリーカ ユーリカ エウレカ εὕρηκα わかった みつけた 我発見せり
リリースから毎日朝から晩まで、もう100回以上はこの曲を聞いてる。
全然飽きない、ビビる。
こんだけ聴ける自分にも、聴かせてしまうこの曲にも若干引いてる。
なんでこんなに聴けるのか。
それは、
生活の中の美しい瞬間を聴く度に思い出させてくれるから。
窓から陽が射して滲む
季節が風と踊り纏い詩を歌う
サビの部分。
抽象的なのになぜだか繊細な風景、空気、匂いが伝わってくる。
なんとなく、よく晴れた午前中のイメージ。
僕は初めてこの曲を聞いたとき、去年の春の日のことを思い出した。
陽が射し込むリビング、干したばかりの洗濯物の影がカーテンと一緒に揺れる中で、大の字で気持ち良く昼寝したあの休日。
何でもない日だったのに、やけに綺麗で心地よくて、
「ずっとこれがいい」なんて思った。
この曲を聴く度にその感覚に連れてってくれるもんだから、何度も何度も聴いてしまう。
聴いた人はみんな違う「あの日」を思い浮かべるんだろうけど、きっと同じ匂いがするんだと思う。
同じ感覚が「喜劇」「光の跡」を聞いた時にもあった。
もうそれとしか言いようがない歌詞と音で聴く度に鮮明に景色が浮かんでくる。
くだらないだろ
妙に綺麗で 泥臭い
わからない中で
源さんはサビの最後に言いたいことを持ってくるケースが多い。
面白いのが、「わかった」という意味のタイトルに対して、サビの終わりに「わからない」という言葉が使われているところ。
日常の中の些細な景色が綺麗であるのかは「わからない」ということが「わかった」、そこに理由は必要ないじゃんってことだと思う。
世の中がクソなことには山ほど理由があるけど、窓から射した陽が綺麗なことに理由なんていらない、ただどうしようもなく美しい。
「光の跡」が終わりを意識したことによる今この瞬間の刹那的な美しさを歌っていたように、
理不尽で狂ってる世の中のわかりやすさによって、美しい瞬間のわからなさを際立たせているように感じた。
もしかしたら今回のアルバムのテーマは、
「このクソな世界の中のどうしようもなく美しい瞬間」
の描写なんじゃないだろうか。
前作「POP VIRUS」のテーマが「クソな世界の中の愛」で、
想いや言葉など目に見えないもの尊さを歌っていたのに対して、
今回は脳裏に浮かぶ情景のどうしようもない美しさを描いていくんじゃなかろうか。
今日もこの曲を聴きながら
アルバム発売を心待ちにする。