2020.4.27(月)雨 #私はわたしの日々をやる
混雑率200%の東京メトロ東西線で、毎朝絵を描いていたくらい、絵を描くことが好きだ。
(上)混雑率200%の東京メトロ東西線で描いたイラスト/2017年
好きこそものの上手なれといえども、現実は厳しいもので、好きなことと向いていることは違う。大学生のときにそれを知った。
私はかっこいい広告をつくるアートディレクターになりたくて、多摩美術大学に進学した。入学して授業初日。どうひっくり返っても太刀打ちできない、圧倒的に絵が上手でセンスある同級生がいて、アートディレクターになることは一瞬であきらめた。
挫折というより、「好きなことと向いていることは違う」と理解した出来事だった。毎日、才能溢れる同級生との差が開いていくことを実感し、向いていない技術を教えてくれる大学を辞めたいと思いながら通った。(一方で、友人や恩師に恵まれたのは、本当に救われた。)
そんな感じで、多摩美のことを好きになれなかった私だが(しかも、本当はリリー・フランキーを輩出している武蔵美へ行きたかった)、母校をちゃんと愛せるようになるために、多摩美(たまび)を擬人化した「たま美(たまみ)ちゃん」というキャラクターを勝手につくった。
そして、自分と友人らで生身の「たま美ちゃん」に扮し、多摩美の入学式で多摩美の化身として「卒業を前提にお付き合いしてください!」と、新入生に500通のラブレターを手渡しするフラッシュモブを企画。自分が卒業するまで毎年実施した。思い出すと恥ずかしくてゾッとする。
ラブレターの文末に、「何か不安なことがあったら連絡してね」とたま美ちゃんのTwitterのアカウント名を記しておいたので、新入生のお母さまから「たま美さん、うちの息子をよろしくお願いいたします。」とご連絡をいただいたり、多摩美の公式サイトのニュース欄に取り上げてもらえたりして、反響を感じるのが楽しかった。(もちろん、ネガティブな声も多数お寄せいただいた。)
私は、プロデューサーのような、人を巻き込んで企画を実現させる役割が向いているんじゃないかと段々思うようになった。
◇
実際やってみると、広告のプロデュース業も向いてないかもって不安になる。今の私はまだ、一人前にプロデューサーとは名乗れない「ディレクター」だ。デザインのディレクションをすることは得意だけど、プロジェクト全体をプロデュースする手腕はまだまだ。
しかし、デザインのディレクションが得意だと思えるのは、多摩美に通った4年間があるおかげだと思う。通わせてくれた両親に感謝しかない。
自分が好きだと思っていることも、向いてると思っていることも、もしかしたらぜんぶ勘違いなのかもしれない。でも、経験したことにひとつも無駄なことはないはずだ。勘違い上等。勘違いこそ、わが人生。
今日も、私の日々をやろう。
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写真家の飯本貴子さんと一緒にやっている、飲酒ユニット「お酒を飲むたびに。」から、おつまみ柄のクージーを発売しました。
(飯本さんと知り合ったのは、上述の「たま美ちゃん」プロジェクトがきっかけ。)
柄のパターンは2種類です。
・飯本貴子の「煮卵」
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各\1,500
オンライン飲み会映え、間違いないです。
もし気になったら、下記より見てみて下さい。
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・飯本貴子の「煮卵」柄
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