2020.4.11(土)晴れ #私はわたしの日々をやる
外に出て得られる刺激がないと、暮らしの中でいちばんの娯楽は食事になる。とくに晩御飯で飲むお酒は、今の私にとってエレクトリカルパレードみたいなものだ。淀んだ一日をパッと照らして、本日のフィナーレへ。
◇
7日(火)は、会社の新入社員研修がオンラインで実施された。私は所属している部の仕事紹介を担当した。「プライベートではラップを嗜んでいます。」と軽口を言ってみても、新入社員の子たちの顔が見えないので反応が分からない。
その夜、安倍さんが緊急事態宣言を表明した。肉厚な椎茸をステーキにしてハイボールを飲みながら見た。
8日(水)から、緊急事態宣言を受けて私の会社も5月6日まで完全な在宅勤務になった。取材のような、現場に行かなくてはできない仕事の予定を急いで調整した。
夜は、ソーシャルバーPORTOの企画でオンライン飲み会を開催した。終了後、この飲み会のスクリーンショットをインスタグラムのストーリーズにアップしたら、それを見た友人から「ちょっと飲もうよ」と連絡があり、オンラインでサク飲みをした。
飲み会の帰り道に知り合いとバッタリ遭遇して30分だけ飲む、みたいな感じで面白い体験だった。SNSの街角。
9日(木)のお昼は、ワイン好きのお姉さんにもらった玄米を土鍋で炊いた。お米を1時間浸水させる工程は、在宅勤務だからこそできる作業だ。卵かけご飯にして食べた。(トッピングは納豆とキムチ。)
夜はふろふき大根を作り、クリームチーズに奈良漬けをのっけたおつまみなどを用意して、日本酒と一緒に楽しんだ。仕事と生活の境界線が曖昧になっているなかで、お酒が「今日もお疲れ様」と私の生活にメリハリをつけてくれている。体のメリハリはなくなっていってる気がするけど。
10日(金)のお昼は、いなばのカレー缶(黒カレー)を好みの味にととのえて、前日に炊いた玄米ごはんにかけて食べた。自分でつくる食事の味に飽きてきたので、近所の飲食店で何かテイクアウトしてみたい。
LINEを見たら、「遅くなってごめん!」と写真家の友人・飯本貴子さんが、去年有楽町で遊んだ時の写真を送ってきてくれていた。
この写真を撮った日は、絵に描いたような東京のデートコースだった。
昼過ぎに有楽町駅に集合し、まず東京會舘で「マロンシャンテリー」という美しいモンブランを食べた。ビルの15階にあるレストランはゆっくりと360度回転していて、銀座の街を一望できる。よく晴れていて気持ちのいい眺めだった。
夜は、帝国ホテルのオールドインペリアルバーでお酒を飲んだ。建築家フランク・ロイド・ライトによる設計でクラシカルな雰囲気。私たちがバーの空間に感激していると、バーテンダーさんが帝国ホテルの設計に関する図録を持ってきてくれた。その気の利いたサービスにまた感激した。
経験には振り幅が大切だと思う。私はコンビニの寿司も、回転寿司も、回らない寿司も食べてみたい。家の中で飲むお酒はもちろん好きだけど、このまま外出自粛が続くと、またオールドインペリアルバーで夢のような飲酒体験ができなくなる。
自分の頭で想像できる範囲のことしか起きない日常は、ちょっと寂しい。