「稼ぐ」美徳とアメリカの起業家精神
1) アイン・ランドとシリコンバレーの異端児たちの思想
企業を興し世界を変えていった企業家が沢山いる。マークザッカ―バーグやビルゲイツ、スティーブ・ジョブズ、シリコンバレーの巨人たち。この20年はシリコンバレーだったが、さらに戻るとアンドリュー・カーネギー、ジョン・モルガン、ジョン・ロックフェラー、日本でも豊田、本田、ソニー。
彼らの共通性は何だろうか?イノヴェイター、生産者、彼らの特徴は何であろうか?幾つかある分野の中から自分の情熱を注げるものに注目し、改定、改良、また全く新しい価値を作りだしてきたのでは無いか?使いずらかったものを使いやすいものにしてきたのでは無いか?いやもっと新しいものや価値を作りたかったのではないか?
彼らはその情熱に理想・思想・論理を当てはめ、厳しく理性的に行動しまたそのアイデアを行動により示した。それはより良い世界にしたい、便利なものを作りたい、その一心で誰にも負けずよく努力し勤勉に行動した。何度も起こる問題に対して対応し解決し、決して妥協することなく、途中で満足する事無く、どんどんその世界を変えていった。その合理的な判断力により、現実を見て現実を変えていった。
そのような話が「肩をすくめるアトラス」に書いてあります。皆さん是非これを読んでみてください。革新的な思想や形が書いてあります。幻想ではなく合理性だけによって、頭を使い、独立した気概がそこにはあります。そこには自分で、自分だけの基準があります。消費者の求めに応じるだけではない、独立した自分だけの基準があります。スティーブ・ジョブズが基準を作ったから、彼が存在したから、需要を創出できたのです。
彼らは強い独立心をもち、とても勇気がある。リスクをかけてそれを行っています。自分自身をかけてそれを行っています。
イノヴェイターは独立心が強くまた思想家でもあります。
配車サービスのウ―バーはマーケットの動きを変える意思を持っています。全てをかけて変えていくという意思を持っている思想家でもあります。彼らは偉大であるが勤勉であり献身的でもあります。彼らこそ生産の巨人なのです。
色々な動物が環境適応してきました。しかし人間は環境を自分のニーズに合わせてきました。私たちがニーズを作ってきたのです。道具ではなくニーズを作ってきたのです。イノヴェイターの動作の原点は情熱です。環境をニーズという形にしてきた情熱なのです。なぜスティーブ・ジョブズは新しい携帯電話を作ったか?それは彼がこういうものが欲しいという自分の為につくったのです。自分がものすごく欲しいもので世界を変えたかったのです。それが情熱です。アイフォンは50%の利益率です。自分の生活・人生を良くしたくて、自己の利益のために行動したから、周りが変わったのです。そして生活が変わったのです。ものすごく変わりました。これがイノヴェイションなのです。今は電話に付属するインターネットを使いほとんどの事を調べることが出来ます。これほどすごいイノヴェイションはないですよね。これは19世紀の産業革命と同じです。生活が劇的にかわりました。それでは誰が?今は当然に使われているものをつくったのでしょうか?たった250年前には無かったものが現在ある。人類の歴史からしたら、250年前はあっという間です。以前は短命だった人間も今では100才まで生きることも可能になりました。これは全てイノヴェィターのおかげなのです。生活が劇的に変わったのはイノヴェィターのおかげなのです。
では文化的にイノヴェィターは崇拝されているか?
ビル・ゲイツはヒーローですか?
どちらかと言うとヒーローでは無いですよね。英雄では無いですよね。カーネギーやロックフェラーはヒーローとは呼ばれず、どちらかと言うと強盗や強盗男爵などと呼ばれることすらありますよね。
彼らが世界を変えたのに、彼らに尊敬の眼差しは向けられていません。ビル・ゲイツは英雄では無いですよね?皆さん、ビル・ゲイツは慈善活動を始めて
、やっと周りから称賛されるようになりました。なぜか周りはお金を稼ぐ人は悪人だと思っています。これはいったいどういう事ですか?
これが文化的に崇拝されていないということなのです。なぜ彼らは崇拝されず、英雄視されないのでしょうか?なぜ文化として自己利益を信頼できないのでしょうか?それは自己の利益は自己中心的だと思い、とにかく自分の為ということは強欲と同じことだと思うからです。その思いや考えが我々にはしみついてしまっているのです。自分の全てを情熱をかたむけて作っていったのに、世界が間違えなく向上したのに、大衆は決して信頼はしないのです。文化として彼らのことを否定しているのです。ただしシリコンバレーは少しだけ崇拝されてますが。
今さまざまに議論されている「格差」とは、金持ちと金を持たざる者の差です。そこに理由は関係なく、格差が大きく多いから強盗男爵(例えばビル・ゲイツ)を信頼せずに、むしろやっつけてしまいたいと思うのです。沢山もっている人間は奪った結果沢山もっているのだと考えます。大衆は素直に称賛を言いたくないのです。生活が良くなったにも関わらず。つまり大衆はイノヴェィターを称賛しないのです。しかしアイン・ランドは逆でした。彼らから真理を発見し、彼らの人間の達成したことを称賛しました。今の世界を見て、全ての人間の偉業をよく観察し、人類を前進させている全ての事は、合理性の産物であり、合理性の思想であり発想であると考えたのです。
古い過去、強い動物に人間は勝てませんでした。生存するため、襲われないため、人間は頭を使いました。生存することは頭を使うことなのです。
皆さんは農業を知っていますか?
農業は合理性と自然の理解が必要です。そして上手に行い収穫する方法を発見しないといけません。それがうまくいくと販売する方法を見つけないとビジネスになりません。このような事を達成するのに必要なものが独立心であり、合理性が必要であり、それが生存力です。
頭を使っているから生き残り、達成する為に物をつくり、そしてそれを使うのです。合理性とは脳みそを使う事なのです。そしてそれが人類を発展させ、それが最も徳のある行為なのです。
アイン・ランドのモラリティは考えて考えて考えぬくことです。独立心をもつことです。集団思考ではないのです。集団も重要ですが、集団は個人の集まりですよね。ゆえに個人が大事なのです。自分の足で立つことは、自ら思考するしかないのです。生きるために考え、狩猟し、それを仕事にしてお金を得るしかないのです。まずは生きるために生活するしかないのです。
それでは自尊心はどこからくるのでしょうか?それは何かを欲し、目標をたて、それを達成し、向上することにより生まれます。仕事をして、目標を達成することで自尊心が生まれるのです。ただひたすらに懸命に努力し目標を達成することなのです。
近代の中で誰が徳を獲得しましたか?現代において必須であるものを体現したのは、ジョブズですよね?アイン・ランドはそういう人を英雄だと考えたのです。道徳心がある人間だと考えたのです。最も生産的だし、最高の自分を達成したからです。ビル・ゲイツは慈善活動をしたらから、良い人ではないのです。世界を変えたから良い人なのです。自分の情熱を懸けて、それを勝ち取ったのです。「アイン・ランドの世界」というものが有れば、きっと、ビル・ゲイツ通りやビル・ゲイツ公園がたくさんあるでしょう。ビル・ゲイツは英雄としてあがめられ、良い人間の模範となっているでしょう。ですので、「肩をすくめるアトラス」是非読んでください。過去のビジネスマンの素晴らしい話だけではないのです。今の私たちにもあてはまるのです。生産性をあげて、我々の生活を向上させる、我々を繁栄させる、能力がきっとあがります。
2) 討論:「格差」は不公平か?-ピケティへの反論
Q:ヤロンさんはアイン・ランドにどのように出会い、出会いがその後どのように作用しましたか?
A:私はイスラエルで生まれ育ちました。私が若いころいたイスラエルは、社会主義的で、ユダヤ人中心で、強い部族主義がありました。私もリアルに社会主義者でした。
ある日、私は友達と話しました。自由主義とか市場主義とかについてです。ナンセンスは何なのか?そしてその友達から、アイン・ランドを教えてもらい読みました。そしてその行為は長い時間かかりました。なぜならすべてのページで私は格闘をしたからです。書いてある一つ一つに対して格闘しました。本を投げつける日もありました。しかし私は本を読み終えることが出来たのです。そして本を読み終えて、WIN-WINの関係が出来上がりました。
お互いのWIN-WINは彼女(アイン・ランド)は私を説得しました。私は十分なものを学びました。そしてアイン・ランドを読んだ結果、私はイスラエルを出ることにしました。一回限りの人生を有効に使いたいと思い、1979年にアメリカへ渡りました。当時のアメリカは自由とか機会がすごく沢山ありました。
とはいえまだ私はアイン・ランドを完全に理解はしていなし、私はまだ勉強中です。
Q:今はどうですか?
A:ちょっと元気がないです。へこみます。アメリカは負けてきています。特別では無くなっている。
西洋的なものや事が弱くなっている。政治的な偉業を達成していない。西洋と言う定義や啓蒙は イコール アメリカであるが、そのアメリカが弱くなっている。
世界を知るための定義は啓蒙であり理性であり市場である。古代ギリシャ以降、18世紀までは理性の勝利でした(???)
理性とは個人しかもっていないものです。理性から個人主義が生まれました。そしてアメリカが建国されました。この世界を良くするために個人があります。神の存在よりも理性と個人が上なのです。
個人主義・理性 イコール 西洋が弱くなってきています。理性が破壊されているのです。感情を理性の上にあげるとニーチェは言いました。
120年前に比べ、西洋(観念としての)は馬車が飛行機になり、灯油が電気になり、大変大きな変革がありました。
インターネットはすごいが、今のイノヴェイションより当時はもっと大きな幅のイノヴェイションがおきました。イノヴェイションの質、範囲、レベルの向上は100~120年前が最も大きかったのです。それに比べ今のイノヴェイションはそれに比べ、幅が狭くなっていますね。はたしてビックなイノヴェイションはいつくるのでしょう?
現在は自動車が走っていますが、それは100~120年前とあまり変わらない景色です。100~120年前はイノヴェイションが色々なところにあったのです。アメリカはイノヴェイションの国だったのです。
2015年アメリカは、起業した会社より倒産した会社の方が多くなってしまいました。
Q:アイン・ランドの特徴
A:近代哲学においてシステムビルターであります。倫理、心理学、哲学、認識論、芸術、全てを包括的にもっています。新しいものをもっていいて、それが統合され、意識から独立したシステムを作りました。
例えば倫理、哲学は、利己の為生きることであります。他人の犠牲になることはありません。アリストテレスは自己に焦点をあてて成功した初めての人物です。利己主義で自己利益なのです。
Q:社会のレベルにおいて、公平さ、再分配が必要ではないか?そうすることが将来のイノヴェィターの為になるのではないか?
A:公平さとは?フェアとは何でしょう?色々な考えの人がいますが、私は自分にふさわしいものが、自分にあることがフェアだと思いませんか?
物を取る事とは違います。国家が強制して再分配するのとも違います。
例えばアメリカでは、GIVE BACK という言葉があります。返す・戻すという意味ですが、ビル・ゲイツは何かを取り上げましたか?ビル・ゲイツは何をとったのですか?ビル・ゲイツはパイを作ったのです。分配したいのなら、自分の信念に基づき、創造し、与えるべきなのです。
ナンセンス???経済
消費をする為に何をしますか?生産して初めて消費が生れます。政府が生産するのではないのです。
生産は多段階です。消費は一つのステップでしかありません。アイスクリームは買って食べたら終わりです。消費は破壊です。なので、何をすれば良いでしょう?だからアントレプレナーシップや生産が大事なのです。投資を刺激して貯蓄を生産に回すのです。そして政府を小さくし、生産を大きくするのです。コングロマリットは、解体した方が経済にとっては良いのです。
ケインズ主義は、完全に誤りです。ケインズではあり得ないと言われていたスタグフレイションがありました。1980年代のレーガノミクスはケインズ主義でした。そしてまたケインズ主義が戻って来ました。
最近戻ってきたケインズ主義は、唯一の大きな政府を作ります(マルクス主義だと少し危険だから)。色々な国が大きな政府になってきています。日本・西洋・アメリカはケインズ主義になってきています。ケインズ主義は、誤りです。1991年からの24年間の日本経済は全く同じ失敗を繰り返してます。
Q:将来の予測は?
A:モラルチェンジ。道徳律を変える必要がある。利益を道徳心に変える必要がある。集団主義を辞めるべきだ。個人主義に変えないとならない。理性が一番の個人主義、それが経済を引っ張ってきた。そして、個人の行動の基盤となるものである。
稼ぐという事が酷かったのに・・・
少なくとも多くの人が自分の事は最後にしろと教わった。だが、私は自分の事を先に考える。考える事を教えてはくれない。止まって考える人が少ない。全てやらされている。どの本も考えさせてくれない。
繁栄とは、人生の目標とは、幸せとは、誰も何も教えてくれない。
現在も英雄は、自己犠牲的な人でありイノヴェイターではない。
自己犠牲は良い、自己が大事、これらをどう混ぜるか?それがこれからの課題。アイン・ランドは科学である。金はあるけど幸せではないという状態から抜け出し、生きる事を楽しむ、そして自分の人生の喜びを見つける科学である。
利他的な人は、まず他人の子供を助ける。本当は自分の子供を助けたいのに。皆それで悩む。アイン・ランドは利他的ではない。
WIN-WINが大事。アイフォンは$300。すなわち$300の付加価値がある。これがWIN-WIN である。
友情でも愛情でもWIN-WINである。もっとも利己的だから他人を愛するのである。それは犠牲の上で結婚するのでなく、制度上結婚するのでもない。気持ちが良いから、愛するから結婚するのである。
では、誰が犠牲を要求するか?それはその社会のトップが言うのだ。
例えば、トップが神からどうしたら良いか聞き、その神の言葉を大衆に伝える。つまり真実はトップだけが知っているのだ。理性・イノヴェイターは火あぶりにされる。何故ならトップの言っている事をひっくり返してしまうから。トップが王が持っている物を個人主義やイノヴェーターだけが突破する事が出来る。これはプラトンとアリストテレスの対決でもあった。
Q:社会的なセイフティネットのベストな方法は?
A:まず初めに強制的なセイフティネットがあるとする。そして最低賃金を時給$100にしたとする。それでもセイフティネットは悪である。何故ならセイフティネットによりその$100の仕事をしなくなるからである。
① アイン・ランドは強制は悪だと言う。悪は絶対に悪であり必要悪という言葉は存在しない。良いものだけが良いのである。
例えば、私の近所の子供が病気になった。その近所の子供の親は、お金が無い。私はお金があり、私はその子供を助けるか助けないかは、私の選択である。そこでその子供の親が、銃を出し私に金を出せと言った、これは強制である。そこで選挙をし投票により私が金を出す事になった。これも強制である。ゆえに民主主義も強制である。多数決も強制である。何故なら私のお金を出さないという自由は奪われる。悪い人間はこの民主主義を使い、個人をコントロールしている。
② アイン・ランドはお金をあげる事は助ける事ではないと言う。自発性が無くなるからだ。セイフティネットにより働かなくなる。自立が出来なくなる。自尊心も否定されていく。セイフティネットは人々の不幸を助長する。ゆえに仕事を作る事が本当のオプチュニティを得られる。
アイン・ランドは、家族を養う事や自立する事がプライドであり自尊心であると言った。
セイフティネットは全く反対だ。それは自助努力を奪う事でしかない。
機会の平等、そんなものはない。機会の平等は不可能だ。機会の平等は強制になってしまうからである。
意味のある平等とは権利、自由、法においてでしかない。我々は強制ではなく、自由の権利を持ち生まれた。平等はこれしかない。なので政党を選ぶ時は、平等ではなく、機会を最大化する政党を選ぶべきだ。アフリカに行ったらアフリカ人の機会を最大化する事が最も良い事だ。資本を欠如させるのでなく、資本を持てる権利を持たせる。資本が持てると言う事は機会を仕事を持つ事になる。
Q:仕事をしたいけど社会的にできない状況。これについてはどうでしょうか?
A:身体的な不自由は置いておき社会問題、つまり犯罪、貧困について言うのであれば、政府の唯一の仕事は犯罪だけを抑える。犯罪率と経済の関連性はまだ私は勉強不足であるが、アイン・ランドは社会問題などは存在しないと言うと思う。産業が自由になる事により社会問題の解決に繋がると考える。19世紀のアメリカを思い起こして下さい。福祉を受けた方が良いと言うアメリカ、移民が沢山流入したアメリカ。シリコンバレーのスタートアップは50%が移民でした。この事実はどうでしょうか?
犯罪を無くす事だけが政府の唯一の仕事です。
???国家主義に投票しろ+大きなセイフティネット欲しい=???=ケーキを食べさせろと言う???
日本は経済が少しだけうまく行っています。それは個人の自由が少しずつ出てきた。日本の憲法の中の個人の自由によって経済は発展してきた。自由を否定すると経済が縮小します。
Q:金融投機についてどう思いますか?投資家をどう思いますか?
A:いわゆるダブマネー(投機だけの人)彼らは生き残れないです。金を動かしてるだけです。
金融投機に於いても、経済を動かすイノヴェィターや付加価値を作る知識を持つ人が素晴らしいのです。どこが素晴らしいのか?それはシグナルを出すからです。付加価値を知り、知識を持ちイノヴェィターであるのでプライスシグナルが正確なのです。株価は世界にシグナルを発するのです。なので彼らに敬意を払うのです。そういう金融家が最も尊敬されるべきです。金融家がイノヴェィターに資本を提供します。金融家はイノヴェィターの心臓に生命を吹き込み、イノヴェィターこそが資本主義のエンジンとなるのです。そして生産が起こり消費がうまれ、大衆が消費を行います。これこそ循環系なのです。
セイフティネットはそれを阻むものでしかないのです。
つまり人類の発展、貢献、前進、幸福を阻むものなのです。
ヤロン・ブルック 2016年1月19日