おばあちゃんが作るご飯がまずいけどまずくない

おばあちゃんが作るご飯がまずい。

そんなことを言ってなんてひどい孫なんだ、、と思うかもしれない。しかし、だれがなんといおうとおばあちゃんのご飯がまずいのだ。

これは、世のおばあちゃんの話ではなく、わたしの祖母の話である。

わたしは高校を卒業するまでの18年間祖母と共に暮らしていた。両親は共働きで帰りが遅く、一緒に過ごすことが多かったため、夕食は毎日祖母が作ってくれていた。すごくありがたいことだ。だが、その祖母が作るご飯はあまりおいしくない(前半のまずいは言い過ぎたかもしれない)。砂糖を入れすぎたり、焦がしてしまうことがよくあったし、ハンバーグを作ると言ってひき肉を炒めたこともある。

祖母はせっかちな性格で、もともと料理が得意ではないのだろうと今になって思う。

ここまで散々悪口を言ったように聞こえるかもしれないが、わたしは祖母の作るご飯が好きだ。

ご飯は美味しいことだけが全てではないと思う。おばあちゃんのご飯には、おいしいなんてことよりももっと大事なことがある。おばあちゃんにしか出せない、あそこにしかない味。

たまにびっくりするほどおいしいご飯が出てくるのもおもしろい。おばあちゃんのご飯はまずいけどまずくないのだ。

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