「円盤に乗る場」を始めます。
みなさまこんにちは。演劇プロジェクト円盤に乗る派代表の、カゲヤマ気象台です。
この度、「円盤に乗る場」という場を始めます。
「円盤に乗る場」って?
「円盤に乗る場」は誰でも参加可能であり、恒常的に存在し、演劇にまつわる上演以外の様々な営みにアクセスできる場です。
まずweb上で始まり、将来的には現実の場所に作られる予定です。
作る目的は?
円盤に乗る派は演劇の上演を中心に活動を行っておりますが、上演だけではない、演劇の周囲の様々なことも同時に考えながら、改めて演劇というものを考え直すことを実践しています。
それは、そもそも劇場は街の中にあり、そしてその街には人が住んでいて、社会が形成されているということです。
街に住んでいる人たちは、それぞれの生活を営んでいて、その営みの中で演劇と出会います。創り手である我々も同じ街や、または同じ国、あるいは同じ地域や世界に住んでいて、同じ時代に稽古をしています。
この構造を忘れないために、これまでもそれぞれの公演ごとに雑誌「STONE/ストーン」の発行や、シンポジウムや各種イベントを行ってきました。
しかし、公演ごとという括りでは、会場の規模や時間による制限がどうしても発生します。それによって拾いきれない営みがあることに、少なからずジレンマを抱えていました。
自分が感じている、演劇をめぐる営みはもっと豊かなはずなのに、公演はしばらく経てばタイムラインのように流れていき、忘れられてしまう。
この問題をクリアするためには、どうしても恒常的な場が必要でした。
お金の問題もあります。円盤に乗る派は公演ごとに収支を合わせるのがやっとで、(私費を投じてもなお)それ以外の活動をする経済力に乏しいのが現状です。
「円盤に乗る場」の収益は、円盤に乗る派の恒常的な活動の資金源になり、多ければ多いほど、場を豊かにすることが可能となります。
「円盤に乗る場」への参加は、あなたにとっての演劇⇔生活を豊かにすると同時に、円盤に乗る派に対する支援でもあります。
この場をより良くしていくためにも、多くの支援をお待ちしております。
具体的な内容は?
web版の円盤に乗る場では、カゲヤマ気象台の最新演劇論や各種レポートなど、様々なコンテンツをご覧になれます。参加者のみの限定イベントも開催します。
オンラインのクローズドコミュニティを想像していただければわかりやすいかと思います。といっても、必ずしも積極的な関わりを求めるものでもありません。なるべく気軽に参加でき、どんな態度でも楽しめるものを目指したいと思います。現在予定しているコンテンツ一覧は最下部にあります。
そしてある程度資金が集まったら、東京都内にアトリエを開設します(2021年上旬のスタートを予定しています)。アトリエは基本的に半分開かれた場となり、演劇における、上演以外の様々な営みが開示されます。
様々な問題意識に対する議論、今後の運営の企画会議、そしてワークインプログレスやリハーサル、パーティ、反省会などなど……。
演劇においては上演内容のみが言及されがちですが、それ以外にも豊かな営みが行われています。
これらを外部に対して開いていくことによって、演劇を、劇場に行く/行かないの二項対立から、もっとグラデーションのある関わりができるようにしていきたい。
色々な興味のある人が、それぞれの興味のありようで演劇に接触し、話したり、考えたりできるように、もっともっとできたらよいと思います。
さらに、このアトリエは、円盤に乗る派だけでなく、様々な創作者が使えるようにしたいと考えています。
今のところ、円盤に乗る派と同じく恒常的に使えるレジデントアーティストを少数と、スポットで利用できるライト会員の2種を設ける予定です(各名称は未定)。
レジデントアーティストも創作過程などを開示し、ワークインプログレスやレクチャーなどのイベントも行っていけたらと考えています。
ライト会員は、例えば自主練をしたい俳優やダンサー、脚本を書く場所が欲しい脚本家、作業場や会議室が欲しい制作者などを想定していて、いわゆる演劇創作のためのクリエーション(稽古)以外の様々な活動ができる場所として便利に使えたらと思っています。
もちろん、こうした活動の中で様々な交流が起きていくでしょう。ここで議論が始まり、刺激を与え合い、新たな表現が生まれるかもしれません。「あそこに行けば、誰かいる」部室のような場所になったら良いです。
上演を中心とする活動は、どうしても作家が中心であり、俳優がその下で舞台を作り、その元に観客が集まるという、固まった構造に陥りがちです。
しかし今、若い創り手たちの間に生まれつつある新しい演劇は、上演そのものにおいてすら、そういう構造を回避しようとしていると思います。
クリエイションのヒエラルキーを問い直し、観客との関わりを問い直し、その先に何か別の演劇のありようを探ろうとしていると感じています。
ところが、現在の演劇を取り巻く環境には、従来の構造が根強く残っています。このままの環境では、新しいありようは非常に見えにくい。劇場以外の場所で、それを顕現化していくことが必要なのではないか。
そしてそれは、なかなか単独では難しい作業です。
だから、今までの構造を脱した場所で集まりたい。創り手とも観客とも、これまでと違った姿で出会い直したい。
そのための場所として、このアトリエが機能したらと思います。ご参加、応援、遠巻きでの観察、などなど、どうぞよろしくお願い致します。
長期的な目標は?
今構想しているのは、発展できるための上演の仕組みです。一般に、劇団の活動指針としては、大きく2種類のやり方に分けられると思います。
大きな劇場を想定し、わかりやすくパッケージされた、存在感と見ごたえのある作品を作っていくというやり方と、実験やプロセスを重視し、小規模でありながら継続性をもち、特定の形には定まらない試みをしていくやり方です。
前者は市場や、国際的な演劇祭に売り込みやすい形になるでしょうし、後者は対話を通じて演劇や社会に対する知を深め、地域や芸術分野そのものに対して還元しやすいあり方になるでしょう。
これらはどちらがよいということではなく、両方やっていくのが大事であると思います。
今後、円盤に乗る派の作品は、公演ごとにどちらのスタンスを重視するかを定めながら、両方の視点を行き来しつつ、その反復の先に発展を目指していきたいと考えています。
もちろん、この両者は完全に分かれるものではなく、片方を重視するからといってもう片方を忘れてよいというわけではありません。
常にもう片方への意識を働かせながら、そちらへの重力を感じつつ、作品の制作に取り組んでいきたいと思います。
2020年1月に吉祥寺シアターにて上演する新作『おはようクラブ』は「かっこいいバージョン」と名付け、上記の区分で言えば前者の方、比較的規模が大きく、パッケージされたあり方を意識した作品となります。
これとこの「円盤に乗る場」(もちろん、これは後者の小規模な指針を目指すためのものです)を皮切りにして、円盤に乗る派の新しい創作スタイルを打ち出していきたいと思います。
web版コンテンツ一覧
カゲヤマ気象台演劇論「ありふれた演劇について」
日和下駄の日記「日和下駄」
円盤に乗る派活動報告「レポート」
円盤に乗る派定例会の報告
アトリエ進捗
不定期イベント
など
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