屋根裏ハイツ『ナイト・オン・アース(remix)』稽古(立蔵 葉子)
秋の気配がただようある夜、屋根裏ハイツさんの稽古におじゃまして
きました。
※乗る場専属カメラマンの高橋ルネさんが出張中のため、今回の写真はたちくらが撮影しています。
屋根裏ハイツは、作家・演出家の中村大地さん、俳優の村岡佳奈さん、俳優・制作などなどの渡邉時生さんがメンバーの演劇カンパニーです。
渡邉さんには、朝比奈竜生さんの「ネイルをする会」レポートでネイルの先輩としてご登場いただいてますね。
今日は、9月16,17日に兵庫県豊岡市で行われる演劇祭「豊岡演劇祭」のなかで上演する『ナイト・オン・アース(remix)』のお稽古です。稽古しているのは、屋根裏ハイツの皆さんと、もう一人の出演者、honninmanさん。
honninmanさんの稽古中の動きが只者じゃなかったので「ダンサーさんですか?」と尋ねたら、「ダンサーじゃないけど、荒川区の治安を守るヒーローです」とこっそり教えてくれました。ミュージシャンとしても活動されているそうです。ちなみにもう荒川区民ではありません。
シーンの稽古
その1
私が到着した時に稽古していたのは、村岡さんがいっぱいしゃべる、
ここから
ここまでのシーン。
おわかりいただけたでしょうか。後ろの席にいる村岡さんが、若干、30cmくらい、前に出てきています。
村岡さんと渡邉さんとhonninmanさんが、やってみる。中村さんが「無理度上がってる(笑)」「嘘みたいで良かった」「怖い話みたい」とか、どう見えているか伝える。村岡さんは、一気にぐぐっと移動したり、タイミングを変えたり、この台詞はhonninmanさんに、次の台詞は渡邉さんに、とか、言う相手を変えてみたりする。渡邉さんとhonninmanさんは細やかに反応しつづける。その繰り返しを1時間くらい。
その2
次はテクニカル周りがややこしいシーンの稽古、ipadやらスマホやら、俳優がやるオペレーションがあるのです。こういうの、ロックの解除の仕方とか音量とか、設定しておくことがいっぱいあってなにげに大変です。
休憩
音響家でもある中村さんが、さっき稽古したシーンで使う曲を選んでいます。これまでの稽古では毎回違う曲をかけていて、前回の通しの曲が最高で、台湾のバンドの曲も良くて、さっきの稽古の曲は永遠に踊れちゃうからあんまりよくないらしいです。
今回の通しは「丸いの」と「地平線みたいなやつ」の2曲に決まりました。
通し
始まったときは2m四方くらいの空間を一方向に時間が流れていたのに、あれ、なんか、そこ世界をはみ出してますよね?今、今が今じゃなくなりましたね?あ、世界の広さが戻った、けど今は今じゃないままだ。そしてそこにいる人たちは、時間と空間の普通じゃない伸び縮みに気づいているけど、社会性を失っていないというか、とても普通っぽい。普通にいいひとっぽい。なんなら客席にいる私が話しかけたらおしゃべりに混ぜてくれそう。ほえー---
通しのあとの、振り返り。
あの動きがやりにくかった、あの台詞のとき変な感じになっちゃった、椅子同士の距離がちょっと遠かったんじゃないかな? 椅子の10cmぐらいのずれを検討しています。繊細......!
もう一つ印象深かったのが、村岡さんの最初の台詞について。
渡邉さん、honninmanさんがいるところに、村岡さんが後からやってきて、その第一声が日常でなくはないだろうけどちょっと変だよね、っていうシーンなんですが。
中村さんからリクエストは「無敵でいてほしい」。村岡さんも今日ちょっと迷っちゃった、と話しているところに、渡邉さんから「その台詞で仲良くならなくちゃいけない」という指摘が。そう、そのちょい変な台詞によって、村岡さんは、初対面の渡邉さんとhonninmanさんに急速に受け入れられていたのです。でも強気で言いすぎると えっ?てなっちゃうし、かと言って微妙に弱気でも どうかしました? ってなっちゃう。仲良くなれる、ほど良い無敵......
「打率あげたいなー」、と中村さん。「こういうの10年くらいやってる気がするな」
こういう打率問題はどういう演劇でもあるのですが、屋根裏ハイツさんの作品は、わかりやすくホームラン打ってもヒットにならなくて、ファウルすれすれなバントだけヒットになる、みたいな、バントを重ねて重ねて進んでいっていつのまにかすんごい点取ってる、みたいな印象があります。そして、ヒットエリアの設定が、絶妙!!
この大変な作業を、10年続けてきて、これからもやっていくんだろうな。なんかかっこいいな。それに、ホームラン狙いのチームより、セーフティバントの研鑽してるチームのほうが、私は好きだな、野球ぜんぜん知らないけど。
というわけで、屋根裏ハイツさんの次回作、人によっては遠方ですがぜひともご覧ください!
※出張中の専属カメラマンのルネさんも、豊岡演劇祭2022で、こちらの公演の小道具係補佐&アンダースタディをしています。こちらもよろしければ。
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