口蓋扁桃を思いつつ声を出してみる会(たちくらようこ)
10月末の寒い日の午後、「口蓋扁桃を思いつつ声を出してみる会」という催しが行われました。俳優の石川朝日さんの、扁桃腺をとる手術をしたら声がかわった!というつぶやきを目にした私・乗る場声部部長のたちくらが、声部にお招きしてなにがどう変わったのか聞こう、あわよくば体験しよう(扁桃腺あるけど!)という催しです。
参加してくれたのは、画家の村井祐希さん、劇作家・演出家の山本伊等さん、乗る場から辻村優子さんとカゲヤマ気象台さん、朝比奈竜生さん。
※乗る場専属カメラマンの高橋ルネさんがご都合つかなかったので、今回の写真はたちくらが撮影しています。
0 口蓋扁桃ってなに?講座
まずは、口蓋扁桃(こうがいへんとう)について勉強します。扁桃腺は喉にある免疫器官で、大人になると不要になり、人によっては腫れて肥大化して痛くなったりします。実は4種類あって、朝日さんが手術して摘出したのが、左右の奥歯のさらに奥の方にある「口蓋扁桃」というもの。よく腫れるのは右側だったのですが、実は右側はでっぱっていただけで、切除したら左のほうが肥大してたそうです。
(朝日さんの腫れた喉や、取り出した口蓋扁桃の写真をみんなでみたのですが、ちょっとこわいのでぼやかしておきますね)
入院中朝日さんが読んでいた、扁桃腺をとることが声にどう影響するのか?ていうテーマの論文をいっしょに読みます。
扁桃腺切除の影響で声が出やすくなった人も出にくくなった人もいるんだね、具体的な影響は、口の中が広がる、傷が悪化したりする、軟口蓋の運動性に影響ってちょっとまって「ナンコウガイ」てどこ??そもそも声が出る仕組みって??ねぇすごく普通に書いてある「フォルマント」て何??などいろいろ寄り道しながら読み進め、結論はざっくり言うと、扁桃腺切除は声を出すのにそんなに影響ないけど声のお仕事の方は気になるね、ということでした。
ひととおり勉強したところで、今日集まった人たちで声でやりたいことをホワイトボードに書きだします。
1 声チャートをつくる
辻村さん発案。それぞれの声の特徴がわかるチャートを作ってみよう!
軸の立て方が難しいね、深い⇔平ら、口腔の広さやかたち、息の含有量は?とさまざま検討した結果、
直方体を頭にみたて、どのへんから声がでているか書き込むチャートが開発されました!!
たちくらの声
前面の上の狭い範囲から出ている、息多めなのでもやもやした形
カゲヤマさんの声
ご自身の感覚だと、歯全体に響かせてるそうです……歯響き??歯響きとノン歯響きを聞き比べたみなさんの感想は、
・歯響き「前に出す感じが強い」「会議で有効そう」
・ノン歯響き「企画概要を説明されても説得力無さそう」
村井さん
ということだったのですが、話すうちに息は鼻から出ているのでは?!ということで、鼻が追加されました。
休憩
※口蓋扁桃が腫れまくっていたころ朝日さんは野田秀樹さんが大好きで、腫れた口蓋扁桃=野田さん、みたいな図式になっており、腫れた口蓋扁桃にみたてたマシュマロが食べてなくなる=野田さんがいなくなる、みたいな感じになったらしいです。
2 口蓋扁桃切除の儀
粘土で喉や口の中を作って、そこから腫れた口蓋扁桃を切り取ってお焚き上げする、という儀式です。
できあがりました、口腔たちです。
そしてそこから、口蓋扁桃を、とります!
切除した口蓋扁桃たち。
3 絵と喉を重ねる
村井さん発案。粘土の喉に、透ける素材に書いた絵を差し込んでフィルターをかけ、その喉から出る声をだしてみます!
村井さんがイメージしていたのは、フランシス・ベーコン「ベラスケスによるインノケンティウス10世の肖像画後の習作」。叫ぶ人の前に描かれた線がカーテンみたいに声を遮っているのです。
特製の粘土の喉に差し込み、iphoneで下から照らしてみると...
この重なった絵を通過した声を出してみます!不思議な声がたくさんできました。
温泉+水玉+にわとり
温泉につかってリラックスしたニワトリ
オレンジ色+∞石川朝日サイン+へのへのもへじ(的な)
辻村さんソロ、赤子?
オレンジ色+カメさん+井戸
言われてみればカメってこんな声かもしれない声のセッション
さいごに、みんなの口腔をまとめて粘土に戻して...
本日の口蓋扁桃を思いつつ声を出してみる会はおしまいです。
朝日さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました♪
石川朝日さんの出演作が、11月上旬に東京で、下旬に京都で上演されます。
口蓋扁桃をとって響きが増した朝日さんの声をおたしかめください。
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