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【科学未来館】自然に融け出すデジタル

久しぶりに、再開した日本科学未来館に行ってきました。2年ぶりくらいの訪問です。行く前に最も注目していたのは、新設された常設展「計算機と自然、計算機の自然」です。メディアアーティストの落合陽一さん監修で作られた展示で「デジタルネイチャー」をメインテーマに、比較的狭めのスペースに多くの展示が凝縮されていました。

私たちが目にするものは、from 自然なのか、from 計算機なのか。そもそも自然とは何なのか。私たちが生きる世界は何で構成されているのか。これまで持っていた自分の世界観が突き動かされるのを感じました。

映像や音の解像度が格段に高まり、ものを製造する技術も繊細に多様になってきた中で、オリジナルとコピーの垣根はだんだんと薄れています。自然物を完全に作ることはまだ難しいけれど、見た目や手触り、機能が全く同一であったなら、私たちにとって自然物と模倣品を区別する必要はあるのでしょうか?

社会の様々なところに計算機(コンピューター)が埋め込まれ、私たちが行っていた家事や仕事は、次々に自動化されて見えなくなってくる。計算機が社会を建設するメインパートを担うようになり、私たちは計算機ができない部分だけを補完するだけの役割になってしまうかもしれない。まるで映画のマトリックスのような世界が、いよいよ現実に迫ってきたのかと、実感をし始めます。展示こそ日常にありふれた自然や芸術品を題材にしていましたが、それが逆に社会の背後で動いている巨大な見えない存在を暗示しているようです。

10年後、50年後、100年後、その後私たちはどのような暮らしをしているのか、楽しみでもありつつ全く想像できないなと、改めて思います。個々の計算機が互いに繋がり合って、いつかは生命のように動き出すストーリーも、展示の中で紹介されていました。私たちが目にする「自然」は果たして何でできているのか、デジタルとネイチャーが融け合う世界観が展示の中で大胆に表現されていました。

そんな中で、私たちが今作っている社会や暮らしはどのようなものに変容するのか。計算機自然にとっての「資源」は何で、その世界で「サステナビリティ」とは何を意味するのか。
ここに未来の一つがある。そう感じさせてくれる展示でした。

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