オンライン診療アプリ「キッズドクター」が日本救急医学会で発表を行いました
こんにちは。オンライン診療アプリ「キッズドクター」を運営する、株式会社ノーススター代表取締役の田北です。
先日、第52回 日本救急医学総会・学術集会で、キッズドクターとして「⼩児救急外来のオンライン診療を活用したDX」というテーマで演題発表を行いました。
こちらのnoteでは、学会発表にいたった背景や発表の内容をご紹介します。
学会発表を通して医療の発展に寄与したい
今回学会発表を行った理由は、キッズドクターとして医療の発展に少しでも寄与したいという思いがあったからです。
オンライン診療という診療形態は、コロナ化でようやく社会実装に向けて動き出しましたが、まだまだ新しい技術です。そのため、医療の現場で広く認知・導入されるには、その安全性や有効性を科学的に検証し、裏付けることが必要になります。
キッズドクターはオンライン診療の運営主体者として、オンライン診療が医療システムにどのように組み込まれ、患者にどれだけ貢献できるか、そしてどんな課題があるかについても明らかにし、学会を通じてそれら広く共有することで、医療分野全体の発展に寄与したいと考えています。
発表内容のご紹介
今回の学会では、以下の2点についての発表を行いました。
① 小児救急におけるオンライン診療の有用性
② へき地の救急医療におけるオンライン診療の有用性
発表内容の一部をこちらにご紹介します。
① 小児救急におけるオンライン診療の5つの有用性
オンライン診療には、以下5つの有用性があると考えます。
患者及び医療者の院内感染防止
アクセスのしやすさ
患者満足度の向上
プライバシーの確保
夜間休日の救急外来受診の抑制
項目が多いので、ここでは5つめの「夜間休日の救急外来受診の抑制」について詳しくご説明させてください。
キッズドクターのオンライン診療を利用された方に「キッズドクターを含むオンライン診療サービスが存在していない/受診しなかった場合、どうしていましたか?」というアンケートをとりました。
その結果「救急外来を受診していた」と回答した方が約26%。この分の救急外来患者の受診を、オンライン診療により抑制することができました。
近年、医師の働き方改革・労働規制の影響により、救急医療を含む医療サービスの縮小が進んでいます。これにより救急外来を受診するためのハードルが以前にも増して高くなっており、患者にとっても受診の選択が難しくなっています。
一方で小児救急においては、保護者の不安から緊急性がないにもかかわらず救急外来を受診する「コンビニ受診」が増加し、社会問題化しています。またそれとは逆に、保護者が軽症であると判断して自宅で待機してしまい(救急受診のハードルが高すぎることもあります)、結果として重症化するケースも見られます。
キッズドクターは、こうした医療サイド・患者サイド双方の課題に対して、オンラインで医療者に気軽に相談できる窓口として機能することで、緊急時に患者の適切な受診をサポートしつつ、限られた救急リソースを有効に活用できる環境を整備することに貢献できると考えています。
② へき地の救急医療におけるオンライン診療の有用性
キッズドクターは、2024年1月に沖縄県石垣市と包括連携協定を締結しました。
石垣市は人口約5万人、うち小児人口は0.8万人強の島で、年間100万人超の観光客が訪れます。
そんななか小児救急がある病院は島内に1院のみ。医師は2名体制で診察にあたっており、とりわけ観光シーズンは受け皿がない状態です。入院中の患者を中心に診療するために、やむを得ず外来患者を制限することになりました。
そこで時間外の場合は、外来を受診するかわりに、キッズドクターのオンライン診療を受診することを推奨していただいています。
2024年1月に連携を開始し、2024年10月現在、1000人以上のご利用者様がアプリをダウンロードしてくださり、350人以上がオンライン診療を利用してくださっています。このデータからも、オンライン診療は医師が不在の地域や病院が少ない地域の補助として有益であると言えます。
今後もより良い医療体制の構築に貢献していきます
以上のように、オンライン診療は特にアクセスの面で大きなメリットがあり、時間や場所を問わずに医療相談ができる点は多くの患者にとって有用な選択肢となります。また医療従事者にとっても、負担軽減の一助となります。
しかしオンライン診療が万能というわけではなく、実施できる検査や治療には限界があることも事実です。そのため、オンライン診療と対面診療が互いに補完し合いながら発展していくことが望ましいと考えています。
患者の視点に立った医療を提供するためには、オンライン診療と対面診療を二者択一とせず、組み合わせることでより良い医療体制を構築することが必要です。
オンライン診療はまだ発展途上にあり、将来的には自宅で実施できる検査や治療手段をさらに充実させることが重要な課題です。私たちは今後もこのような取り組みを進めることで、オンライン診療の可能性を広げ、より多様なニーズに応える医療体制の整備に貢献したいと考えています。