Vol.1 ノースオブジェクトのものづくり(衣)
~つくる~ by ノースオブジェクト
受け継がれていく「こだわり」
ノースオブジェクトが創業した1999年、世の中は平成不況と呼ばれ、人々の価値観が大きく変わっているさなかでした。
そんな時代の中でもわたしたちは、子育て中のママたちがもっと日々を豊かに楽しめる服を提供するために、素材やデザインはもちろん、気軽に手にすることができるお手頃な価格と品質のバランスも追求してきました。
それを実現するのにもっとも苦労したのは、裁断や縫製を行う協力工場を見つけることでした。アパレル業界の価格破壊とともに生産も国内から海外へ移行してゆく中、わたしたちも毎月毎月海外の工場に足を運び続けました。通訳を介して工場にわたしたちの服づくりに対する姿勢を伝え、理解と共感を得て関係を構築し、粘り強くコスト交渉を重ね・・・そうして納得できる生産体制が整うまでに5年もの歳月を要しました。
互いに納得できるものづくり
なるべくコストを抑えて良い服を思い通りにつくりたい、とわたしたちが考えるのは当たり前のことですが、工場の協力なしにはそれを叶えることはできません。そのためにノースオブジェクトでは、他のアパレルメーカーよりもかなり早い段階でデザインや納期、生産枚数などを決定し、発注をかけています。それにより工場は生産ラインや縫製スタッフの安定的な稼働を確保できます。先々の発注の有無や生産枚数がわからないという不安定さをなくすことでより正確なコスト計算が行え、浮いたコストを検品費用に充てることで、高い品質を安定して生産できる体制を維持しています。
また、一反の生地を裁断する際にも、さまざまなパーツの効率的な組み合わせを考えて有効生地使用率を高く保つことで、原材料の無駄を省き、より高いコストパフォーマンスを維持することができます。そのためには、仕様の変更や生産計画書のやり取りを何度も重ね、わたしたちと協力工場にとって最善の方法を探るための努力が必要です。大変な労力と根気が必要ですが、単に手間を省いた合理性ではなく、手間を尽くした先にある無駄のない合理性こそが、わたしたちが考える「なるほどが詰まったものづくり(=リーズナブル)」であり、ノースオブジェクトの創業当時から受け継がれる基本姿勢でもあります。
なるほどが詰まったものづくり=リーズナブル
ノースオブジェクトにとっての「リーズナブル」は、ただ価格が安いという意味だけではなく、「リーズン」すなわち、「理由のあるものづくり」を意味します。
居心地のいいお気に入りのお店にあって、デザインや生地、刺繍、ボタンなどディテールまでこだわっているのにお手頃な価格で購入でき、子どもを抱っこするときも動きやすい身頃や袖のサイズ感、かがんでも背中が見えない丈の長さで、洗濯を繰り返しても型崩れせず長く着られる服。
品質やデザインが良く、ママの日常の動きに合わせた仕様で、細やかな心配りも感じられる、そんな「買う時も買った後も、なるほどがいっぱい詰まったリーズナブルなもの」を、わたしたちはいつも追求し続けています。