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生きてるっ!~偶然の出会い編②

出会いは真夏の沖縄から

遠い昔二十数年前の沖縄で、僕は「ユウコ(仮)」という1歳年上のお姉さんに出会いました。ユウコ(仮)は地元が同じで、おでこの綺麗な、色白の、姉御肌のお姉さんでした。

これから先(将来)をどう生きようか悩み、悩み、悩み、「海のそばで暮らしたい。」という単純な動機から、海がきれいな場所=沖縄という理由で沖縄に居を移した初日の事でした。太陽がギラギラする季節でした。

働き始めたその場所に、新人である僕に興味を全く示さず、視線も向けないユウコ(仮)がいました。

時間が経つにつれユウコ(仮)は、僕を自分の友達に紹介してくれたり、美味しいご飯屋さんを教えてくれたり、自分の話もしてくれて、彼氏も紹介してくれて、自分の引っ越しに僕を借り出したり、仲良くしてくれました。

その後、僕はなんやかんや地元に帰る事になり、感謝とともに、「いつかまた。」と彼女にお別れを告げました。


1年後・・・地元で。

地元に戻ってブラブラしていた僕は知人の紹介で、交通整理のアルバイトを始めます。

初夏の太陽がキラキラした日に、いつものように交通整理をしていた僕の前に一台のセドリックが停まります。

いつものように誘導棒を振っていた僕に、その車は全く動く気配はなく、その運転席からはサングラスをかけた女性がこちらを窺っていました。

強く誘導棒を振る僕に、その女性は尚もこちらを窺い、身を乗り出しました。その女性のおでこが光っていました。

次の瞬間、その女性が車から降り、「〇〇(僕の名前)っ~!!!!!」と叫びながら僕に走り寄ってきました。

「えっ、えっ!?」「ユウコ(仮)!?」びっくりしている僕に、彼女は笑いながら、

「また会えると思ってたんだ~!」と言いました。

一通りの会話を交わし、連絡先を交換し、「後日また。」という事でその場はお別れしました。


その1ヵ月後・・・ビアガーデンで。

その1ヵ月後・・・掛け持ちしていたアルバイトのビアガーデンで、いつものように接客業をなんとなくしていた僕の担当していたテーブルに、男子3人女子3人の計6名様の合コン様が現れました。

そのうちの女子の1名様が、おでこの綺麗な女子でした。

そう。ユウコ(仮)でした。

キラギラした日差しの下、「また会えちゃったね~。」という彼女の容姿は、合コンバージョンの素敵な女性でした。

「近いうちに連絡するね~。」と彼女は言いました。


そのまた1ヵ月後・・・ロックフェスティバルで。

そのまた1ヵ月後・・・ギラギラの太陽が眩しい季節のロックフェスティバルに友達数人と参戦した僕は、だだっ広いメインステージ前の随分後方でシートの上の荷物番をしていました。他の皆は別のステージへ行ったようでした。

前方のステージではまだアーティストの登場はなく、青空と心地の良い風の中、会場全体がざわつきはあるものの、リラックスした優しい世界でした。

立ち上がり前方を眺めていた僕は、ふと、ズボンのポケットに入れた携帯電話のバイブレーションに気が付きました。その画面には、【ユウコ(仮)】の表示がありました。

「あっ、ねえさん!」と少しウキとしつつも、「今日誘われても、今日も明日もここにいるし・・・。」と思いながら、「もしもし。」と電話に出た僕に・・・、


「右後ろを振り向きなさい。」


そこには、太陽におでこを照らされ、眩しそうに眼を細め僕を見るユウコ(仮)がいました。

その時の会話の中で、ユウコ(仮)が僕に言った、「こんなに運命的に何度も再会してるのに、〇〇(僕の名前)には、何も想わないわ。笑笑」という言葉に、今返事をします。「俺もです。笑笑」

その後彼女から一度も連絡があったことも、会った事もありません。いつの間にか連絡先も無くなりました。


その後数年後に出会う僕の奥さんの名前がユウコ(仮)です。

コレホントウノオハナシデス。



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北乃 扉
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