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スローフードは墓場まで取っておけ



食うのが遅いんです。

「健康な成人男性」というカテゴリの中でなら、日本一遅いんじゃなかろうかというくらい遅いんです。

よく話すエピソードとして
「ラーメン屋のカウンターでラーメン一杯だけを食ってたら、後から隣に来たおばあちゃんが同じものを頼んで、私より先に食べ終わり出ていった」ということすらありました。

食事中すら「喋りすぎ」であることは重々理解しております。
反省し、最近人と食事をするときは言葉少なに食事に集中するようにしています。人と食事に行く意味よ。

でもですよ、それとは別に深い理由があるんですよ。
言い訳させてくださいよ。


お医者さんのお墨付き

私は、中2,3で成長が止まってしまった悲しきモンスターなので、その頃に医者からもらった身体評価は、今と大差ないもんだと思っています。

そんな中2,3の頃、風邪で地元の町医者にかかった時、扁桃腺を見たおじいちゃん先生に言われたんですよ。

「食道ほっっそいねぇ〜〜〜」

生まれてこの方食うのが遅かった私は、そのとき随分と腑に落ちたものですよ。

通り道が細いから、よく噛まないと入っていかないんだ。
よく噛むから、満腹中枢が刺激されてすぐお腹いっぱいになるんだ。
だから食うのも遅いし少食なんだ。


原因がわかったとて、人間が食道を広げられるわけもなく。
結局給食もお弁当も、大人になってからの外食も、ちんたらちょびっと食い続ける日々。

遅いし、量食えないし、酒も弱いし、
お陰様で女性と対一でご飯行くのとか大の苦手ですよ。
(偏見にはなりますが、自分より遅くて量食わなくて酒も飲めない男と、食事なんて行きたくないって方もいらっしゃるでしょうし)


遅食の功罪、我にあり

まぁ、そんなチンタラ食事故にか、それに起因する少食故にか、運動を一切しなくなった自堕落成人後も、そこまで爆発的な肥満とならなかったのも、また事実。

この体質でなかったらもっと太ってた可能性もあり、そういう意味では遅食で良かったと言える部分もあるのかもしれません。

(言うて、20代前半のころは52kg、最盛期では70kgが見えかけていたので、十年弱で16kg太ったわけですが
16kgって、そこそこ大きい犬一頭分くらいですよ
甲斐犬の成犬一頭分くらいですよ)


ただ、そんなことでは到底補填しきれない、また別のデメリットも、この体質にはありまして。

食道が細い→よく噛むことで、異常に鍛えられた咬筋力故か、自分の歯に多大なダメージを負い続けているのですよ。


またもお医者のお墨付き。

上京以降通い続けている歯医者のおじいちゃん先生曰く、咬筋力のわかりやすいバロメーターとなる、口腔内の「骨隆起」なるものが、
おじいちゃん先生の歯医者歴の中でもトップ3に入るほど隆起しておるらしく。
(参考となる下顎内側の写真はキモいので貼らないどきます)

虫歯で歯医者にかかる度、おじいちゃん先生は「日頃の歯磨きでよく磨けてる」って言ってくれるんですよ。
じゃあなんでこんなに虫歯になるんですか?と。

そこで件の骨隆起。

なんでも、噛む力が強いとどんどん骨隆起が出てくるんですって。
そんで、こんだけ骨隆起が出るレベルで咬筋力が強いと、自分の噛む力で奥歯に小さな傷や割れが入ってしまい、そこから虫歯になってしまうんですって。


たしかに、ケンタッキー食ってて、めんどくせぇから骨を噛み砕こうとしたら奥歯が割れたこともありました。

これはただのバカですが、
それでも頑張って歯ぁ磨いてんのに、食道が細いばっかりに、結果こんなにも歯医者の世話になる羽目に。

あんまりな話ですよ。あんまりな生き物ですよ。

自分の容姿や身体能力にほとほと無頓着な私が、
自分の身体に悲しみを覚えるのは、きっと人生でこの一点だけでしょうよ。


食道が細い。

ただその一点のハンディだけで、
食うのが遅くて、食が細くて、女性との食事に乗り気になれなくて、挙句自分の歯すら傷付ける。


もしも生まれ変われるなら、多くは望まない。
ただ、食道が太い生き物に生まれ変わりたい。



あと、噛む力の他に胃腸も丈夫なんですけど、
咀嚼と消化吸収という、自身以外に一切の利益をもたらさない身体能力だけ優れてるの、実に私らしいなと、去年あたりに独りごちてました


おわり

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