【PIT】航海日誌'24【09/13-09/29】
現地9月29日にBronxで行われたNYY戦をもって、Pittsburgh Pirates(PIT)の2024年シーズンが終了しました。シーズン前半はワイルドカード争いに参戦したものの、中盤に失速して最終的には76勝86敗で地区最下位と不本意な結果に終わっています。
まぁ、終わってしまったものは仕方ありません。既に打撃コーチのAndy HainesとブルペンコーチのJustin Meccageの退団が決まるなど来季へ向けて動き出しています、今季の借りは来季に返して貰いましょう。
さてさて、今回はひとまず今年最後の“航海日誌”です。ラストの5カード/16試合を振り返ります。もう次回予告がないのでピックアップを3つに増やしました。
◆◆ 試合結果 ◆◆
6勝10敗と負け越しを4つ増やして閉幕となりました、ちなみにそのうち半分の3勝はリリーフのCarmen Mlodzinskiが挙げています。4カードはスイープ回避が精一杯でしたが、最後の最後に敵地のNYY戦で勝ち越し出来たのは良かったですかね。
まぁ、向こうはリーグ優勝決めた直後の力抜けてる状態ですけど。ひとまず、ブリッジイヤーの前年を下回るという最悪の事態だけはギリギリで回避する事が出来ました。
16試合のうち3得点以内が11試合と今季の課題であった貧弱な打線は最後まで光明を見出せず。マイナーに来季インパクトを与えてくれそうな存在もいないので、外部から連れて来るしかありませんね。
◆◆ 主な昇降格&移籍 ◆◆
Nick YorkeとMike BurrowsがMLB初昇格を、6月に3日間だけ昇格するも出場しなかったLiover Pegueroがようやく今季初出場を果たすなど消化試合らしい動きが目立ちましたが、中でも面白かったのが苦労人のIsaac Mattsonの昇格。
17年ドラフトでLAAから19巡目(全体565位)指名を受け、19年にDylan Bundyの対価としてKyle Bradishらと共にBALへ21年にMLBデビューを果たし4登板したものの、その後は独立リーグで投げるなど表舞台から姿を消していました。
平均94.0mphながら浮き上がる様なファストボールを武器に、MLBでは3登板でIP 5.1/H 1/K 6/BB 5と良くも悪くも打球を前に飛ばせませんでした。オフの間に一度DFAされるかもしれませんが、マイナー契約で残せればデプスとしては面白い存在。
◆◆ WARランキング ◆◆
ラスト5カードで最もfWARを稼いだのは、案の定というべきかPaul Skenesでした。13.0回を投げてK 19/BB 1/HR 0と支配的な投球でERA 0.69/FIP 0.70を記録しています。
代役クローザーとして6セーブを挙げたAroldis Chapmanも5.2回で7三振を奪って無失点、許した走者も2人だけと完璧な働きをしてくれました。今オフの去就に注目が集まります。
Yasmani GrandalとNick Gonzalesは相変わらず打撃好調を維持していますが、四球は選べていないもののBilly Cookがチームトップの3本塁打を放ったのはポジれますよね、打撃だけでなく守備でも貢献しているのが嬉しい誤算。
◆◆ ピックアップ① ◆◆
9月24日にRowdy TellezがDFA(翌25日にリリース)となりました。昨オフに1yr/$3.2Mで加入した、19年に21本塁打・22年に35本塁打を放った実績のある左打者。
今季は1B/DHとして132試合/421打席で起用されるも13本塁打に留まり、スラッシュラインもAVG .243/OBP .299/SLG .392と厳しい数字。何より守備走塁でも稼げないのでrWAR -0.4/fWAR -0.5とリプレイスメントを下回っていました。
425打席消化で$200Kのボーナスが発生する契約でしたから、このタイミングでのDFAには現地記者や元メジャーリーガーらが苦言を呈していましたが…個人的には特に問題だとは思っていません。
むしろ8月頭の10連敗でWC争いから脱落しているのに、オフに契約の切れるベテランを1カ月半も使い続けた方がよっぽど苦言を呈したいですよ。インセンティブ云々言われるほど打席に立たせたのが間違いでしょう。
ファン心理としては分かりますけどね、クラブハウスリーダーの1人として貢献してくれましたし。でも再契約の可能性がありそうなAroldis Chapmanに対しては「代わりに若手使え」とは言われていない訳で。結局は彼自身が結果を残せなかったのが全てです。
◆◆ ピックアップ② ◆◆
20年ドラフトの全体17位指名のNick Yorkeが9月16日にMLB昇格を果たしました。今年のTDLでQuinn Priesterの対価としてBOSから獲得すると、PIT傘下3A級では40試合でAVG .355/OBP .431/SLG .507と素晴らしい成績をマーク。
昇格後は2B/3B/LF/RFでスタメン出場し、11試合でAVG .216/OBP .286/SLG .378とまずまずの結果を残しています。2本目の本塁打は「Nick YorkeがNew Yorkで放った一発」に。
たった42打席ですがstatcast系の数字も良いですし、走力(Sprint Speed)もMLB上位10%の高水準。来季開幕はマイナーで迎える可能性の方が高いと見ていますが、ここでアピール出来たのは大きいでしょう。
将来的には優れたコンタクトを有するスーパーユーティリティですかね、「SSの守れないKevin Newman」や「右打ちのAdam Frazier」みたいなイメージです。WARを3.0稼げるプレーヤーになって貰いたい。
◆◆ ピックアップ③ ◆◆
そして、9月28日にはMike BurrowsもMLB初昇格を果たし、リリーフながらその日に初登板&初勝利を飾っています。Burrowsは18年ドラフトで11巡目指名され、23年のMLBデビューが既定路線と目されていましたが開幕直後にTJ手術を受けていました。
6月にマイナーで復帰したBurrowsですが、マイナーがひと足早く閉幕してしまったので実戦経験を積むならMLBしかありませんでした。既に40人枠入りしているからこそ出来る方法とも言えるでしょう。
Jazz Chisholmに本塁打を打たれはしたものの悪くないデビューでした、棚ボタとはいえ勝ち星まで付きましたし。フォーシームの平均球速も94.5mphから(術後2年で)完全復活となる来季は更に上がるはず。
来季のローテ候補ではありますが、若手スターターの充実もあってブルペンに回る可能性もあるでしょうね。このあたりの中堅プロスペクトが台頭してくれればグッと層が厚くなるので期待したいです。
【参考文献・関連動画】