【PIT】覚醒?まぐれ?岐路に立つ"旅人"
2024年シーズンも残り約1ヶ月となりました。我らがPittsburgh Pirates(PIT)は残念ながら9月前半の10連敗で一気にプレーオフ進出争いから脱落してしまいましたが…
勝負はこれで終わりではありません。残り試合をどれだけ有意義に使うかでこのオフの動きが変わり、来季開幕時により良い陣容で戦えるかが決まると言っても過言ではないでしょう。
バリバリの主力であるPaul SkenesやBryan Reynoldsがどれだけ数字を伸ばすかももちろん大事ではありますが…それよりも注目すべきは40人枠のボーダーライン上にいる選手達。
今は良くてもオフに入れば現在60日間ILに入っている選手達を戻さなくてはいけませんし、Rule 5 Draft対策で新たに追加しなければいけない若手も出てきます。もちろん補強する度に枠空けも必要もありますよね。
投手だとDomingo GermanやJake Woodford・Ben Heller、野手だとBilly McKinneyあたりが来季の契約を掴む為にアピール合戦をしているのが現状ですが、今回は彼らよりも少しだけリードしているDennis Santanaを取り上げようと思います。
ドミニカ共和国出身のSantanaは18年にLADでMLBデビューを果たし、21年に55登板・22年に63登板・MLB通算で190登板とそれなりの実績がある28歳のリリーバー。
タイトルの通り移籍が多い"ジャーニーマン"で、21年からの4シーズンは毎年移籍を経験。PITがキャリアで(MLBで投げていないチームも含めれば)7チーム目の所属となります。
今季はマイナー契約したNYYの傘下3A級で開幕を迎えるも、4月5日にMLB昇格。23試合投げたところで6月9日にDFAされ、2日後にウェーバークレームでPITへ移籍する事となりました。
マイナーオプションは既に切れているので、じっくり腰を据えて調整出来た訳ではありません。しかし、移籍の前後で明らかに彼は変容しています、最も分かりやすいのは球種別割合です。
シンカーを捨ててフォーシームの割合を、カッターを減らしてスライダーの割合を大きく増やしているのが分かりますね。チェンジアップも少しだけ減らしています。
簡潔に言えば、以前は「5球種を満遍なく使う」という投球スタイルだったのが、現在は「フォーシームとスライダーが投球の約75%を占める」という投球スタイルになっているという事。
さて、それを踏まえて移籍前と移籍後の成績を比較してみましょう。
ほぼ同じ登板数・イニング数で防御率は2.81・元々悪くはなかったFIPも更に1.33良化してしています。移籍前にIP 27.1/K 19/BB 10/HR 2だったのが、移籍後はIP 28.2/K 36/BB 7/HR 2ですからもはや別人ですよね。
今季PITで10登板以上したリリーバーだとFIPはJalen Beeks(2.63)やKyle Nicolas(2.85)を凌いで、K-BB%はAroldis Chapman(21.7)やHunter Stratton(16.5)を凌いでそれぞれチームトップの数字です。
また、平均打球速度が落ちて平均打球角度も低くなっているので、被バレルの打球が激減しています。現時点で被本塁打の割合やISOはそれほど変わっていないものの、今後はそちらの良化も期待出来そう。
導入部でも書いた通り保有出来る選手数には限りがありますし、“シーズン中にタダで拾った勝ちパではないリリーバー”の序列はどうしても低くなります。MLB通算ERA 5.08という数字が示す通り、来季も同じようなパフォーマンスが出来る確証もないですしね。
ただ、Santanaは今オフが2度目の調停ですからサラリーは格安で済むのでリスクはほぼありません。実績のあるChapmanやBeeksらが今オフFAになる事もあって、それなりに投げられる彼はキープしておくべきだと思います。
もちろん閉幕まで結果を残し続ける前提ではありますが、現時点では来季の開幕ロスター有力候補の1人と言えるでしょう。
【参考文献】
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