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【PIT】緊急事態発生!1Bについて考える

バッテリー組のSpring Trainingが始まった現地2月12日、Pittsburgh Pirates(PIT)から非常に残念な発表がありました。今オフに行った数少ない補強(補充ではなく)だったSpencer Horwitzが、慢性化していた右手首の手術を受けて6-8週間の離脱が決まったとの事。

彼を除くとこのオフに契約した野手はAndrew McCutchenAdam FrazierTommy Phamという峠を越えたベテランばかりで、しかも1Bを守る選手はいません。「Horwitzが更に成長して不動の1Bレギュラーになる」前提で編成が進んでいた様に思います。

手術は既に先週済ませているという事なので、そこから6-8週間だとすると3月下旬から4月初旬に復帰予定。まぁ、こう見ると長引いても最初の数カードなのでシーズンの大勢に影響は無さそうですが…

仮に故障個所が4週間(最短)で癒えたとしても、STの全体練習や試合に参加出来ていない選手がいきなりMLBで貢献してくれると考えるのも早計でしょう。開幕からしばらくいないと考えた方が精神衛生的に良さそうです。

という事で、今回は「Horwitzが離脱した1Bについて」色々と考えていこうと思います。


【プランA】 主砲のコンバート

チームの顔で不動の2番打者であるBryan Reynoldsですが、昨季終盤の試合前に1Bの練習をしているのが記者達に目撃されています。ベンチコーチのDon Kellyが後押しした事もあって、彼のポジションがどこになるのかはこのオフの争点になっていました。

というのも、CFでGold Glove Awardのファイナリストに選出されたのも今は昔の事。23年からLFへコンバートされ、昨季はDRS -5/UZR 0.1/FRV -10とLFですら厳しい水準に。走力は健在なものの初動が遅く、守備範囲が非常に狭いんですね。

1月に行われた日本のファン感謝祭に当たるPiratesFestで1Bの練習について聞かれたReynoldsは「ミットでキャッチボールした程度」と語っていましたが、Horwitzの離脱により再燃する可能性はありそう

…でしたが、GMのBen Cheringtonは彼の1B転向を完全否定。本拠地PNC Parkは左中間が広く右中間が狭い事もあり、今季はRFで起用する方針を示しました。という事で、これは無しです。


【プランB】 現有戦力から

PITで昨季1Bとして起用されたのは、イニング数の順に紹介するとRowdy Tellez(905.1)・Connor Joe(454.1)・Jared Triolo(41.0)・Billy Cook(35.0)・Yasmani Grandal(3.0)の5人。残っているのは今年が3年目のTrioloと2年目のCookです。

昨年Gold Glove AwardのUT部門を受賞したTrioloは23年に209打席でAVG .298/OBP .388/SLG .398(wRC+ 118)も、昨季は446打席でAVG .216/OBP .296/SLG .315(wRC+ 72)と大きく打撃成績を落としました。

1年目の打撃を取り戻せればHOUの黄金期を支えたMarwin Gonzalezの様な役回りが出来そうですが、アマ時代から打撃が評価されている選手ではないので現状では“滑り止め”という認識です。

期待したいのは昨夏のTDLでBALから獲得したCook。PIT傘下3A級で30試合に出場して5本塁打でAVG .276/OBP .389/SLG .486(wRC+ 130)、MLB昇格後は16試合に出場して3本塁打でAVG .224/OBP .224/SLG .449(wRC+ 79)を記録しました。

サンプル数は少ないですがExit Velocity 92.6mphというのも目を引きます。空振りは多いですし如何せん実績が無いのでファーストチョイスにはなりにくいですが、STで文句無しの成績を残せばあるいは?


【プランC】 ダブつくC陣から

スカスカでお馴染みのPIT野手デプスですが、数少ない補強の要らないポジションがCです。他ポジションから回すのであればここが最も分かりやすいでしょう。

昨季加入してプチブレークしたJoey Bart、23年冬の大怪我で昨季はほぼ全休したEndy Rodriguez、21年ドラフト全体1位のHenry Davisという元トッププロスペクトが3人。そして、22-23年にバックアップCを務めた29歳のJason Delayも控えています。

「とにかく目の前の試合を勝つ」だけを考えるのであれば1番手をRodriguez・2番手をDelayにして、昨季80試合でAVG .265/OBP .337/SLG .462(wRC+ 121)で後半は中軸を担ったBartを1Bに回すのがベターかなと。

ただ、2番RFのBryan Reynoldsと3番CFのOneil Cruzに次ぐ打撃ポテンシャルを有しているのはDavisだと思っています。3A級では通算71試合に出場してAVG .320/OBP .424/SLG .564と既にマイナーでやる事はなく、あとはアジャストするのみ。


【プランD】 招待選手から

最後になりますが、マイナー契約でST参加している招待選手にも1Bを守れる選手がいます。どちらも昨季は不調に終わりましたが、かつてMLBでインパクトを残した事のある左打者です。

1人目は元PHIのDarick Hall。デビューした22年に42試合で9本塁打を放ちAVG .250/OBP .282/SLG .522(wRC+ 121)を記録しましたが、昨季は3A級暮らしな上にAVG .236/OBP .320/SLG .387(wRC+ 84)と大不振。

2人目は元NYMのDJ Stewart、主戦場はLF/RF(一番多いのはDH)ですがマイナーも含め約180.0回ほど1Bに就いた経験があります。NYMへ移籍した23年に58試合で11本塁打を放ちAVG .244/OBP .333/SLG .506(wRC+ 129)。

昨季は数字を大きく落としたものの、それでも74試合の出場でAVG .177/OBP .325/SLG .297(wRC+ 88)と高い出塁率を記録しています。守備はかなり不安ですが計算はしやすそう。


という訳で、色々な可能性を探ってみました。

簡単にまとめると…

無難な選択肢
● Joey Bart
● DJ Stewart

将来性も加味
● Billy Cook
● Henry Davis

滑り止め
● Jared Triolo
● Darick Hall

という印象です。

レギュラー格の開幕絶望は当然苦しいですが、ポジティブに考えればチームにとっても選手にとっても千載一遇のチャンスですよ。代役が猛アピールしてくれればHorwitzが戻ってきた時に選手層が厚くなりますから。

野手組はまだSTが始まってすらいないですし、アピールする機会はたくさんあります。シーズンが始まって「あ、そういえばHorwitzも獲ってたね。ポジションどうしようか」となるくらいのアピール合戦を期待しましょう。


《情報ソース》


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