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【PIT】おかえり、Adam Frazier
Welcome back to Pittsburgh, Adam! 💛 pic.twitter.com/hgsncvA4BZ
— Pittsburgh Pirates (@Pirates) January 29, 2025
少し前の話になりますが現地1月29日、Pittsburgh Pirates(PIT)がAdam Frazierと1yr/$1.525Mで契約を結びました。1対3のトレードでSDへ放出された21年の夏以来、約3年半振りの古巣復帰となります。
13年ドラフトで6巡目(全体179位)指名されて16年にMLBデビューして以来、派手さはないものの堅実に6シーズン貢献してくれたFrazierが再びBlack&Goldのユニフォームを着てくれるのはとても嬉しいです。
打ってはAVG .275/OBP .340/SLG .410程度は見込めて三振が非常に少ない左打者であり、守っては19-20年にGG賞ファイナリストに選出された2B守備+OFも守れるUT性能まであるソリッドなプレーヤーでしたよね。
▶ 2024年成績
[ G ] 104
[PA] 294
[AVG] .202
[HR] 4
[RBI] 22
[SB] 3
[OBP] .282
[SLG] .294
[OPS] .576
[wRC+] 63
[ K% ] 20.1
[BB%] 7.5
[rWAR] 0.3
[fWAR] -0.6
昨季はほぼ全ての打撃成績がキャリアワーストに終わっています。開幕は2Bの定位置を与えられたものの、4月中旬からはUT扱いとなりベンチスタートの試合も増えました。
23年はキャリアベストの13本塁打を放つなどそれなりのパワーもありましたが長打率は.300を切り、K%もルーキーイヤーの16.3%を大幅に上回り初めて20.0%に乗せています。
何よりもwRC+ 63というのは「平均的な打者(100)と比較して63%しか得点に貢献出来ていない」事を意味します。昨季MLBで250打席以上立った打者324人のうち313番目ですよ。
慣れ親しんだ環境で多少のバウンスバックを期待するにしても、そもそも全盛期である16-21年途中のPIT在籍時の通算wRC+ですら104と平均をやや上回る程度でしたしね。
ただ、衰えたとは言ってもK%やChase%・Whiff%などの数字は未だリーグ平均を大きく上回っており、「簡単に空振りを取れない打者」という特徴はいまだ健在。
それに守備は健在で本職の2Bは270.2回守ってDRS 5/UZR 1.2/FRV -1、次にイニング数が多いRFも160.0回でDRS 1/UZR 0.6/FRV 0と無難に守れています。
それ以外にもLFや17年以来の3Bに就いており、マイナーでも経験の無かった1Bにも初挑戦。5ポジションこなせて、せめてwRC+ 80くらいまで戻せるならベンチプレーヤーとしては及第点ではないでしょうか?
チーム事情を見ても、2B争いは候補こそ沢山いますが…
【Nick Gonzales】 G 94┃fWAR 1.3┃rWAR 0.9
【 Jared Triolo 】 G 125┃fWAR 0.4┃rWAR 1.3
【Liover Peguero】 G 3┃fWAR -0.1┃rWAR -0.1
【 Nick Yorke 】 G 11┃fWAR -0.1┃rWAR -0.2
【Enmanuel Valdez】 G 76┃fWAR -0.6┃rWAR -0.6
と、ここ数年でデビューした若手が多い上に、このオフトレードで加入したEnmanuel Valdez以外は全員右打ち。ちなみに、5人全員がマイナーオプションを残しています。
順当ならNick Gonzalesがレギュラー筆頭・Jared TrioloがUTとして開幕ロスター入りするでしょうが、もう1人ベンチに置くなら似通ったタイプよりも左打ちで実績のあるFrazierの方が使いやすいのは間違いありません。
また、Frazierは22年にSEA・23年にBAL・24年にKCでプレーしています。(各シーズンの)ペイロールはほれほど高くなかったチームを渡り歩きながら3年連続ポストシーズンに進出した経験を、スモールマーケットチームのPITが高く評価したのは想像に難くありませんよね。
という事で、Frazierの獲得はチームのニーズにあった、コスパの良い堅実なムーブだと感じます。ただ、一方で今のロスターのチームがやっていい補強でも無いとも感じています。
このオフに何度となく書いていますが、PITの最優先課題は「1に打線、2に打線、34も打線で5が打線」です。とにかくスタメンに打てる選手を並べられる様にする必要があります。
いま必要なのは「マイナスを減らす補強」ではなく「プラスを増やす補強」でしょう、後者があってこその前者です。誰がどう見ても前者のFrazierだけ獲得しても仕方ありません。
ひとまず必要なのはRFのレギュラーですが…既にMichael ConfortoがLADへ、Tyler O'NeillがBALへ、Max KeplerがPHIへ、Jesse WinkerがNYMへ、Austin HaysがCINへ、Randal GrichukがAZへ移籍しており、FA市場に残る選手はかなり少なくなっています。
既に再建期間は終わっているので、当然ですがGMのBen Cheringtonはここからコンテンダーに相応しい、勝てるロスターを創造してくれるのでしょう。開幕までまだ1カ月半以上ありますから楽しみですね。
《情報ソース》