【PIT】Connor Joeをテンダーすべきか
NYYとLADのワールドシリーズが終了し、ようやくポストシーズンがスタートしました。不本意なシーズンを送ったPittsburgh Pirates(PIT)にとってはここが分水嶺になると言っても過言ではありません。
チームの課題はハッキリしており、今季のチームwRC+ 86が(30チーム中)28位と「MLB最低クラスの打線」です。明らかに再建中なCWS(75)とCOL(82)はこれでも仕方ないと割り切れますが、TDLで買い手に回ったPITは流石に危機感を持たなければ。
今季10試合以上出場してwRC+がリーグ平均の100を超えているのが、Joey Bart(121)とBryan Reynolds(118)・Oneil Cruz(110)、そしてこのオフにFAとなるAndrew McCutchen(105)の4人しかいませんからね。
キャリアの浅いNick GonzalesやJared Trioloだったり、前年から数字を大きく落としたKe'Bryan HayesやJack Suwinskiも一応若手の範疇ですから「来季は頼むぞ」で済ませるとして…扱いが難しいのがConnor Joeです。
19年にMLBデビューを果たしたJoeは、(精巣ガンが見つかり全休になった20年を除いた)5シーズンで通算438試合に出場している32歳のベテラン。ちなみに余談ですが中国系アメリカ人ですね。
結論から書くと、個人的には「テンダーする必要はない=ノンテンダーで仕方ない」と考えています。今回はそう考えた理由を書いていきます。
▶ 成績の低下
はい、単純明快ですね。この後にも色々書きますが、結局のところこれがほぼ全てです。
(昨季と同様に)今季も開幕から絶好調で、5月終了時点でwRC+ 118と上々のスタートを切りました。しかし、6月以降はwRC+ 68と夏を待たずに大失速。
昨季と比較して三振はやや減ったものの長打まで一緒に減ってしまい、シーズントータルのwRC+は100を切っています。要は「リーグ平均未満の打者」という事で、センターラインの選手ならともかく1B/LF/RFとしては物足りません。
COLに所属していた22年も111試合/467打席でwRC+ 89なので“こんなもん”という感はありますし、年齢的にも来年で33歳ですから「ここからキャリアベストに期待!」とは言いにくいですよね。
▶ 来季サラリー
しかも、今季でサービスタイムが3.000を超えたため、このオフから調停がスタートします。MLB Trade Rumorsの記事では、Joeの来季予想サラリーは$3.2Mとされています。
いくらスモールマーケットのPITでも流石にそれくらいは払えますが…(今季までの)ミニマムサラリーならともかく、リプレイスメントレベルに毛が生えた今季のパフォーマンスを良しとするかどうかですよ。
昨オフに契約したRowdy Tellezも(偶然ですが)同額の1yr/$3.2Mで契約しましたし、Joeと同レベルorそれ以上のwRC+を記録したDonovan SolanoやJuan Yepez・Dominic Smithなどがマイナー契約だった事を考えると彼に拘る必要もないんじゃないかなと。
▶ ポジションと新戦力
今季Joeがスタメン起用されたのは1B/LF/RF/DHですが、DHはおそらく再契約するであろうAndrew McCutchenが来季も座るでしょう。RFに関してはおそらくですが汚名返上に燃えているであろうJack Suwinski(左)と、TDLで補強した若いBryan De La Cruz(右)のプラトーンになると予想します。
となると、残るは1BとLFの2ポジションですが、そのどちらかは主砲のBryan Reynoldsが入ります。実戦で試すことは無かったものの、今季閉幕前の試合前に1Bの守備練習をしていたんですよね。
1BやLFであれば来季注目すべき、シーズン終盤にMLBデビューを果たした2選手がいます。今年のTDLでそれぞれBOSとBALから獲得したNick YorkeとBilly Cookです。
2B中心にOFも守れるYorkeはPIT傘下3A級でAVG .355/OBP .431/SLG .507を記録し、MLBでは11試合で2本塁打を放ちAVG .216/OBP .286/SLG .378と無難なデビューを果たしました。
1B/OFを守るCookは3A級でAVG .276/OBP .389/SLG .486を記録すると、MLBでは16試合で3本塁打を放ちAVG .224/OBP .224/SLG .449とパワーをアピール。守っても少ないイニング数でプラスを荒稼ぎしています。
若くて実績のほぼ無い2人がいきなりポジションを掴むとは思っていません。しかし、FAなりトレードなりで主砲は1人加えるでしょうし、バックアップであれば彼らで賄える可能性はあるのではないでしょうか?
もしくはJared Trioloが今季後半の打撃なら、もしくはIsiah Kiner-Falefaが今季前半(TOR在籍時)の打撃ならUT組の彼らで充分ですしね。
若い選手中心のチームにとって、経験豊富なベテランの存在は大事ですが…「いつまでもConnor Joe頼み」でコンテンドなんてチャンチャラ可笑しいですよ。ひとまずフロントの補強と若手選手の台頭、どちらにも期待して来年のスプリングトレーニングを待つとします。
【参考文献】