【PIT】航海日誌'24【8/2-8/14】
Pittsburgh Pirates(PIT)のシーズンを振り返る“航海日誌”です。早いもので2024年シーズンももう残り1カ月半を切ってるんですね、この企画も今回を含めてあと5回となります。
今回は8月2日から8月14日までの4カード/12試合が対象となります。それではさっそくどうぞ。
◆◆ 試合結果 ◆◆
つい先日まであれだけ楽しかった野球が最近全然面白くなかったので「オリンピックが盛り上がってるせい?それとも夏バテ気味なのかしら?」と考えましたが、贔屓がひたすらに弱いだけでした。
前回終了時点で55勝53敗(勝率.509)で貯金2だったのが、驚異の1勝11敗で一気に地区最下位へ転落。56勝64敗(勝率.467)で借金8とワイルドカード争いどころで無くなりました。
いやね、対戦相手が地区首位とワイルドカード1枠目と2枠目で格上ですし、負け方もほとんどが接戦なので数字(勝敗)ほど悲観する必要はないでしょうけど。それにしても酷すぎますよね、特に書く事もありませんよ。
まぁ、こうなってしまったものは仕方ありません。残るは42試合を25勝17敗(勝率.595)で行けば勝率.500で終われます、無理な数字ではないのでここから仕切り直していきましょう。
◆◆ 主な昇降格&移籍 ◆◆
オールスター後に6.1回で11失点して4敗ととんでもない打たれ方をしていたColin Holdermanが8月8日に右手首の故障で15日間IL入りしました。今季はもう戻さず再調整させるのかと思いましたが、15日にブルペンで投げた様なので、順調なら最短で戻しそう。
Marco Gonzalesはシーズン前半と同じ箇所の故障で再び60日間IL入り。もう今季絶望ですし成績的にも再契約は無さそうなので、このまま退団になりそうですね。残念。
代わりに昇格したのはRyder Ryan。22年の新労使協定で「マイナーオプションを使えるのは1シーズンで5回まで」と決まりましたが、彼は7月時点で使い切っており一度DFAされています。その後8月頭に3A級へoutrightされてからの再昇格ですから不死鳥の様です。
DFAされたEdward Olivaresは3A級へoutrightとなり、TDLで獲得したばかりのJosh Walkerはリリースを選んでいます。Olivaresは役割がBryan De La Cruzと丸被りしているので、3A級で圧倒的な結果を残す必要がありそう。
◆◆ WARランキング ◆◆
これまでチームのストロングポイントだったスターター陣が打ち込まれる試合が多かった上に、Colin HoldermanとDavid Bednarで計5敗と投手陣は酷い有様でした。
野手では主に3番のOneil CruzがwRC+ 187・1番のAndrew McCutchenがwRC+ 234・4番のJoey BartがwRC+ 161と奮闘しましたが…それ以外で平均(100)を超えたのはBryan ReynoldsとYasmani Grandalだけ。要は1番から4番までで点が取れないと厳しいという状況ですね。
TDL補強組だとIsiah Kiner-Falefaはある程度やってくれるでしょうが、加入後は47打席で9安打のみ、長打は1本もなく四球も1つというBryan De La Cruzが打ってくれないと辛いです。
◆◆ ピックアップ① ◆◆
8月9日のLAD戦からDomingo Germanがチームに合流しています。19年に18勝を挙げると昨季は完全試合を達成するなどNYYでローテPとして活躍してきたものの、私生活ではDV容疑やアルコール依存症など様々な騒動を起こしてきました。
前年に108.2回も消化しておりサラリーも安価なのにも関わらずどのチームからもオファーが無く、3月にPITとマイナー契約を結んだ際も少なからず懐疑的なコメントはありました。
3A級でIP 68.0/ERA 5.29/FIP 5.36とお世辞にも結果は良くなく、ファストボールの球速も90mph程度(昨季が平均92.3mph)しか出ていなかったので、グラウンド外でのアレコレは関係なく単純に「なんでGermanなんだろ?」と思いましたが…
9日のLAD戦で6回からマウンドに上がると試合を壊さずに最後までイニング消化(4.0回2失点)をすると、14日はSD戦で2.0回を1失点に抑えるなどビハインド要員として悪くない働きをしています。
ここに来てスターターが早いイニングで降板する試合も増えていますし、新しい環境・新しい役割で背番号“0”を背負い自分のポジションを掴んで欲しいですね。
◆◆ ピックアップ② ◆◆
Germanほどの知名度がないので地味ではありますが、6月にマイナー契約を結んで7月末にMLB昇格した27歳のJake Woodfordが好投を続けています。
7月31日のHOU戦で5.0回を自責点0(失点は3)に抑えると、ロングリリーフ2登板を挟み、8月12日のSD戦では6.0回を1失点に抑えました。移籍後はIP 14.2/ERA 3.07/FIP 3.52ですよ。
シンカーの球速は平均91mph程度で空振りはあまり取れないものの、スイーパー&カッターとのコンビネーションで打者を打ち取る投球スタイル。ゾーン内にガンガン投げ込み、加入後はまだ1つも四球を与えていません。
彼は今季の開幕をCWS傘下3A級で迎えましたが、5月にMLB昇格して2先発するも8.1回で10失点と結果を残せず。DFAされた後にFAとなったところを拾った訳ですが、まさかここまで活躍するとは思いませんでした。
とはいえ、マイナーオプションが切れており、オフになればRule 5 Draft対策で枠を空ける必要もありますから依然として立ち位置は微妙。残り約1ヶ月半で結果を残し続ける必要があります。
◆◆ スケジュール&注目選手 ◆◆
オールスター明けから約1カ月続いた“コンテンダー祭り”も、SEAとの3連戦でようやく終わります。その後の3チームは(14日終了時点で)勝率.500未満ですね。
キーマンは…キーマンというよりも"今季誤算だった選手"ですがKe'Bryan Hayesです。昨季はキャリア最多の15本塁打を放ちAVG .271/OBP .309/SLG .453を記録、遂に殻を破ったかと思われました。
しかし、今季はここまでAVG .238/OBP .289/SLG .297と酷い有り様。Statcastを見ると平均打球速度が92.2mph→88.8mphと大きく落ちていますし、平均打球角度も13.2°→5.1°と打球が全然上がっていません。メカニクスが崩れていて、尚且つコーチが修正する事も出来ていないのでしょう。
持ち味の3B守備は健在なのでfWAR +0.3/rWAR +1.1とかろうじてリプレイスメントレベルは超えていますが、マトモな控えがいるチームならベンチに座っている時間が多かったでしょう。
22年4月に結んだ長期契約は29年まで(30年はクラブオプション)とまだまだ先は長いですし、何よりまだ27歳と若いですからね。何とか今季中に光明を見出して欲しいところ。
【参考文献・関連動画】