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【PIT】2024年オフ補強展望【FIELDER】
なる早で書くつもりでしたが、何やかんやで前回と同様に1週間程度かかってしまいました。Pittsburgh Pirates(PIT)の今オフの補強ポイントについて書いていきます。
いきなり余談で申し訳ないですが
「先発投手=Starting Pitcher=SP」
「中継投手=Relief Pitcher=RP」
に対して、「野手」に対する略語って無いですよね。
英訳は「Fielder」とか「Position Player」でしょうけど。タイトルは出来るだけ統一したいんですけどね、【PP】や【C/IF/OF】もしっくりこないので泣く泣くそのまま表記しました。
さて、そんなこんなで第3弾は野手編です。今回はまず先に現在のロスター確認から行いましょう。
▶ 現ロスター(C)
【Joey Bart】
G 80┃wRC+ 121┃rWAR 2.2┃fWAR 1.3
【Endy Rodriguez】
G --┃wRC+ --┃rWAR --┃fWAR --
【Henry Davis】
G 37┃wRC+ 30┃rWAR -0.6┃fWAR -0.7
【Jason Delay】
G 7┃wRC+ 105┃rWAR 0.1┃fWAR 0.1
ベテランのYasmani Grandalと、シーズン途中加入の元トッププロスペクトJoey Bartが多くマスクをかぶりました。Grandalは持ち味の打撃とフレーミングは依然として優秀ながら、スローイングが絶望的で再契約は無さそう。
一方のBartはシーズン後半はBryan ReynoldsやOneil Cruzと共に中軸として活躍、守備は良いとはいえないものの我慢出来ないほどではありません。打撃成績が多少落ちたとしてもバックアップCとしては充分かと。
最大のポジ要素は23年に410.0回でDRS 3を稼ぎほぼスタメンマスクの座を手中にしていたEndy Rodriguezが戻ってくる事。昨冬のWinter Leagueで大怪我を負って今季はほぼ全休に終わったんですよね。
そして、そこに割って入りたいのが21年ドラフト全体1位のHenry Davis。MLBではAVG .144/OBP .242/SLG .212と大苦戦も、3A級ではAVG .307/OBP .401/SLG .555と敵なしで打撃のアジャスト待ち。守備はまぁ…頑張れ。
という訳で、Cに関してはわざわざメジャー契約で連れてくる必要は無いでしょう。年明けまで残ってる中堅ベテランをマイナー契約で拾う程度で良いなと。あるとしたらBartかDavisをトレードの弾に使うケースだけです。
▶ 現ロスター(2B/3B/SS/UT)
【Jared Triolo】
G 125┃wRC+ 72┃rWAR 1.3┃fWAR 0.4
【Ke'Bryan Hayes】
G 96┃wRC+ 59┃rWAR 0.9┃fWAR 0.1
【Nick Gonzales】
G 94┃wRC+ 94┃rWAR 0.9┃fWAR 1.3
【Isiah Kiner-Falefa】
G 50┃wRC+ 60┃rWAR 0.4┃fWAR 0.0
【Alika Williams】
G 37┃wRC+ 47┃rWAR -0.2┃fWAR -0.3
【Ji-Hwan Bae】
G 29┃wRC+ 30┃rWAR -0.4┃fWAR -0.7
【Nick Yorke】
G 11┃wRC+ 82┃rWAR -0.2┃fWAR -0.1
【Liover Peguero】
G 3┃wRC+ 31┃rWAR -0.1┃fWAR -0.1
【Tsung-Che Cheng】
G --┃wRC+ --┃rWAR --┃fWAR --
【Tristan Gray】
G --┃wRC+ --┃rWAR --┃fWAR --
今季最低のシーズンを送ったKe'Bryan Hayesですが、29年まで契約が残っており、まだ27歳と若いですから来季はやって貰わなくては困ります。3Bは彼に賭けるしかありません。
2Bは打撃で確かな成長を見せたNick Gonzalesが一歩リードでしょう、SSは実績のあるIsiah Kiner-Falefa(IKF)が務めると思われます。そして、彼らが欠場した時にはUTとしてGold Glove Awardに輝いたJared Trioloが穴を埋めるのが基本線でしょう。
そこに食い込みたいのが首脳陣からの期待を感じるAlika Williams、韓流スピードスターのJi-Hwan Bae、終盤にMLBデビューを果たしたNick Yorke、元TOP100プロスペクトのLiover Pegueroら。
テコ入れをするなら圧倒的にSSですね。IKFももちろん悪い選手ではないものの、コンテンダーが不動のレギュラーに据える選手ではないかと。バリバリのレギュラーは予算的に難しくとも、せめて「IKFの対抗馬になる実績のあるSS」が欲しいところ。
▶ 現ロスター(1B/OF/DH)
【Bryan Reynolds】
G 156┃wRC+ 118┃rWAR 3.7┃fWAR 2.1
【Oneil Cruz】
G 146┃wRC+ 110┃rWAR 2.5┃fWAR 3.5
【Jack Suwinski】
G 88┃wRC+ 62┃rWAR -1.7┃fWAR -1.1
【Joshua Palacios】
G 23┃wRC+ 93┃rWAR -0.1┃fWAR 0.1
【Billy Cook】
G 16┃wRC+ 79┃rWAR 0.6┃fWAR 0.3
【Trey Cabbage】
G --┃wRC+ --┃rWAR --┃fWAR --
今季2番と3番という中軸を担ったBryan ReynoldsとOneil Cruzは確定。DHに関しては空席ですが、昨季と同様にAndrew McCutchenとの再契約が既定路線です。
昨季終盤にSSからコンバートされたCruzは変に複数ポジションを守らせるよりもCFに専念させるとして、問題はReynoldsの方。21年にCFとしてGold Glove Awardのファイナリストに選出されたのも今は昔で、今季はLFでもDRS -5/UZR 0.1/FRV -10と厳しい数字です。
今季終盤は試合前に1Bの練習しているのを現地記者が報じており、コンバートの可能性もあります。どちらになるかは分かりませんが「Reynoldsが守らない方」が補強ポイントとなります。
そして、Suwinskiは左投手の時にスタメンを外される機会が多いので「右打ちのツープラトン要員」も必要。右打ちのConnor JoeとBryan De La Cruzを揃ってノンテンダーにしているので、そこは流石に動いてくるでしょう。
SuwinskiはLFも守れるので、補強ポイントは「1B/LF/RFのうち2ポジション」ですね。ただ、今季終盤にデビューしてパワーと守備で光るものをみせたBilly Cookにも期待。
◆◆ レギュラー級のSS ◆◆
▶ FA候補
【Paul DeJong】
G 139┃wRC+ 95┃rWAR 0.9┃fWAR 1.7
【Ha-Seong Kim】
G 121┃wRC+ 101┃rWAR 2.6┃fWAR 2.6
【Nick Ahmed】
G 71┃wRC+ 59┃rWAR -0.3┃fWAR 0.5
トレードで大きな対価を払って残り1シーズン保有のBo Bichetteを狙うとも思えず、かといってFAでWilly Adamesに良いオファーを提示出来る訳もなく…SSの補強はかなり難しそう。
最も現実的なのはPaul DeJongの確保。wRC+が100を超えたのは19年が最後ですが、キャリア8シーズンのうち5シーズンで19本塁打をクリアしており、今季も24本塁打を記録しています。
もしくは精一杯の背伸びをしてHa-Seong Kimを狙うか。本来ならAdamesと同様に高値の花ですが、肩の故障で来季出遅れが確定しているので実力よりもディスカウントされた契約になるでしょう。
半ば数合わせでリストアップした来季開幕時35歳のベテラン・Nick Ahmedは守備こそまだ健在なものの、打撃は2年連続で200打席以上立ってwRC+は50台と移籍後のIKFよりも低調。
◆◆ 打力のある1B ◆◆
▶ トレード候補
【Josh Naylor】
G 152┃wRC+ 118┃rWAR 1.5┃fWAR 2.3
【Andrew Vaughn】
G 149┃wRC+ 97┃rWAR 0.2┃fWAR -0.2
【Yandy Diaz】
G 145┃wRC+ 120┃rWAR 1.6┃fWAR 1.9
【Ryan O'Hearn】
G 142┃wRC+ 119┃rWAR 1.9┃fWAR 1.7
【Nathaniel Lowe】
G 140┃wRC+ 121┃rWAR 2.7┃fWAR 2.8
【Jake Burger】
G 137┃wRC+ 106┃rWAR 0.5┃fWAR 1.4
【Ryan Mountcastle】
G 124┃wRC+ 108┃rWAR 2.6┃fWAR 1.5
【Triston Casas】
G 63┃wRC+ 119┃rWAR 0.6┃fWAR 0.6
スモールマーケットチームに所属しており、来季サラリーが$10.0Mを超える見込みのJosh Naylor(CLE)とYandy Diaz(TB)には要注目。どちらもここ数年安定した打撃成績を残しており、市場に出るなら是非とも商談して欲しい2人。
彼らと同じく高い水準で安定しているNathaniel Lowe(TEX)やRyan Mountcastle(BAL)、彼らよりやや落ちるもののAndrew Vaughn(CWS)は揃って2シーズン保有出来るのが魅力的ですね。
また、ここに来てBOSがNolan Arenadoに興味を示しているという噂があります。もしもTriston Casasが宙ぶらりんになる様であれば食指を動かして欲しいです。
▶ FA候補
【Paul Goldschmidt】
G 154┃wRC+ 100┃rWAR 1.3┃fWAR 1.1
【Carlos Santana】
G 150┃wRC+ 114┃rWAR 2.5┃fWAR 3.0
【Josh Bell】
G 145┃wRC+ 101┃rWAR -0.6┃fWAR -0.1
【Justin Turner】
G 139┃wRC+ 117┃rWAR 1.5┃fWAR 1.2
【Anthony Rizzo】
G 92┃wRC+ 84┃rWAR 0.2┃fWAR -0.2
NLCの他チームで長く活躍したPaul GoldschmidtとAnthony Rizzo。どちらもキャリア晩年に差し掛かっていますが、メンターとしてグラウンド内外で貢献してくれそう。SEAとの再契約が噂されるJustin Turnerも同じ働きが期待出来ますよね。
かつてPITに在籍したスイッチヒッター2人、Carlos SantanaとJosh Bellも候補に。ただ、Santanaは昨オフに本人から逆オファーがあったにも関わらず、スルーしてRowdy Tellezと契約したので心証はあまり良くないかも?
◆◆ 打力のあるLF/RF ◆◆
▶ トレード候補
【Taylor Ward】
G 156┃wRC+ 111┃rWAR 2.3┃fWAR 2.7
【Adolis Garcia】
G 154┃wRC+ 92┃rWAR 0.3┃fWAR -0.2
【Brent Rooker】
G 145┃wRC+ 164┃rWAR 5.6┃fWAR 5.1
【Mike Yastrzemski】
G 140┃wRC+ 106┃rWAR 2.1┃fWAR 1.6
【Wilyer Abreu】
G 132┃wRC+ 114┃rWAR 3.4┃fWAR 3.1
【Chas McCormick】
G 94┃wRC+ 66┃rWAR -0.6┃fWAR -0.2
莫大な対価を差し出す必要はありますが、今季39本塁打を放ったBrent Rooker(ATH)が獲得出来れば打線は大幅アップデートされます。まぁ、実現する可能性はほぼ無いと考えて良いでしょう。
TDLで興味を持っていたとされるTaylor Ward(LAA)はこのオフも引き続き候補に挙がるでしょうし、彼と同じく2シーズン保有出来るAdolis Garcia(TEX)も同様。来オフFAですがMike Yastrzemski(SF)なんかも有りですね。
まだ25歳と若く4シーズン保有出来て、RF守備も一級品のWilyer Abreu(BOS)も良い選手ですね。当然ですが獲得にはそれ相応の対価を用意しなくてはいけませんが。
▶ FA候補
【Alex Verdugo】
G 149┃wRC+ 83┃rWAR 0.8┃fWAR 0.6
【Jesse Winker】
G 145┃wRC+ 118┃rWAR 2.0┃fWAR 1.3
【Joc Pederson】
G 132┃wRC+ 151┃rWAR 2.9┃fWAR 3.0
【Michael Conforto】
G 130┃wRC+ 112┃rWAR 1.3┃fWAR 1.3
【Tyler O'Neill】
G 113┃wRC+ 131┃rWAR 2.6┃fWAR 2.5
【Randal Grichuk】
G 106┃wRC+ 139┃rWAR 2.2┃fWAR 1.5
【Max Kepler】
G 105┃wRC+ 94┃rWAR 1.0┃fWAR 1.0
【Austin Hays】
G 85┃wRC+ 98┃rWAR -0.1┃fWAR 0.2
ぼくの最推しは29歳のTyler O'Neill。今季はBOSでキャリア2番目に多い31本塁打を放っている右打者で、LF/RFを平均以上で守れるのでチーム事情にピッタリとハマる選手。PITでは滅多にない3年契約を提示する価値のある選手だと考えます。
WARが最も優秀なのは32歳のJoc Pedersonですが、右投手専門でSuwinskiと似たタイプなので優先度は低めでしょうか。同じ左打ちなら総額はお安く済みそうなMichael ConfortoやMax Keplerの方が魅力的かもしれません。
そして最後にノンテンダー組ではAustin Haysが気になります。PHI移籍後はピリッとしなかったものの、BALではレギュラー定着後(直近3.5シーズン)は安定してwRC+ 105前後を記録していました。
《情報ソース》