のろい羊

哲学を修士課程まで学び、社会に適応する道を見失ったフリーライター。食い扶持も不確かなまま、一児の父になる模様。

のろい羊

哲学を修士課程まで学び、社会に適応する道を見失ったフリーライター。食い扶持も不確かなまま、一児の父になる模様。

最近の記事

今すぐ死にたい!後腐れなくこの世を去ることは可能?

「この世から消えてなくなりたい」 「自分なんて、世界の誰からも必要とされていない」 そんなお悩みはありませんか?生きている意味を見いだせず、ふとこの世か消えてなくなりたくなることもあると思います。 とはいえ実際に、死を遂げるのは案外難しいもの。「自分が消えても、誰も困る人がいない」なんて思っても、ちょっとした関係に後ろ髪を引かれ、なかなか踏ん切りがつかない人も多いのではないでしょうか。 ひょんなことから「死にたい」なんてググってみると、表示されるのは自殺防止関係の記事ば

    • 「世間」を抜け出し、「社会」をまなざす~大坂なおみ氏のボイコットとその撤回に対するリアクションをめぐって~

      ウィスコンシン州で発生した警官による黒人銃撃事件を受け、ウエスタン・アンド・サザン・オープンを勝ち進んでいた大坂なおみ氏が大会ボイコットを発表した。 ボイコットについてのコメントは、大坂氏自身のTwitterで公開されている。 「プレーしないことで何か劇的なことが起きるとは思わないが」と留保をつけてはいるものの、「大多数が白人のスポーツ」であるテニス界で、「ボイコット」という行動に出ることは、非常に勇気ある決断だと言える。 ところがこの決断に対し、批判的な声も多い。例え

      • 黒人差別の根本構造

        Black Lives Matter(BLM)の運動について、日本ではあまり取り上げられなくなったけれども、当然黒人差別の問題そのものが解消したわけではない。 「単一民族国家」という幻想がいまだに蔓延るこの国で、人種差別の問題を内側から理解することは難しいけれども、今回はここ数日アメリカで議論を呼んでいる、とあるNBAチームの黒人オーナーをめぐるニュースについて考えてみたい。 問題のチームは、昨シーズンNBAで優勝したトロント・ラプターズである。事件が起こったのは、ラプタ

        • コンプライアンスとプロ意識~安藤優子キャスターの炎上問題について~

          先日放送されたフジテレビの「直撃LIVEグッディ!」において、安藤優子キャスターの言動が物議を呼んでいる。炎天下の街をリポートするディレクターがあまりの暑さに意識を朦朧とさせ、リポートを継続することができずにスタジオに進行を戻したところ、安藤優子キャスターが「えっ、返しちゃうの?」と笑い、「もう一回お返ししていいですか」と再度リポートの続行を要求した、という流れである。 当然ながら、この言動をめぐってはSNSで大きな批判が寄せられ、安藤キャスターのパワハラともとれる姿勢に反

        • 今すぐ死にたい!後腐れなくこの世を去ることは可能?

        • 「世間」を抜け出し、「社会」をまなざす~大坂なおみ氏のボイコットとその撤回に対するリアクションをめぐって~

        • 黒人差別の根本構造

        • コンプライアンスとプロ意識~安藤優子キャスターの炎上問題について~

          川上未映子氏の「風俗嫌い批判」について

          川上未映子氏のツイートで、「性風俗店が好きじゃない」と自慢げに語る男性に対する批判がすこし話題になっている。 2ちゃんのフェミ嫌いの人たちによる反応を見ていると、ほとんどの人が文意を理解できておらず、ぼく自身も理解に時間がかかる部分があったので、彼女のツイートに何が書かれているのか考えてみたい。 川上氏の主張は、4つのツイートから成る。それぞれの部分を貼り付けつつ、要旨をまとめてみる。 最初のツイートでは、「性風俗店に行かないこと」をあえて自慢げに話す男性がやり玉に挙げら

          川上未映子氏の「風俗嫌い批判」について

          最適なモノに満たされて

          あらゆる満足はいまやコンビニで手にすることができる、というのは『コンビニ人間』以来周知の事実となったわけだけれど、このような動向においてもっとも重要な機能を果たしているのは、ぼくらとコンビニ側との間に結ばれた「経済的合理性」という絆にほかならない。 セブンイレブンの「金の○○」シリーズは、下手なファミレスに行くよりも安価に、高い満足度をもたらしてくれる。多様なバリエーションからなるスイーツのラインナップはどれも高品質で、ぼくはずんだ餅が好きなのだが、セブンのずんだ餅を食べた

          最適なモノに満たされて

          「SNSと想像力」その2

          社会に生を営むにあたって、私たちはしばしば「感情の落としどころ」を見つける必要に駆られる。 仕事で理不尽な文句をつけられたり、プロジェクトの方針が自分の信念に反するものとなったり、どだい我を通すことなどできはしない環境のなか、どうにか自分を納得させることができる論理やポイント……それが「落としどころ」である。 大人になる、というのは、この「落としどころ」をうまく見つけられるようになる、ということである。「大人になれ」というメッセージは、個々人に対して現状肯定を促すとともに

          「SNSと想像力」その2

          「SNSと想像力」その1

          差出人不明の文字というのはいつも、それを記した側の思い以上のものを受取人に伝える。受取人は、文字が示す意味とは別に、「どんな人間が、どんな意図で」それを書いたのか、推測しなくてはならないからである。推測の余地があるほど、受取人の足元は覚束ないものになる。 相手が知った人間なら、文字だけでもある程度意図を把握することができる。ぶっきらぼうな言葉でも、もともとそういう人だとわかっていればダメージを受けることもない。互いの立場とか性格とか、相手と自分との間で何かしらの前提を共有し

          「SNSと想像力」その1