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「プロレス・パンフレット文法」とは何か?
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:プロレスパンフレットとは何か。ヒントがどこかから降りてくる件。プロレスパンフレットいう表現メディアの世界。
新潟プロレスマガジンとは
締め切りに追われてる。
何の?
プロレスのパンフレットだ。
新潟プロレスマガジンと名がついている、会場にお見えになるファンに差し上げる冊子だ。
創刊号から僕が編集長をしている。
思えば、子供のころ一番乗りで会場に乗り込み、まずすることといったらグッズ売り場に行って、パンフレットを買うことだった。
最後のページには、必ず「本日の取り組み」と題がついている対戦カードが、はんこで印字されている。
試合前に、パンフレットを隅から隅まで読む。
何のことはない、試合の見所と選手の写真とプロフィールが書いてあるだけだ。
でも、それがうれしい。
パンフのないプロレス観戦は、クリープを入れないコーヒー(死語)のようで、見た気がしない。
パンフレットを丸めて、メガホンみたいに使う人がいる。
それは間違っている。子供心に、パンフレットは神聖なものという意識があった。
パンフレットはグッズであり、観戦の証拠であり、思い出であり、そして愛でるうちにかけがえのない宝物になっていった。
プロレスパンフレットはどうあるべきか
さて、自分が団体のパンフを書く段になって、これだけは譲れないものがある。
それは、一字一句同じことは書かない、ということだ。
プロレスのパンフレットはどこの団体のものも、いつも同じだ。
表紙のデザインと、レスラー写真が違うだけで選手プロフィールなどはいつも同じ。
僕はこれに不満だった。
新潟プロレスマガジンの選手紹介は、毎回違う。
「違うったってお前、面白くなければ意味がねえじゃないか」という声が聞こえてくるようだ。
「面白いよ、いや、面白いはずだよ」。そう言いたいんだ。
少なくとも、書くほうは面白いと思って書いていることは間違いない。
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選手のプロフィールは、最新情報を載せるように心を砕いている。
今回、ビッグ・ザ・良寛が、おととい新潟無差別級のタイトルを獲得した、この情報は外せない。
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団体ホームページにある選手紹介などは、見ないようにしている。
どこかで聞いたようなこと、書かれているようなことは載せても意味がないからだ。
どこにもない表現を心がけては、いる。
選手を怒らせろ
選手のニックネームも、団体発表のものを変えてしまうこともある。
あだ名がなければ作ってしまうこともある。
さっき大日本プロレスの岡林裕二のプロフィールを書き終えたのだが、ニックネームは変えてしまった。
「怪力無双」とかいうあだ名のはず、それを「絶倫帝王」と書いた。
11月19日に行われる新潟プロレス三条大会に行って新潟プロレスマガジンをゲットしてほしい。彼のプロフィール欄に、その理由を書いたよ。
青木優也選手はニックネームがなかったので、「情熱番長」とした。
やはり基本は自分が見て、感じたことを書くことだ。
それをストレートに表現する。そうすると、怒るレスラーがまれにいる。
しかしそれでいいのだ、差しさわりのないことを書くのは、そもそもプロレスのスピリットじゃないからだ。怒るくらいエキサイトさせれば本望だ。
しかし、ファンに共感されるものを書かないといけない。
それが書けないと編集長はつとまらない。
クビになってないところを見ると、多少なりとも共感してもらってるのだ、そういうことにしよう。
たまに選手に褒められることもある。「おもしろかった」と。
不思議なことに、選手のプロフィールをどう描くか考えあぐねていると、どこからともなく「こう書け」と指令が下りることがある。
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まさに降霊だが、さっき来たのは、選手プロフィール全体に関しての注文だった。それは何か。
「リズムとスピード感」を入れろ、というのだ。
リズム感、スピード感なんてないんでわからないんだが、要するに今までののったのったしてた書きぶりはやめてダンダン、パンパンとリズムよくキビキビと流れるよう描け、ということらしい。
それが「プロレス・パンフレット文法」だというのだ。
自分なりにダンダン、パンパンという感じでやってみた。
さてどうだろう、出来栄えはキミが会場に行ってみてやってくれないか。
いいかい、11月19日新潟プロレス三条大会だよ。
見に来てね、パンフレットも付いてるよ(笑)
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー