田舎に都落ちした頃
15年前、心身不調で田舎に帰った。
その時も絶不調だったようで、数年間の記憶がない。
いや、無いわけじゃないけど時系列があやふや。
田舎に帰ってきて、
遠くで自立するという目標が達成できなかったと思い知らされた。
仕事はしていたけど、結婚はできず。
家庭を持つことはかなわなかった。
うっすら予測はしていたけど。
頭を支配する落ちぶれた感。
取り返しがつかない感。
柴犬散歩させながら、夕暮れ時の田んぼ道で涙を流した。
柴犬はけなげに見上げながら、
僕が座り込むとしきりに顔を舐めてくれる。
(犬はこういうとこあるので大好き)
同級生に30年ぶりに会った。
出世したやつ、落ちぶれたやつ。
そしてしばらくすると亡くなっていくやつが出てきた。
同級生とはいえ、関係が切れているのが
ほとんどなので葬式にも出ず、伝聞でその情報を知る。
仕事柄、同級生の親に出会うこともある。
教わった先生にも再会した。
しばらくして先生も亡くなった。
そして親世代がなくなっていく。
街は子供の頃から大きく変わっていた。
友達の家が廃墟になっていた。
家財道具も放置された小さい家。
えらく旧型のテレビが残っていた。
今までとは違うことをしようと思い、
音楽をやるようになった。
音楽をすることで交友関係が広がった。
福岡時代とは違い、「何かをつくる」人、
何らかの形で音楽にかかわる人が知り合いの大半を占めるようになった。
ここで音楽をやるようになったことによる展開は大きかった。
違う展開を求めるには、違う行動をすることが必要だったと
今になって思う。
その日から15年。
昨日も知り合いの人が亡くなったと情報が。
自分より少し上の人。
自分も大病をし、残された時間は少ないのだなと思う。