五七五

合法の酒を手にしつつインプロビゼーションで川柳を楽しむ。
高層マンションの窓から見えるのは合同庁舎である。
北朝鮮のように晴れた青空。まるで皮肉のように感じる。
手にする酒は、ロンリコの75度がいい。

ラルズで買った総菜に愛を感じる。
野菜がこんなに高いでしょう…と主婦方は自慰の手を助けてくれる。
AMラジオからジョン・コルトレーン。独房の中にいるみたいにここでは
様々な楽曲が聴こえる。

事件のあったあのアパートは、まだ空室だ。
カーテンなど取り払われて中の空洞がまるわかり。
となりの部屋に住むレースの姉ちゃんは、どんな気持ちだろう。
判決実刑懲役6年。

お父さんは仕事の終わり、半地下の店で焼酎らしきものを飲む。
駅を行き交う人々を眺めている。
もちろん何も喋らない。
いちにちに発する言葉は数えるほど。
代わりに彼は川柳を詠むのだ。
指で数えて五七五。いまやAIがライバルだ。

みんなのつぶやき万能川柳2本目　仲畑貴志

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