なんにも喋らないで僕たちは
君はじょうずに絵が描ける。
君は自由に絵が描ける。
思ったとおりに絵が描ける。
展覧会で褒められる。大きな賞を獲れるわけじゃないが
とてもじょうずに絵が描ける。
僕にはとても真似が出来ない。
僕にはとても
そんな事は出来ないのさ。
君はとても頭が切れる。
とんちが利いて尊敬される。
自分が思っているよりずっと、人望が厚い君。
誰も気がつかなかった盲点を
いともたやすく見つける君だ。
君はきっと大物になる。
いやもうなっているかも知れない君は。
君にはとてもかなわない僕なのさ。
いつか君をバイクにのせて
うみべのまちを走ってみたい。
風に身体をまかせたら
きっと気持ちがいいだろう。
いつか君と海が見てみたい。
何か大切なことを、
何か話さなければならないことを、
とても重要なことを、
なんにも喋らないで僕たちは
いっしょの時間を過ごすのさ。
すてきな時間を過ごすのさ。
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