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世界はしだいに幼くなってゆく

「―――お前より進んでいるのが何人かはいるだろう。お前は努力して追いつかなければならない。しかし、必ず追いつける。たった一夏で自分がやったことを考えてみろ」
「ただし、ぼくは、なにも自分のものにすることができなかった」
「できたよ」
「なにを?」
「人生だ」

P268~269
菊池光 ロバート・B・パーカー 初秋


十代だった頃の光の日射しを感じる。
緑の芝生を想う。
世界はしだいに幼くなってゆく様を想う。
はじめてこの本に出会えたことを想う。

強い男とは何かと想う。
強い男は恐怖を識っている。
強い男は強いということではないと識る。
女は男であるように、男は女である。

少年だった頃の自分を想う。
偏食ぎみの痩せた蒼い顔。
ポール・ジャコミンと自分を重ね合わせる。
やがてそれは自らをスペンサーと同化させていることに気づく。

午後の図書館を想う。
ふるさとの公民館。
ムーミン谷に程近い場所。
眼鏡女性の図書館司書が座っていた椅子。



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