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君は君の言葉で語れ


言語沼


当世風の名前をもつヤングマンが、当世風の言葉を用いてうたう歌はひどくリズミカルで、当世風云い回しのオンパレードだ。
ほとほと嫌気がさして表に出れば、これまたカラフルな世界が煌めいて俺は立ち眩み。
他の誰とも似ていない何かを模索するのではなく、他の誰かと類似する何かに依存することで安堵する気持ちの悪さよ。
道ゆく少年少女は祈るがごとく持つ携帯電話、で、その表情を照らし続ける。
まるで先行く未来の暗示のように。

ラジオから、偶然聞こえるなごり雪。
あの時のやさしい嘘を俺は忘れない。
とても小さなブルーをあいつのサングラス色に変えた。
それはその年の夏にとても似合った。
ホテルのロビーやエレベータで静かに流れる毒のない音楽のよう。
それはそれで”文化”なんだろう。

笑えない漫才がどこかから聞こえてくる。音楽はいつもと同じだ。ほとほと嫌気がさしていつまでこれに耐えればいい?まるで壊れたレコードみたい。そんな気持ちになっている。果てしもない漫才が五臓六腑に鳴り響く。俺はほんとうにうんざりしていた。不味い酒を呑んでるほうが、まだマシだと思えた。嘔吐するまで黙って不味い酒をあびる。俺は天に唾を吐く。自分に降りかかる。俺はすでに個性を失っている。好きな女ならまだいい。けど、ただ五月蠅い女が肉を喰いながら延々と喋っていることに耐えられない。堪えられない。いいのさ。意味なんかなくたって。意味があったとしても、どうせ同じ事だろう。俺の頭はスパーク。スパークリング。フレッシュな太陽の光の下でオレンジジュース。ノンアルコール。外国の女の胸を揉んでみたい。 


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