落葉から聞こえてきたこと
みなさんは、写真を撮るならどちらの銀杏が良いですか?
やっぱり、Aの方を撮りたいですよね。
実際、Aの周りは、レンズを向ける人たちで賑わいます。他方、Bはというとほとんどが素通りです。
「そんなん 紅葉してる方を撮るに決まってるやん!」
確かにその通り😎
でも、これってナゼなのでしょう。
AとB、2枚の写真それぞれに写る銀杏は、
あくまでも同じ1本の銀杏の木です。
にもかかわらず、
葉が(色)付いているものに価値を見て
葉が落ちたものには価値を見ない。
無意識のうちに、そんなモノノミカタをしているのが、私(たち)の普段の姿ではないでしょうか。
木が葉をつけているは、木が生きるためです。
木が葉を落とすのも、木が生きるためです。
詳しいことは専門の方におまかせしますが、
気候や環境にあわせて、銀杏の木自身が行う まるで "体調管理"のような仕組みがあるようです。
夏はその葉で、たっぷりのエネルギーを使って光合成を行い、大地の潤いを吸い上げ、体内の水分を循環させる。
一方で、少ない日照時間、渇いた地面、そんな冬はできるだけエネルギーを温存する目的で、「あえて」葉の機能を停止させる("省エネモード")。
この過程で、葉の色味に変化が生じてくるのがいわゆる「紅葉」の姿だそうですね。
そして、やがて落葉する。
春夏の青々とした表情も、
秋の紅葉も、
冬の落葉も、
銀杏の木が木としての いのち を生きている姿
そんな景色を眺めることができたら、何だか素敵じゃないですか☺️
とどまることなく、絶えず変化する中に、いのちは成り立っている。こうした道理を、『無常(むじょう)』と味わうことであります。
落葉から聞こえてくること
【追記】
とある日、Bを撮っている人がいました。
「すみません、どうして落葉したの銀杏の木を撮ろうと思ったのですか?」
と、実際にインタビューをする勇気はありませんでしたσ(^_^;)が、
撮影後に、写真チェックでカメラのモニターを眺めておられたその表情は、どこか柔和な雰囲気でした。その時、一体どんなことを思っておられたのでしょうね。